週刊大阪日日新聞

大阪市(北・都島・城東・旭・鶴見区)・守口市・門真市
(社)日本ABC協会加盟紙 251,012部

2019/2/23

大阪の教育最前線 
2年連続、政令市最下位の大阪 テスト結果で校長評価

 大阪市は独自に行う学力テストの結果を小中学校の校長の人事評価に反映させる制度を導入する。この制度で政令市最下位の汚名を返上できるのか。このニュースの概要を説明するとともに、学力向上のプロである学習塾の経営陣の声を下表にまとめた。

 吉村洋文市長の意向を受け市教委が案を作り、市総合教育会議に示した。学力向上の必要性に理解を示す声がある一方で、「学校は人間性の育成なども求められている」「目先の成績重視になって大丈夫なのか」などと戸惑う校長や保護者もいる。

 評価に使われるのは、毎年実施している小学3〜6年生対象の市の「学力経年調査」と、中学生対象の府の「チャレンジテスト」。市教委が下限を定め、各校で得点を伸ばす目標を設定。達成度に応じ校長を評価、校長の裁量で使える予算を変動させたりする。19年度は試行期間で、20年度以降、賞与や昇給の判断に使う。

 2007年に学力テストが開始して以来、大阪市は全国平均を全科目で下回る状況が続く。政令20市の結果公表が始まった17年度からは2年連続で最下位。危機感を示した吉村市長はテストの結果を教員の評価に反映させる意向を表明していた。

 元小学校長は「過去にも同じようなことが行われ、本来の授業が猛スピードで授業についてこられない児童、生徒が続出するなど多くの弊害が生まれた」と警鐘を鳴らし、元大阪市教育委員長でジャーナリストの池田知隆さんは「学力オンリーでは児童・生徒のコミュニケーション能力など他の目標が実現されなくなる。加えて貧困や経済格差が深刻な、大阪の地域性の問題もある」と指摘する。

 大阪市教委は「学力は校長評価の全体の一部。それ以外の項目も評価している」としている。


このニュース、学力向上のプロである塾経営陣はどう見た?

田中塾
田中紀章 代表

福島区福島4-2-75 ヤタリュウビル2F

Q1.校長評価で成績は上がると思うか?

 もちろん上がるはず。批判を恐れず画期的なことをやる校長が出てくると思うので。例えば、定期・実力テストの成績上位者を発表する、少なくとも本人には明確な順位を伝えるとか。お金と労力がいらない方法をまずやってみてはどうか。

Q2.そもそもなぜ、大阪の成績は悪いのか?

 正直、大阪の成績が悪いという実感はない。ただ、スポーツや習い事などに時間を割く子が多いのも一因かと。あと、学力テストを真剣に受けているかも気になる。「どうせ最下位やし」などといい加減に受けている子もいるのでは。

Q3.学力向上に「私ならこうする」というアイデアは?

 生徒たちに見学希望アンケートを実施し、中学主催で高校見学会を開く。バラバラに来ると高校側も困るから、周辺の中学校(最寄り駅別とか)合同で実施する。身近な目標を持ってもらうのが一番だと思うので。

個人指導塾 進化
小黒雄飛 塾長

北区天神橋2丁目北2-26 マルサンビル802号室

Q1.校長評価で成績は上がると思うか?

 家電メーカーの「シャープ」は人事の降格などが頻繁に行われ、結果的にV字回復した。2020年の教育改革も同じ。痛みがあるからこそ人は奮起する。子どもも民間の人も人事評価され、例え一時的に悪くなってもそこから人は奮起する。それが人が持つ素晴らしい能力。

Q2.そもそもなぜ、大阪の成績は悪いのか?

 すばらしい子どもも多くいる一方、疲弊した子供も。大阪全体の成績が良いとは耳にしないと思います。しかし、今は大きな変化をする前段階だから希望もあります。

Q3.学力向上に「私ならこうする」というアイデアは?

 子どもの成長を「認める」という文化で学習へのやる気を育む。すぐに答えややり方を教えるのではなく、まずは考え、ヒントをもらう。教えられる時間を自ら問題を解く時間へ時間を使う割合を変えていく。

京進スクール・ワン阪神野田教室
久保大和 教室長

福島区海老江2-1-31 青山ビル5階

Q1.校長評価で成績は上がると思うか?

 難しいと考える。学力だけでなく、スポーツなど何においても「自己」を強化しなければならないため。学力を上げようと、塾に通わせたり、勉強環境を提供したりしても最終的に自分が本気で向き合うかどうかが大切。校長評価という「他」の強化をしても難しいのではないか。

Q2.そもそもなぜ、大阪の成績は悪いのか?

