週刊大阪日日新聞

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2019/3/9

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

「増税仕方なし」は本当か?

マスコミも取り上げない特別会計

 衆院で3月1日、一般会計予算案約101兆500億円が可決され、参院に送られた。ところで、読者のみなさんは、国の予算はこの「約101兆円がすべて」と思っていないだろうか。確かにニュースを見ていると、この一般会計ばかりが取り上げられるから、一般会計がイコール国の予算と捉えてしまいそう。そうなると、「予算が足りないから増税は仕方がない」と思ってしまう。

 ところが、実際には一般会計とは別に特別会計というものが存在する。その規模は、一般会計の倍に近い200兆円に上る。この特別会計。しばしば「官僚の別の財布」とか、「ムダ遣いの温床」などと問題視されている。今日はそのカラクリについて考えよう。

一般会計の陰に隠れた特別会計 利権守る、何重ものカラクリ

ブラックボックス化

 2001年の小泉内閣で財務相を務めた東大阪出身の故・塩川正十郎さんは、この特別会計に対し、「母屋がおかゆをすすっているのに、離れですき焼きを食べているようなもの」と表現。財源不足に苦しむ一般会計に比べ、ゆとりのある特別会計を問題視した。そこで、小泉政権では特別会計の整理に乗り出し、官僚の天下り先になっていた独立行政法人(旧第3セクター)の統廃合にも着手。その数は減らしたのに、扱う金額は一向に減っていないんだ。

 これは、表面的に組織を統廃合しても人と金≠ノついてはそのまま残っていることを意味する。省庁再編も同じことで、省庁の数は減っても人と予算が減らないから結果は同じ。統廃合で、表向きにはムダを省いたことが国民に伝わり、実は組織が肥大化していくから、役人にとっては2度おいしい。そこが官僚という「日本中の秀才」たちの利口なところだ。

 そんな役人が考え抜いた特別会計だから、何重ものカラクリで守られている。チェックする側の国会議員がちょっとやそっとで理解できるはずがない。例えば、総額は予算上400兆円近くもあるが、国の金庫から直接入るお金もあれば、一般会計を経由して繰り入れられる分もあり、さらに特別会計同士でのお金の行き来があり、またさらにそれぞれの事業でもうかった分や借入金があり…。わざと複雑に入り組ませてあるから、読者も理解するには難し過ぎると思う。

金の出入り、さらに複雑

 一般会計の場合、予算はその年度で使い切ることが求められる。もし、残せば国庫に返納義務があるからだ。隠して次年度に持ち越すのは反則になる。ところが、特別会計は余ったお金(余剰金)を収益化でき、年度をまたいで持ち越しもできるから、金の流れはさらに複雑だ。その余剰金自体が年間総額で17兆円。つまり、「消費税額に匹敵する」ほどだから、「ホントに消費税10%引き上げは必要?」と首をひねってしまうよね。

 つまり、税収や借入金など議会の承認が必要な資金以外は、年金などの保険料や各種手数料が直接入る独立採算の形を採用しているから、余ったお金に対し、議会の直接チェックが効かない仕組みにしている。お金の使い道も、民間企業が絡んでくるとますます分からなくなり、会計検査院も立ち入れず、最後はウヤムヤ。実によくできた官僚たちの造形物と言える。

事業仕分け、はかどらず

 かつて民主党政権の時代に、「事業仕分け」で埋蔵金と呼ばれる余剰金の一部をひねり出そうとした。しかし、国家公務員は国のことより省利省益を優先するから簡単にシッポは出さない。結果はご存じの通り。絵に描いたモチと化し、民主党政権はあえなく崩壊した。

 現在は政治主導と言われる安倍政権だが、実際はかつての財務省独裁から内閣府と経産省による支配に代わっただけ。特別会計は、各省ごとに組み立てられているのでまったく手つかず。官僚たちの利権はずっと温存されていく格好だ。

メディアも勉強を

 日本の国会議員はなぜ、こうした問題へのチェック力が弱いのか。それは、議院内閣制で素人の大臣が、省庁のトップに入れ替わり立ち替わり座るため、官僚を引っ張っていく実力に欠けるからなんだ。野党議員も特別会計に切り込んだところで、中身が難しいし、有権者へのアピール度は弱い。つまり、労力のわりにメリットが薄い。追及する側もテレビ映りのよい派手な事柄が大好きだからなんだ。権力をチェックするべきマスコミもバラバラで勉強不足。政府や官僚からリークされる情報を垂れ流しているにすぎない。

改善ポイントは?

 有権者やマスコミは当初予算ばかりに注目せず、「実際に金がどう使われたのか?」を表す最終決算にもっと目配りすることが大切だよ。予算はあくまで 「あらかじめの試算」にすぎず、あとでこっそり補正予算の形で出してくる物の方が重要な場合もあるから。日本の官僚機構は東大を中心とした秀才たちの徹底した縦割り社会。国民に簡単にバレてしまうヘマは絶対にしないから、公開された資料をもとにネット上でひもといていく粘り強さが必要なんだ。


個別にみれば内容透ける

 ちょっと面倒だけど、個別の特別会計をながめてみよう。実はいくつかの大きな流れに分類できる。まず事業系≠ニ呼ばれる国交省の『自動車』や農水省の『国有林』『食糧需給』。公共事業などを確保するためだが、一般会計で十分対応できる。

 次に、電源立地開発や石油備蓄などの『エネルギー』や『特許』の特定財源系=B「国民のため、ホントにその量が必要?」とチェックしてみる必要がある。役人の試算の根拠や見通しは常に「最悪の場合」と脅しを入れて、想定しているからだ。

 保険系≠焉w年金』は市場投資に失敗して目減りしているが、米投資ファンドにやられているのに官僚は責任を取らない。『労働保険』や『地震保険』のバックアップ分も、からくりは特定財源系≠ニ同じで、金額が妥当か否かを再チェックしたい。

 役人が国際ファンドとやり合って収益を出す投資系&薄蛯焉Bその中の『財政投融資』も日本株の買い支えに使われている。『外国為替』なんて、円安ドル高を維持するために機能し、米国債を買う組織で、やり過ぎるといずれトランプ大統領から「為替操作だ」とやり玉に挙げられるのがオチ。『国債整理』にしたって、財政危機になればある意味海外からの資金調達チャンス。結果的にインフレになれば国債の償還は今より楽になるはず。市場経済を役人が牛耳ろうなどと考える方がよほど危なっかしい。

 最後の『東日本震災復興』はもちろん大切だが、その美名の下に安易な資金流用を摘発され事件化した業者も結構多い。


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