週刊大阪日日新聞

大阪市(北・都島・城東・旭・鶴見区)・守口市・門真市
(社)日本ABC協会加盟紙 251,012部

2019/6/29

どうする相続 争いを防ぐために!! 「遺言書の保管」

 自分が考えた最もふさわしい形で相続させるために遺言書を作った。これで自分が死んでも、妻や息子らがスムーズに相続でき、揉めることもないだろうから「安心だ」―。となるはずだが、さて作成した遺言書はどこに保管するのか。貸金庫を利用しょうか、それとも友人か弁護士に預けようか、いやいやタンスの奥が何かと便利では、などと思案に暮れている遺言者へのアドバイスが今回のテーマだ。

 「親父は死ぬ前に遺言書があるようなことを言っていた。家のどこかに隠しとるはずや」

 「そんな話し、聞いたことないワ。めんどくさがりやったのに、作ってないわよ、きっと」

 葬式気分もまだ抜けきれないうちから、親族そろって遺産を巡ってワイワイやったあげくに、総出で 家捜し≠ネんて光景は決して珍しいものではない。

 遺言者が単独で作成できる「自筆証書遺言」は費用もかからないうえに、証人が不要とあって、作成を「秘密」にしておきたい向きにはぴったりだが、問題は保管だった。

保管方法に注意

 大半の人は自宅に保管する。仏壇の中であったり、金庫だったりするのだが、作成後の認知症で隠し場所を忘れてしまったり、紛失してしまうことも少なくない。巧妙に隠しすぎて、死後に家族が見つけられなかったとか、秘密にしていたため、誰も遺言書があるとは考えずに、探すことさえしなかったケースもかなり存在する。

 遺産分割協議も終わったというのに、数年後にそれとは割合が違う「遺言書が出てきて」トラブルが再燃した。おかげで年老いた相続人が「がんばって権利を主張する元気もなくて、途中で争いの輪から離脱した」という実例もある。

 反対に隠していたのを、相続人のひとりにみつけられ、こっそりと改ざんされてしまったなんてことも起きている。

 もちろん改ざんや偽造を防止するために、添付書類の一枚一枚まで遺言者の署名、捺印が必要となっているが、それでも「この遺言書はおかしい」と文句をつけられれば、有効であることを認めさせなければならない。とくに内容に不満がある相続人は言いがかりであっても構っていない。例えば「部分的にインクの色が微妙に違っている」とか「文章のつながりがおかしい」などと訴えてくる。「改ざんだ。無効だ」となれば、争いは避けられない。

 自筆証書遺言の大きな欠点は紛失や改ざんの心配、つまり保管方法に注意しなければならないことであった。

法務局で保管可能に

 それが今回の相続法改正で、保管制度が設けられ、遺言書を法務局に預けられるようになった。費用も印紙代の数百円で済み、これまで必要であった、死後の家庭裁判所での「検認手続き」が不要とされた。

 検認とは、相続人に対して遺言の存在と内容を知らせるとともに、遺言書の形状や加除訂正といった状態、日付、署名など、検認の日現在における遺言書の内容を明確にして、遺言書の偽造、変造を防止するための手続きをいう。

 しかし検認の申し立てには、申立人の遺言者との相続関係を証明する戸籍謄本だけでなく、相続人全員の謄本が必要など、かなり手間がかかる。そのうえ検認は遺言の有効性を判断するものではないため、たとえ検認済み証明書を受領していても、実際の相続では内容や形式に問題あり≠ニされ、遺言書が否定されることもあるというだけに「厄介」なものだった。それが不要というのは大きい。

 さらに保管申請の際に遺言書の形式審査がされるため、不備がチェックされ、後々の争いが避けられるのも、遺言者としては大きなメリットだ。


pagetop