週刊大阪日日新聞

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2019/6/1

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

地銀の経営 なぜ苦しい? 7割が減益、地銀を襲う再編の波

 大阪証券取引所などに上場している地方銀行、いわゆる地銀78行の7割(54行)が赤字や減益に陥っているよ。銀行で働く人は国内で15万人と言われていて、企業分類では第10位の巨大産業。一般的に言うと、健全で安定した経営で、行員は真面目で手堅いイメージ。でも、日経平均株価を見ると、地銀はおろか三菱UFJ、三井住友、みずほの3大メガバンクや大手証券会社でさえ低迷している。いったい地銀の明日はどうなるのか? 財務省が最も恐れるMMT(現代貨幣理論)の台頭を交えながら考えてみよう。

そもそも銀行とは?

 まず、現在の金融機関は「どうなっているのか?」を考えてみよう。簡単に言えば、みんなから預かったお金を企業などに貸し付け、その際に発生する金利でもうけるビジネスだ。市場の半分は3大メガバンクが占めていて、次いで地域密着の地銀と信用金庫や信用組合、高利で貸し付けるノンバンクなどがある。

 苦しくなった理由は次の3つ。@日銀の超低金利政策で利ざやが減ったAゆうちょ銀行など異業種からの参入があったりITの進歩でネット決算ができたりして、銀行の窓口でやる仕事が減少。仮想通貨などによるフィンテックと呼ばれる金融界への技術的浸食B特に地方は一段と過疎化が進んで商店や企業が減り、貸出先が減ったこと―などだよ。

八方ふさがりの地銀

 地銀は大手銀行のような海外展開を図る規模もないから、収入源と言えば、利ざやと手数料ぐらいしかない。それなのに、保有している国債の金利を下げられて収入は大きく減るし、貸し付け先を増やそうと思っても地域の中小企業は信用金庫や信用組合にガッチリ押さえられて競争するのもたいへん。先日のスルガ銀行の不正融資も、地銀をとりまく厳しい実情が背景にあるんだ。

 日銀は「地銀の6割は10年後には赤字に転落する」と予測していて、事態はさらに加速しているよ。金融機関はもともと規模ビジネス。大きくなればなるほど貸し出し量にゆとりができるから、県域を越えた合併や提携話しが盛ん。でも、独占禁止法上のルールや、地域が経済的に苦しい九州や東北では仮に1地銀が一つの県を独占しても既に立ち行かなくなり、赤字転落が予測されるなど先行き閉塞感が強い。

財政規律ホントに必要?

 銀行を苦しませる元凶になっている超低金利政策。これを日銀が続けるのは、アベノミクスによる金融緩和でインフレを誘導するためなんだ。経済統計では「戦後最長の景気拡大」と華々しく言っているけれど、わたしたちに実感がないのと同じように、金融界もその恩恵にほとんど浴していないよ。

 財務省が熱望する10月の消費税10%への引き上げは、金融緩和のためにバラまかれる国債の残高がついに897兆円に達し、2019年度予算の当初ベースで初めて100兆円規模を突破したことによる「財政規律の確立」という側面がある。つまり「ちゃんと返済計画を立てないと将来、子どもたちに借金を負わせることになるよ」と言っているんだ。

 みんなも「そりゃ、その通りだよね」と思うでしょ。でも最近、この従来の常識を覆すMMTという打ち出の小づちみたいな理論が注目されているのを知っているかな。下側に記事でまとめてみたよ。断っておくけれど、経済理論というものはどれも仮説だから、あくまで一つの考え方≠ニして割り切って読んでみて。


消費増税も必要なしって本当?
注目浴びるMMT≠ニいう経済理論

 MMTとはモダン・マネタリー・セオリー。日本語では現代貨幣理論と呼ばれる経済学説の一つだよ。

 具体的には、日銀が紙幣をどんどん刷れば、政府は国債を買ってもらって無限に借金できる。だから政府がどれだけ債務超過しても財政は破綻しない。すべて国内で完結し、外国からの金利上昇圧力が加わらないからだ―という理論だよ。

 米国が同じ事をすれば、ドルは世界の基軸通貨なので多国間経済に悪影響を及ぼすかもしれないけれど、閉鎖的な円建てなら大丈夫ということ。それが証拠に、政府の借金は長年膨らみ続けているのに一向に財政破たんする気配はなく、それどころか本来、リスクが高ければ上昇するはずの金利も低いまま。こうした状況から米国からは「日本はMMTの成功例」とうらやましがられているんだ。

 実はコレ、昔からある考え方なんだけど、米国下院議会で史上最年少のアレクサンドリア・オルシオ=コルテス議員(29)=民主党=が「連邦政府の財政危機論は、新自由主義者の陰謀だ」としてMMT、つまり「自国通貨建て国債をどんどん発行して財政赤字になっても、金利上昇と景気悪化にはならない」と声高に主張したことから注目されはじめたんだ。ちなみに彼女は、ニューヨーク最下層地域出身のヒスパニック女性。大学を卒業してウエートレスのアルバイトをしていたけれど、故郷で立候補し初当選。白人男性で富裕層出身のトランプ大統領を絶対的に嫌う真逆の人々にとっての象徴的存在で、自らも民主社会主義者を名乗っているよ。

日米しか通用せぬ

 MMTの大前提はコルテス議員も述べているように、「自国通貨建て国債発行」というのがキーワード。世界通貨ドルとゼロ金利で物価上昇が低い日本の円でしか通用しないとされている。特に日本は金融財政が国内でほぼすべて完結している。しかも国債を買ってくれるのは、半分が日銀、残りも銀行と証券会社が大半で、一般には数%しか出回っていない。この状況でないとMMT理論は通用しない。

国は借金し放題?

 そうなると「デフレ最中は財政赤字を承知でどんどん資金を市中に供給し、インフレに転じたならMMTを止めればいい」ということになる。それどころか、消費増税をする必要もなくなる。 財務省は消費増税を継続したいからMMT理論は絶対に認めない。今も「バラマキ継続は未来へのつけ回し」と宣伝している。その財務省は、借金が増えていることは常に公表するのに、資産が増えているバランスシート的な状況は明らかにしない。そこにご都合主義を感じる有識者も多いよ。さて、あなたはどう考えますか?


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