週刊大阪日日新聞

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2019/6/15

泉の広場の噴水姿消す 

秋には新生 リニューアルは3つのゾーン


▲改装イメージ

 大阪・梅田の名物スポットとして親しまれてきた地下街「ホワイティうめだ」にあった「泉の広場」の噴水が5月、リニューアル工事に伴い姿を消し、約半世紀にわたった歴史に幕を下ろした。味気ない地下街に潤いをと誕生した噴水は、流れる水の音とともに待ち合わせ場所にも最適と市民らに親しまれた。幾多の思い出を刻んだ場所は、秋には新たな姿でお目見えする。

 初代の噴水は1970年に誕生した。梅田の地下街は複雑な構造をしており「梅田ダンジョン」と呼ばれることもあり、迷った末に泉の広場は休息できる場所としても利用され、いつしか待ち合わせに好都合のスポットとして利用されるようになっていった。


初代「泉の広場」


2代目「泉の広場」


3代目「泉の広場」

 噴水は81年には白を基調にした2代目に代替わり。縁から水にはまる人も多かったという。大理石製の3代目はイタリアの彫刻家がデザインし、2002年に登場した。少年像も配置して潤いを与える噴水は、地下街の発達した梅田ならではの光景を演出してきた。

 撤去が決まってからは、撤去前のイベントとして思い出を公募したほか、人気の高いゲームの画面をイメージしたフォトフレームを配置したり、噴水にボールを浮かべるイベントやお別れの会も開催した。リニューアル工事に伴うとはいえ、役割を終える噴水に感謝の気持ちを込めた。

 公募した思い出話は1200件を上回り、さまざまな内容が記されていた。「初デートの待ち合わせ場所でした」「単身で大阪に出て、友達と休日に待ち合わせる場所でした」「20年前に自分の結婚式の3次会後に酔って泉にはまったことがあります」─など。感謝の声も多く寄せられていた。

 運営する大阪地下街リニューアル推進課の安藤伸子課長は「年配の方々が、同窓会をしたいと目印に泉の広場を待ち合わせ場所にしていました」と振り返る。

 迷路のような地下街で、3代にわたって憩いの空間になってきた泉の広場の噴水。リニューアルでお目見えする4代目は、光で水を演出するとい-う。

三つのゾーン

 ホワイティうめだには、延伸に伴い1期〜3期に分かれたエリアがある。今回のリニューアルは東側の2期エリア。飲食を楽しめる空間として生まれ変わらせる計画だ。泉の広場のある場所を含め、三つのゾーンに分けて工事を進める。

 工期は今年5月から11月で、全面閉鎖に伴い半年間は通行できない。大規模地震に備えて防災機能の向上や、エスカレーター設置やトイレのリノベーションなど快適性を向上させる。さらに防犯カメラを増設し、セキュリティー強化も図る。総事業費は約58億円。

 リニューアルするゾーンは、@扇町ゾーンA泉の広場ゾーンB新御堂筋ゾーン。開発コンセプトもそれぞれ設けており、扇町ゾーンは「大通り(ミールゾーン)」がキーワードで、ゆっくり散策を楽しむ大通りのイメージとし、毎日でも利用できる街歩き空間を創出する。

光の集合体

 泉の広場ゾーンは、扇町ゾーンと新御堂筋ゾーン、地上とをつなぎ人が滞留するシンボル広場とする。多くの歴史を刻んだ水の流れる噴水は姿を消したが、名称は継承して生まれ変わる。

 シンボルモニュメントは、実際の水を使わずプログラム制御したフルカラー発光ダイオード(LED)照明で、水の流れを表現。新たなシンボルとして水と木が合わさった生命の「WATER TREE(ウオーター ツリー)」(仮称)がお目見えし、多くの人々を迎える。

 光の集合体が、木のオブジェになるような造形とし、床はゆらめく照明で水面を表現する。新しい目印として姿を消した噴水の役目を継承していく。

 新御堂筋ゾーンは、地上の新御堂筋の高架下を地下につなげたバルの並ぶ小径としている。カウンター席中心のスタンディングバルなど、さまざまな業種業態の店舗が軒を連ねて、にぎわいのあるゾーンにする。

 突き当たりの壁面には「地下に昔からあった木が、新しく枝を伸ばし道や地下街に広がっていく」というコンセプトで、役割を終えた廃材や調理器具、缶類などで動物たちを表現したサルベージアートが来館者を迎える。

照明で時間の流れ

 さらに各ゾーンで特徴的なのが全体照明。自然光の移り変わりに合わせ、地下街でも時間の流れを表現するという。地下街にいても朝、昼、夜を感じるよう照明を工夫し、ゾーンごとに印象に残る情景をつくることにしている。

 安藤課長は「多くの人に『変わったんやな』と思ってもらいたい。古き良き地下街から新しいものに変わって、若い人に楽しんでもらえる地下街にしたい」と期待を寄せた。

ホワイティうめだ
 1963年11月  ウメダ地下センター(愛称・うめちか)として誕生
 70年3月  ウメダ地下センター延伸部分の現ホワイティうめだ2期竣工
 74年8月  現ホワイティうめだ3期(プチシャンゼリゼ)竣工
 87年4月  ウメダ地下センターから「ホワイティうめだ」に改称しリニューアルオープン
 2008年11月  阪急百貨店建て替えに合わせファッションロビーを「FARURU」にリニューアルオープン
 14年10月  ファッションロビーを「mikke」にリニューアルオープン
 19年5月  2期エリアのリニューアル工事に伴い泉の広場の噴水撤去開始

ここがキタの待ち合わせスポット

 「泉の広場」のように待ち合わせのスポットとして知られる場所は数多い。人生において悲喜こもごもの場面も演出してくれたり、時と場合によって待ち合わせの相手もさまざま。いろんなエピソードが生まれては、記憶の片隅に…。

 JRに阪急、阪神、地下鉄と複数の鉄道路線が乗り入れ、バスやタクシーなど交通機関の一大集結地でもある大阪・キタには、繁華街に繰り出す前の 待ち合わせのスポットとして知られる場所も数多い。目立つ建物や場所がひしめいているが、とにかく目印にしやすい特徴的なものもあり、設定しやすい。

 梅田地下街の「泉の広場」のほかにも、よく知られているのが阪急梅田駅構内にある大型モニター「ビッグマン」の前広場。阪急電車の改札を出て階段を降りるとすぐ目に入る。

 建物の外では、赤い観覧車がひときわ目立つ複合商業施設の「HEP FIVE」。若者たちの定番の待ち合わせスポットになっている。

 分かりやすいのは、JR大阪駅の駅ビルをつなぐ連絡橋にある時空の広場。エスカレーターで上へと進めば時間もつぶせる。中央コンコース北側でグランフロント大阪につながるアトリウム広場にも大型モニターがあり、目印にはもってこい。階段を降りればうめきた広場があり、最近はこの場所も待ち合わせる人も多い。


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