週刊大阪日日新聞

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2019/2/23

旬の食、グルメがいっぱい 福島区

ウイステ野田阪神/ラグザ大阪/市中央卸売市場

 「天下の台所」として名をはせた大阪の中でも、大阪市福島区は食の中心を担う存在だ。飲食店が充実した街ではグルメ競争が激化し、商業施設は特色ある店舗展開で競争を勝ち抜こうと懸命。一方、各地の食材が集まる市中央卸売市場も、出入り業者が減る中で巻き返しを図ろうと魅力発信に趣向を凝らす。

グルメで誘客 2大施設は特色ある店舗展開

■おふくろの味(ウイステ野田阪神)

▲旬の食材を使った手作り弁当が人気の「咲菜」=野田阪神ウイステ

 野田阪神ウイステ(海老江1丁目)は、飲食や総菜、生鮮食品、和・洋菓子など、食に関するさまざまな店舗がそろい、地元住民やサラリーマンの胃袋をがっちりつかむ。

 野田エリアは梅田から近く、利便性の良さが特長。長年住み続ける地元住民に加え、ここ数年はタワーマンションが次々と建設された影響で若い世代の家族連れも増え始めた。

 周辺にはオフィスも点在し、客層は地元住民からサラリーマン、大人から子どもまで多岐にわたる。施設を運営する阪急阪神ビルマネジメントは、飲食店のジャンルが重ならないように調整する一方、出展者と定期的に会合を開き、季節や客層を絞ったメニュー作りで誘客につなげようと工夫している。

 1階にある手作りの総菜や弁当を販売する「咲菜(さかな)」は、昼夜を問わずお客さんでにぎわう。特にランチタイムはおふくろの味≠求めるサラリーマンが足しげく通い、連日行列ができる人気ぶりだ。

 目当ては手の込んだ煮物や旬の食材を使った総菜などバランスの良い弁当。日替わりや魚をメインにしたものなど常時4、5種類用意し、食欲を刺激する。担当者は「全て手作り。常連さんが多い」と白い歯をこぼす。

■日本料理を身近に(ラグザ大阪)

▲2月にオープンしたばかりの「はつえダイニング」は本格的な日本料理が味わえる=ラグザ大阪

 阪神福島駅前にそびえ立つ複合施設のラグザ大阪(福島5丁目)。ビルはオフィスやホテルが多くを占めるが、地下1階のラグザスクエアでは10店舗の飲食店がサラリーマンやOL、主婦らの食欲を満たしている。

 リーズナブルな居酒屋が多く、梅田などと比べ気軽に立ち寄れる店が中心の福島エリア。ラグザスクエアも串カツやお好み焼き、ラーメンなどの庶民的な店がずらりと並ぶ。

 そんな中に、対照的とも思える本格的日本料理の「はつえダイニング」が、2月1日に移転オープンした。以前は完全予約制で懐石料理を提供していたが、移転を機に若い世代にも日本料理を身近に感じてもらおうと、単品料理の提供を始めた。

 男女の好みや季節に応じた食材を使うため、メニューは月2回入れ替えるという。西川房良店長は「食事で季節を感じてもらいたい。今後は地酒も増やしたい」と意気込む。

 同施設は、路面店の多いエリアから地下へ人を呼び込む仕掛けづくりにも力を入れる。2月は「ハッピーアワー」と銘打ち、テナント店舗が1杯目のビールを100円で提供。毎週土曜日には、京阪神の農園や農家から旬の野菜や果物などを集めた「ラグザdeマルシェ」を、1階広場で開催している。福島エリアの飲食店が展開する「福島バル」にも参加し、認知度向上を図っている。

 ラグザスクエアを管理する阪急阪神ビルマネジメントの担当者は「地上から地下への誘客が鍵。いろんなイベントを活用し、誘導したい」と話した。

天下の台所、食で巻き返し 「ざこばの朝市」や「すし船」で活況

 寒さが身に染みる2月の明け方。大型トラックが道沿いに並び、運搬用のターレットトラックが慌ただしく商品を運ぶ。東京・豊洲市場に次ぐ、日本で2番目の取扱高を誇る大阪市中央卸売市場は活気にあふれていた。

■「朝市」展開

▲大セリ大会などが人気で、多くの家族連れなどでにぎわう市中央卸売市場前港の「ざこばの朝市」(実行委員会提供)

