週刊大阪日日新聞

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2019/6/29

どこが選ばれる!?大阪IR 世界大手7事業者を紹介

 大阪府・市が参加した5月の「統合型リゾート(IR)産業展」で、米国やアジアのIR大手7事業者がプレゼンテーションを繰り広げた。府市が目指す2024年度のIR開業まで、あと5年。大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)に進出するIRは果たして、誰か─。


IRのイメージ図(関西経済同友会提供)

IR誘致 7事業者登録 大阪府市、8月から面談

 大阪へのIR誘致を担う大阪府と大阪市の共同部署「IR推進局」は6月4日、8月を期限に募集している事業コンセプトに7事業者が登録したと発表した。8月から10月にかけて登録業者と面談し、来春に事業者決定を想定している。

 国は最大3カ所としたIR立地区域を決めるための基本方針を公表していないが、大阪では2025年の大阪・関西万博の開業を念頭に作業を進めている。

 IR推進局によると、登録事業者は、ウィン・リゾーツ・リミテッド▽MGMリゾーツ・インターナショ ナル/オリックス▽ゲンティン・シンガポール・リミテッド▽メルコリゾーツ&エンターテインメントリミテッド▽ラスベガス・サンズ・コーポレーション―の5事業者。残る2事業者は非公表を希望しているという。

 一方、5月に大阪市内であったIR産業展には、ギャラクシー・エンターテインメント・グループ▽シーザーズ・エンターテインメントの2事業者も参加した。

 大阪日日新聞がIR産業展参加の7事業者へ個別に聞き取りしたそれぞれの概要は次の通り。


リピーター確保に自信




ウィン・ラスベガス
ウィン・リゾーツ・デベロップメント・ジャパン合同会社
代 表 クリス・ゴードン氏
ベストなおもてなし

 「最上級のおもてなし、気遣い」を自社のセールスポイントに挙げ、日本の「おもてなしの精神」と重ね合わせている。「私たちが目指すのは地域の独自性、強み、特徴を生かして創り上げる究極のIR」と唱え、来場者や従業員、地域住民など全ての関係者が満足し、誇りを持つ唯一無二のリゾートを創造する意向。特に、大阪の地域性については豊かな歴史、文化、商圏があり、インバウンド(訪日外国人客)を迎え入れる関西空港を有している点に着目。大阪府市が誘致先に位置づける人工島の夢洲について、ウィン・リゾーツ・デベロップメント・ジャパン代表のクリス・ゴードン氏は「ベストでなければお客は再び訪れない。何度でも戻ってきたいと思えるIR施設を大阪につくっていきたい」とリピーター確保に自信をのぞかせている。
 (売上高67・17億ドル、本社米国)


世界三大市場で展開




ザ・ベネチアン
ラスベガス・サンズ社
グローバル開発マネージング・ダイレクター
マリーナベイ・サンズ社 社長 兼 CEO
ジョージ・タナシェヴィッチ氏
世界最高級のIRを日本に

 ラスベガス、マカオ、シンガポールの世界三大市場でのIRの所有、開発、運営を通して各都市の観光、雇用、税収、ビジネス支援に貢献している。グローバル開発マネージング・ダイレクターで、マリーナベイ・サンズ社社長兼CEOのジョージ・タナシェヴィッチ氏は「ラスベガス・サンズが提供するIRビジネスモデルが大阪にフィットしている」と力説している。魅力的な建築デザインを設計し、世界最高レベルのIRを整備するという方針を強調。さらに、会議や研修、セミナーのMICE分野とエンターテインメント分野を中心とするIRのビジネスモデルを確立し、「大阪にもこのような施設を開発する機会に恵まれ、大阪の新たな歴史を刻むことに貢献できる」と大阪進出に余念がない。
 (売上高13・73億ドル、本社米国)


大阪ファーストの方針打ち出す




ベラージオ
日本MGMリゾーツ
CEO 兼 代表執行役員
エド・バワーズ氏
2014年に日本法人設立

 IRオペレーター(事業者)として2014年にいち早く日本法人を東京、2019年には大阪に設立した。国内のIR関係者に対してエンターテインメントやギャンブル依存症対策などに必要な情報、研究資料を随時提供している。特に、大阪ではオリックスと提携してIRの検討に当たるという今年3月のニュースが衆目を集めたばかり。地元の中小企業を迎えたMGMの開発、調達、人事、飲食各部門の責任者との意見交換も実施し、交流を深めた。さらに「みんなで考えるIR展」と題した一般市民向けのイベントも大阪市北区のグランフロント大阪で開催し、来場者から募った意見を今後の事業計画に反映させる意向だ。日本MGMリゾーツCEOのエド・バワーズ氏は「大阪ファーストの方針を打ち出し、大阪でのIR実現に集中して活動している」と話す。
 (売上高118億ドル、本社米国)


