週刊大阪日日新聞

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2019/2/23

どうする?相続 争いを防ぐために!!

〈相続放棄〉

 「相続放棄」が年々、増え続けている。20年ほど前から比べると、3倍を超え、4倍に近い数字になっている。身近な人が亡くなると、その人が残した財産をどう引き継ぐかという「遺産相続」の問題が発生する。相続で注意しなければならないのは、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金というマイナスの財産も相続しなければならないことだ。プラスがほとんどなく、借金ばかりを残された場合、相続人は思わぬ損害を被ることになる。これを免れるのが「相続放棄」という方法だ。

 地方で一人暮らしをしていた母親(58)が亡くなったと、大阪市内に住むAさん(30)が連絡を受けた。病気ひとつしたことがない元気者だった母親は突然の孤独死だった。夏の暑い盛りで、発見された時にはすでに遺体が傷んでいた。

 事後処理に駆けつけたAさんに待っていたのは、母親が住んでいた借家の、莫大な修理費の請求だった。大家が「全部造り替えなければ、他の人に貸せない」と強硬だった。預貯金はあったものの、それをはるかに上回る額が示された。障がい者であり、ずっと病院に通っているAさんには重すぎた。相談した友人から教えられたのが「相続放棄」だった。

 調べてみると、放棄の手続きは「意外に簡単」と思えたので、自身で「挑戦してみる」ことにした。故人が住んでいた地域の家庭裁判所に「相続放棄申述書」と戸籍謄本などの必要書類を提出する。申述書≠ヘ家裁のホームページからダウンロードできる。放棄理由や負債額などの必要事項を記入する欄があるが、はっきりしなければ「○を付ける」だけでかまわない。提出後に、さらに「相続放棄照会書」が送られてくるが、内容的には申述書≠ニほとんど変わらない。送り返して受理されれば、手続きは完了である。

 と相続経験者の友だちが貸してくれた参考書にハウツーが載っていた。しかし「実際にやってみると、やはり煩雑で、慣れないからだろうが、手間も思った以上にかかった」。なかでも面倒なのが、戸籍類の収集だ。故人の住民票の除票に始まり、自分の戸籍謄本、さらに故人との相続関係を証明するため戸籍、除籍、改製原戸籍など、故人の結婚や離婚、本籍地の変更(転籍)といった経歴を証明する「出生から死亡まで」の多種類の戸籍がいる。これは隠れた相続人≠ェいないかどうかを確認する必要があるためだ。

 しかも放棄は「死亡したことを知った日」から「3カ月以内」にしなければならない。ただし借金などの「調査が困難であった」ため認識できなかったケースについては「認識できた日から3カ月を計算」という最高裁判断が出されている。しかし、これはかなり手続きが煩わしい。葬儀費用などの必要経費は例外に、相続人名義の預金などであっても、きちんと相続内容が確定するまでは、遺産に手をつけない方が良い。処分したり、使ってしまうと、相続を承認したものと見なされ、放棄はできなくなる。

 また兄弟姉妹が複数いる場合の放棄は、全員がそろって放棄するのが鉄則だが、これが普通の者には難しいことが多々ある。兄弟姉妹にすでに亡くなってしまっている人がいた場合、相続の権利はその子どもにある。ところが子どもの代では付き合いが途絶え、住んでいる所も分からないといったことが少なくない。探し出す労苦が大きすぎるのだ。

 維持費が嵩む「遺された田舎の実家」など、相続放棄した方が得になることが少なくない。しかし煩雑な手続きはできない。そんな場合は弁護士や司法書士といった代行してくれる専門家に依頼するのも一案だろう。相場は10万円以内である。


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