週刊大阪日日新聞

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2019/2/23

牧尚人の弁護士対談 
第3回 後を絶たない児童虐待事件

小島法律事務所 所長 弁護士 小島 幸保
牧法律会計事務所 代表 弁護士 牧 尚人

 基本的人権を擁護し、社会正義を実現する表=が、弁護士の使命を全うするため活動を続ける面々と語り合う「弁護士対談」。今回は後を絶たない児童虐待事件などを小島幸保氏(46)=小島法律事務所所長=とともに弁護士の視点から論じる。

児相への弁護士配置「まだ手探り」

 小島さんの公式ホームページでプロフィルを読ませていただくと、業務災害の損害賠償請求事件を担当したことが、弁護士としての転機になったとあります。

小島 作業員がクレーンからの落下物の下敷きになった事故について、下請け企業の代理人を引き受けることになりました。前任の弁護士は十分な主張ができてなかったようです。資料集めなどに奔走し、裁判所へ提出した書類も100ページ近くになるなど、主張を徹底してやり直しました。
 結果、形勢を大きく変えることができました。当時の私は、仕事に全く自信が持てなかったのですが、この業務災害の損害賠償請求事件が初めての大きな成功体験になりました。それ以降、弁護士の仕事が楽しくなりました。

 少年事件も担当されていますね。

小島 少年が非行を繰り返している事案を担当すると、家族の支えが必要であることを実感します。しかし、実際は家庭で課題を抱えていることが多い。児童虐待の防止に力を入れることが少年非行を防ぐことにつながると考えました。同時期に夫婦間の子どもを巡る紛争事案も扱うようになり、紛争を解決する法律手続きを紹介した書籍『子どもの引き渡しの法律と事務』(清文社)も共著で出版しました。本書は2003年に出版し、その後、法改正なども盛り込み、新版、改訂版と続きました。

 児童虐待事件は後を絶ちません。

小島 千葉県野田市の小4女児死亡事件で、児童相談所の不手際が批判されていますが、現場の職員一人一人が抱える案件は多く、大変苦労しておられ、緊急性の高いものもある中、相当なプレッシャーがかかっていると思われます。児童虐待防止法が施行されたのは2000年のことです。16年の児童福祉法改正で弁護士を児童相談所に配置するよう義務付けられましたが、まだ、手探りの状況にあるのかもしれません。その中でも、私が所属している大阪弁護士会の特別委員会「子どもの権利委員会」は、虐待をはじめ子どもの人権保障に関する調査、研究、支援に取り組んでいるところです。非行、いじめ、虐待などの子どもに降りかかる問題はおのおのの問題が相互に影響していることが多く、総合的な理解、対応が必要です。

 使命感や強い思いがなければできないと思います。

小島 大阪は虐待の通告件数が多いですが、それだけ、啓発活動が進んでいるとも言えるのではないでしょうか。

 未成年に関する事案で印象に残っていることがあれば、聞かせてください。

小島 私が未成年後見人を引き受けた女子高生(当時)とは今も付き合いが続いています。彼女が成人して結婚式を挙げた時、私は親代わりであいさつをしました。彼女の赤ちゃんの名前には、私の名前の一字「幸」が入っていて、彼女に「名前をもらいました」と言われたときには驚きました。弁護士の活動は大変ですが、彼女は私の希望です。

 一つ一つの事案に全力を尽くせば、やりがいが見いだせると思います。私も担当した少年が、後に大学の法学部に入学したと聞いてうれしくなったことがあります。
 また、こんなこともありました。弁護を担当した万引犯が、裁判所に提出する反省文が書けないと言い出しました。理由を尋ねると、「字が書けずに恥ずかしい。捕まりたくて万引をした」と。事件・事案の一つ一つにドラマがあるようにも思います。一方で、人々を救う上で弁護士の活動には限界があると考え、政治家に転身する方も実際おられますしね。

小島 幅広く多くの方を救うという考えもとても重要ですが、私は担当した一人一人に寄り添っていきたいと思っています。

文責/深田巧


牧尚人(まき なおと)プロフィル

 仕事を通じて、まだまだ弁護士には相談しにくい、あるいは弁護士の仕事は遅いと思う人が多いと感じ、気軽に相談できるように2回目の相談まで無料で受付。加えてスピーディな対応をウリにしている。業務の遂行には、依頼者の負担を軽くするため、手を煩わせることは最小限に、ムダな費用も省くよう心掛けている。

牧法律会計事務所
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