週刊大阪日日新聞

大阪市(北・都島・城東・旭・鶴見区)・守口市・門真市
(社)日本ABC協会加盟紙 251,012部

2019/6/1

どうする相続 争いを防ぐために!! 今回のテーマ「遺贈」

 遺言は自らが家族の状況や関係などを考え、最もふさわしい形で財産を承継させることができる。遺産争いを防ぐにも有効だ。しかし法的効力があるだけに、家族や関係者の利害に及ぼす影響は大きい。自分が相続するものと思い込んでいた財産が遺言で、他者に相続されると知れば「納得できない」となり、争いになるケースが少なくない。遺言で相続人に財産を残す行為を「遺贈」という。今回は遺贈のルールや注意点を取り上げた。

 法定遺言事項のひとつである遺贈は、通常の相続とは「遺言で」という点に違いがある。しかし、これが大きな違いである。なぜならば遺言がある場合、原則として遺言の内容に従って相続することになるからだ。遺言がないケースでは、相続人は法律で決められた割合(法定相続分)を相続するのだが、遺言ならば法定相続分とは違う割合で相続させられる。例えば複数いる子の相続分を等分にするのではなく、兄弟姉妹それぞれで「差」をつけことが可能だ。

「遺贈」先は誰でも良い

 遺贈によって財産を受ける者を「受遺者」というが、受遺者は法定相続人である必要はない。つまり子が生存している場合の「孫」でも、愛人や恩人といった人であっても、思うままに財産を残せるわけだ。相続人に気に食わない者がいて、ひとりだけ相続させずに仲間はずれにする意地の悪い人物だっている。法人であっても構わないので、ある団体に財産すべてを寄付することもできる。

 しかし、これでは「納得できない」という相続人が出てくる。中には財産をまったく貰えず、暮らしに困ってしまう場合だってある。

 そのため「思うままに」は原則とし、法律で法定相続人の権利が保障されている。これを「遺留分」といい、割合も直系尊属のみが相続人の場合は相続財産の3分の1、それ以外は2分の1と決められている。

 ただし遺留分が侵害されている相続人が「自己の慰留分を守る」ためには、侵害している受遺者に遺贈などの減殺を請求(遺留分減殺請求)しなければならない。期限内に請求しなければ、遺贈された財産はそのまま受遺者に相続されてしまう。期限は「遺贈があったことを知った時」から「1年間」。これを過ぎると時効になる。相続開始から「10年を経過」した時も同じく時効となる。

 そして今回の相続法改正で詳しく取り上げたが、請求するのは「金銭のみ」となり、「持ち戻し」される遺贈や生前贈与された特別受益から「居住不動産」が除外された。

特定遺贈と包括遺贈

 遺贈する方法には「特定遺贈」と「包括遺贈」の2種類ある。特定≠ニは「遺贈する財産を具体的に特定(どこそこの土地であるとか、なになに銀行の預金だとか)し、遺贈する」方法。特定した財産の全部であっても、3分の1などといった割合を示したものでも良いが、ただし複数人に1つの財産を割合的に相続させるのは、できれば避けるべきだろう。具体的にいえば分割困難な不動産や自社株などで、これは争いの火種になりやすい。

 包括≠ヘ相続財産を特定せずに、全財産の全部とか○割とかを示して遺贈すること。注意しなければならないのは、特定することなく財産が贈与されるので、借金などのマイナス財産があれば、遺贈された割合に従って引き継ぐことになる(特定遺贈は特に指定されていなければ、マイナスはない)。

 一部包括遺贈と特定遺贈を組み合わせて相続させることもできる。例えば息子に全財産の半分を相続=包括受遺=させ、残りのうち自宅と土地は妻、預金や他の財産を娘らが等分に分ける=特定受遺=といったやり方である。

 なお他の相続人との関係などから、受遺者が「辞退したい」というケースもある。この場合、相続放棄の規定が適用され、相続開始を知ってから3カ月以内に家裁に申し出る。一度行った遺贈の承認、放棄は撤回できないので、慎重さが求められる。また遺贈放棄しても相続人の地位まで放棄したことにはならないため、法定相続分はもらえる。


pagetop