「メルコ」未来都市を目指す




シティ・オブ・ドリームス マカオ
メルコリゾーツ&エンターテインメント
会長 兼 最高経営責任者
ローレンス・ホー氏
大阪と10年来の付き合い

 日本進出に際して掲げたコンセプトは「シティー・オブ・ザ・フューチャー(未来都市)」。IRの候補地になった大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)について、会長兼最高経営責任者のローレンス・ホー氏は「(大阪府知事だった)橋下徹氏と2009年に話した。10年たち、ロケーションが決まった」と語り、大阪との10年来の付き合いを強調している。「ヘブン(天国)をつくる」と意気込むのは同社の設計担当者だ。サステナビリティ(持続可能性)戦略として、世界水準の規制、基準を順守し、それぞれの国・地域に応じた活動を実践する意向。「環境サステナビリティ」「責任あるゲーミング」「従業員エンゲージメント(契約)」「コミュニティー・エンゲージメント」「企業統治・倫理関する対策」に取り組む。
 (売上高52億ドル、本社香港)


社会的セーフガードを実践




リゾート・ワールド・セントーサ シンガポール
ゲンティン・シンガポール
シンガポール取締役
タン・ヒーテック氏
ゲーミング管理に注力

 過去30年以上にわたって世界各地でIRの開発と運営を続けている。特に、旗艦IRの「リゾート・ワールド・セントーサ(RWS)」は年間来場者が2000万人を超える。雇用創出は約1万3000人、 職種は900超を数え、シンガポールの観光振興、経済活性化につなげている。さらに大規模な拡張計画を今年4月に発表したばかり。RWS伸展の背景には企業理念の「カンポンスピリット」があると説明。「カンポン─」はシンガポール語で「相互扶助」「共存共栄」の意味。ゲーミングの管理を巡っては、シンガポール政府の厳格な規制を踏まえて実践。日本のIRを成功に導くポイントの一つとして、社長のタン・ヒーテック氏は「包括的な社会的セーフガードを実践する」と話す。
 (売上高25・4億シンガポールドル、本社シンガポール)


モナコ公国のIRとも




ギャラクシー・マカオ
ギャラクシー・エンターテインメント・グループ
日本地区最高執行責任者
テッド・チャン氏
日本のホテルオークラと提携

 香港のリーディングカンパニーとして「ギャラクシー・マカオ」を2011年5月に開業し、プレミアムマス(上級層)をターゲットにした経営戦略で急成長を遂げている。日本市場に参入するため、150年以上の歴史を持つモナコ公国のIR「モンテカルロ・ソシエテ・デ・バン・ドゥ・メール」とのパートナーシップを通してアジアのサービス精神や欧州の文化・伝統を取り入れているほか、日本の「ホテルオークラ」とも提携した。大阪については「エンターテインメントや豊かな食文化、歴史などで非常に人気のある日本でも代表的な都市」と捉え、進出に意欲的だ。大阪府市が誘致先とする人工島・夢洲の開発を巡って、最高執行責任者のテッド・チャン氏は「インフラ投資に関わっていきたい」と意欲的だ。
 (売上高70・3億ドル、本社香港)


世界的歌姫を定期公演




シーザーズ・パレス
シーザーズ・エンターテインメント
国際開発 社長
スティーブン・タイト氏
業界トップを自負

 世界5カ国で50以上のIRを運営。年間滞在客数は1億1500万人を超え、8700万人の会員を持つ「シーザーズ・リワード」を展開している。世界的歌姫と呼ばれるセリーヌ・ディオンさんの定期公演を実施するなど年間1万回のライブを開催し、ライブ・エンターテインメントのプロモーターとしてIR業界トップを自負している。MICE分野では2000人超の専任スタッフが、年間1万5000件の会議や研修、セミナーを通して約200万人の来場者をサポート。国際開発社長のスティーブン・タイト氏は「国際的な観光客を多く日本に呼び込むことが可能。シーザーズは日本にとって非常に有力な100年パートナー」と話す。同社は大阪をはじめ、苫小牧や横浜も念頭に日本進出を目指す。

 (売上高83・91億ドル、本社米国)


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