週刊大阪日日新聞

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2019/4/27

どうする相続 争いを防ぐために!!

「遺言書」と「遺書」、一字違うだけで役割が大きく異なる

 相続争い≠防ぐためには「遺言書」を残しておくことが、有効な手段である。とくに「相続人」編であげた例のように、子どもがいなくて、両親も亡くなっている人の場合などは、兄弟姉妹には遺留分がないので、争いが起きやすい。しかも相続関係が複雑になっていることが多い。これは数度の婚姻関係があったり、内縁の女性がいて子どもがいるなども同様に、争いの種≠ノなりやすい。遺言の必要性が高いといえる。今回は遺言書について考えてみよう。

 まず最初に、最近の終活<uームで「エンディングノート」が広く認知されるようになり、遺言書のマニュアルも含んでいるものが多いことから、遺言書についても知識を持つ人が増えてきた。しかし、なかに「遺言書」と「遺書」を混同している人が時折いる。遺書は「生前の思いや感謝」などとともに「死後の願い事」も示されていても、あくまでも個人的なメッセージに過ぎない。

法定遺言事項
・認知
・未成年後見人
・推定相続人の廃除とその取り消し
・相続分の指定、指定の委託
・遺産分割方法の指定、遺産分割の禁止
・遺贈
・遺贈の減殺の割合の定め
・信託の設定
・遺言執行者の指定、復任権、報酬
・祖先の祭祀主宰者の指定
・遺言の撤回
など「信託の設定」が信託法であるのを除き、いずれも民法で定められている。

 一方、遺言書は法的に認められたもの。遺言者の死亡で法的な効力が生じる。法律で定められた事項(表)以外のことを、遺言書に記載しても、それには法的効力はない。家族などへの感謝といったメッセージを入れることも可能だが、一字違うだけで役割は大違いとなる。

 法的なものだけに、遺言書にはいろいろとルールが設けられている。死後に争いにならないように注意することに加え、法的に無効にならないようにルールを守らなければ、せっかくの思い≠燒ウ駄になってしまいかねない。

 遺言は未成年でもできる。民法では満15歳以上とされている。有効なのかどうかが争点となることが多いのが、遺言書を作成した時の遺言者の判断能力を巡ってのものだ。

 すでに病状が重く、意識が混濁した状態となっていた男性が大阪市内の病院の病室で「俺が死んだら愛人≠フA子に○○円やってくれ」と家族のひとりに「頼むぞ」と告げた。その場で便箋1枚に遺言として記して、ほどなくして亡くなった。故人の願いを聞いた家族もA子さんのことは認めていて「そうするつもりでいた」。だが他の相続人が反対し、結局は「能力を欠いていた」うえに、内容不備≠ナ遺言書は認められなかった、という例がある。

 軽度の認知症も、能力を巡って意見の相違が多い。しかし認知症など精神的な障害の場合でも「一時的に回復した状況下」でなら、作成できると法律上も認められている。この場合、医師2人以上の立会いのもとで、「遺言できる状態であった」との証明が必要となる条件付きだ。

 また自筆証書には必要ないが、公正証書や秘密証書の場合は2人以上の証人が必要である。そして「未成年者」「相続人の配偶者及び直系血族」「公証人の配偶者や4親等内の親族、書記や使用人」は証人になることができない。つまりは血縁者や利害関係がある人以外の成人を証人に選べば良いだろう。証人になってもらえる人を探せなかったならば、有料だが、公正役場で紹介してもらうこともできる。

 遺言書は幾度でも書き直しができ、一番新しい日付(必ず正確に記入)のものが有効となる。しかし争いに発展しないように、新しい遺言書に「これまでの遺言は撤回する」ことを記載したうえで、改めて全遺産について記すのがベストだ。

 さらに「署名、押印」は重要。忘れたならば無効になってしまう。今年の改正で、パソコン打ちでもよくなった自筆遺言書に別紙として添付する「財産目録」の書類も1頁ごとにすべて署名押印しなければならない。偽造防止のためだ。ちなみに印鑑のシャチハタ≠ヘ認められない。

 遺言書を残しておけば、相続は原則として、その内容に従って分割される。自らの意思を反映させられるのだから、面倒がらずに作っておくべきだろう。


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