 遅くまで実施しているクラブ活動の影響で、勉強時間が確保できていない子どもが多いように感じる。

Q3.学力向上に「私ならこうする」というアイデアは?

 ほめる指導で自己を強化させ、さらに自ら勉強する自立型人間に。勉強は大半が嫌だと思うこと。しかし、避けては通れないから、小さなことでもほめることで、またほめられたいと勉強に取り組むようになる。

自学教室フォレスタ
森功一 代表

福島区海老江1-5-40 KOビル203

Q1.校長評価で成績は上がると思うか?

 校長の旗振りで、自身の授業力向上に磨きをかけようとする教師が増えれば良いのだが、子供たちに与える課題の量を安易に増やす教師が出てくるかもしれない。そのことが単純に学力の向上につながるとは思えない。

Q2.そもそもなぜ、大阪の成績は悪いのか?

 大阪は、難関高校を目指すような一部の子どもたちを除き、家庭での勉強時間が少ない子どもの割合が高い。このため、学校の課題をこなしきれず、結果的に勉強の消化不良を起こしている状態の子どもが多いのではないか。

Q3.学力向上に「私ならこうする」というアイデアは?

 カリキュラムを無視した先取り授業ではなく、中学校の授業としっかり連携し、生徒一人一人の学力を下支えすることに徹した方が、結果的に子どもに余計なストレスを与えず、勉強に対する意欲を保つことができると思う。

アルカディア数学教室
渡辺大蔵 代表

城東区中央2-6-16

Q1.校長評価で成績は上がると思うか?

 2020年からの教育大改革に向け、現場の先生方は現在準備の真っ最中。新しい学力観による指導方法も評価方法も確立されていない中、目先の学力テストを上げろというのは混乱や反発を招くだけで、成果は上がらないのではないか。

Q2.そもそもなぜ、大阪の成績は悪いのか?

 子どもの学力と保護者の学歴・所得には強い相関があることが実証されている。また、大阪市は所得格差が大きい上に高所得層の私学志向が強い。それが私立上位校の参加しない全国テストで大阪の成績が低い要因の一つと思われる。

Q3.学力向上に「私ならこうする」というアイデアは?

 続かないのは「楽しくない」から。やりたくないと甘えられるのは「しなくていい」と思っているから。できないのは「どうせできない」と決めつけているから。「やってみよう」という動機と「できる」自信を与えれば、子どもは何でも自分からするようになる。

TKE個別指導学院
徳江篤史 代表

城東区関目1-19-18 キャピタル野江101

Q1.校長評価で成績は上がると思うか?

 一部の学校では成果があるように思う。理由は、組織のトップの意識が変われば、組織として成り立っている学校では、組織全体の行動・結果が変わるから。『一部』とした理由は、学校が組織として成り立ちにくい場合が一般企業よりは強いように感じるから。

Q2.そもそもなぜ、大阪の成績は悪いのか?

 大阪に限ったことではないが、成績が悪い(やるべき時にやらない)子の共通点として、親が子どもの成績や進路に興味を持っていない家庭が多いように感じる。まずはそこの改善から。

Q3.学力向上に「私ならこうする」というアイデアは?

 『例外を認めない教育の徹底』@部活動は週10時間までAテスト2週間前から部活動停止(大会や試合等も含む)B府内公立中学のテスト期間を統一Cテスト範囲、進度の統一。現在の公立中学校は例外が多過ぎる。小さな例外が大きな差を生んでいく。一切の例外を認めず、当たり前のことを当たり前にすることの重要性を学ぶ。

城東学院
村田たつや 塾長

城東区中央3-10-20 シャルマンコーポ野江111号

Q1.校長評価で成績は上がると思うか?

 テストの点は上がる。組織のトップだけででなく、職員全体が一丸となって本気になれば、その様子を見た生徒たちは変わっていく。職員のモチベーションをいかに上げるかは現場トップの力量次第。ただ、「学力=テストの点数」がすべてだとは思えない。学力とは総合的な生きる力。

Q2.そもそもなぜ、大阪の成績は悪いのか?

 経済的な背景が一つの理由だと思う。大阪の離婚率や就学援助率は全国平均を大きく上回っている。保護者は日々の生活に追われ、子どもの教育に手が回らない、もしくは教育機関に任せただけで安心しているところがあると思う。

Q3.学力向上に「私ならこうする」というアイデアは?

 まずは基礎・基本の徹底。やる気を出させるにはしっかりと評価をすることが大切。「できたね!」としっかりほめて、認めてあげることが本人のやる気につながる。そのためには日ごろから、小さな見逃しもないように、生徒たちをしっかりとみていることが大切。


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