 市場には現在、水産154社、青果119社、加工品4社の計277社が軒を連ねる。通常、出入り業者以外の入場はできないが、飲食店に限っては一般の人も利用できる。新鮮な食材を使った料理を求めて訪れる人がいる。同市場本場市場協会によると、営業日には場内見学も受け付けており、小学生の団体など年間約1万人が見学に来ている。

 大阪の食の拠点となっている同市場だが、最盛期に比べて出入り業者は大幅に減った。「統廃合や廃業で、30年前に360社あった水産会社は150社ほどになった。どうにかしないといけない」。水産卸「三恒」の三上正剛社長(46)は危機感を募らせる。

 三上社長をはじめ、出入り業者の有志が市と協力して8年前から始めたのが「ざこばの朝市」。市場前の公園を使い、市場の魅力発信や食育をテーマにしたイベントを年4回開いている。

 子どもが料理して振る舞うキッズレストランや車エビ釣り、千人に当たる大抽選会、音楽ライブとさまざまなイベントを展開。大セリ大会は毎回好評で、多くの来場者でごった返す。福島区の回覧板や小学校のビラ配りなど地道にPRを続け、来場者は当初500人ほどだったが、今では1万人が訪れるまでに成長した。

 三上社長は「私たちが話すのはスーパーや百貨店の担当者ばかりで、消費者と直接話す機会がなかった。(イベントを通じて)お客さんの求めているものが分かるようになった」と手応えを感じている。この経験を生かし、飲食店など4社が事業を拡大するなど広がりも出てきた。

■「すし船」も

▲ベイエリアの景色を眺めながら食事を楽しめるすし船「鮨

 1月には、船内にカウンターを設けた珍しいすし船「鮨(すし)」が市場前の船着き場を発着点にオープン。さっそく予約が殺到するなど、話題を呼んでいる。店主は、予約が取れない名店で腕をふるった佐伯裕史さん。海遊館の観覧車やみなと大橋、天保山大橋といった大阪ベイエリアの景色を約2時間半かけて楽しみながら、佐伯さんらすし職人が握るすしを堪能する。

 午後5時半からのディナーのほか、土・日・祝日はランチも用意。すし職人の一人、川上広昭さんは「まさに異空間の雰囲気。絶景を見ていただきながら、リラックスして過ごしてもらいたい」と話し、腕に磨きを掛けている。


福島区の飲食店主さんに聞きました!

高層マンションのファミリー層獲得に期待

「福島区に店舗を構えた理由は?」
「最近はどんなお客さんが来るの?」
「インバウンド効果は?」

▲高層マンションの建設が相次ぐ福島区

 大阪市の「食」エリア福島区について、週刊大阪日日新聞社が地元の飲食店主にアンケートした結果、建設が進む高層マンションに入居するファミリー層などの取り込みに期待する店主の意識が浮き彫りになった。一方、急増するインバウンド(訪日外国人客)効果を実感する声は少なかった。

 大阪市によると、福島区の人口7万5896人は市内24区のうち21番目の規模だが、前年比2・0%の伸び率は北区の2・9%、西区の2・8%に続いて3番目だった(2018年10月推計)。

 人口増加の要因として考えられるのが「職住近接」のトレンドを背景にした高層マンションの建設ラッシュだ。

 福島区に店舗を構える理由について、アンケートに答えた店主は「マンションも増えるので伸びしろを感じた」(ミライザカ野田阪神店)、「大型マンションの建設が進んでおり、新しく来られたお客さまを大事にしていきたい」と期待している。

 往時は企業城下町の「社用族」が高級なワインやウイスキーを注文していたと振り返るイタリア料理モデナは「今は地元の常連やファミリー、若いカップル。客層は変化している」と分析している。

 インバウンド効果については「周辺に民泊施設も多くあり、ここ3〜4年は海外の客も増えた」との声があるものの、大半が「効果なし」と回答。地下鉄・野田阪神駅と阪神線・野田駅を乗り換えるインバウンド客を見かける程度という意見もあった。


アンケートに協力していただいた飲食店は次の皆さん(匿名希望者は除く)

 志な乃亭野田阪神店、焼肉七つ星、フクシマCHI・i・NA、ふる川、たこ焼き風風、肴酒や忠、お好み焼きよしい、ミライザカ野田阪神店、イタリア料理モデナ(順不同)

※アンケートにご協力くださいました方々にこの場をお借りしてお礼申し上げます


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