週刊大阪日日新聞

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2019新春号

新春特別インタビュー 
メルコリゾーツ&エンターテインメント
 会長兼CEO ローレンス・ホーさん

大阪文化に敬意を表しつつ、最先端エンタメを演出
本社の日本移転も視野


「家では楽しい優しいお父さんです」と話すローレンス・ホーCEO

 中国・マカオを中心に世界で革新的な統合型リゾート施設(IR)の創出を続ける大手事業者、メルコリゾーツ&エンターテインメント(本社・香港)。5歳の頃の初来日以来、ローレンス・ホー会長兼最高経営責任者(CEO)は日本をこよなく愛し続ける。最先端エンターテインメントの日本進出に意欲を示すローレンス・ホーCEOに話を聞いた。

日本が大好き

 ここ最近、2週間に1度ぐらい日本に行っている。日本に帰ることは、私にとっては非常にうれしいこと。

 私が日本のIRに興味を持っているのは、ビジネス以上のことがある。5歳の時に初めて日本を訪れて以来、300回、350回とかなり日本に行っているが、日本のパッション、歴史、文化などがとにかく大好き。ですから、日本にIRをつくることを非常に楽しみにしている。

 マカオのコタイ地区で総工費1200億円をかけて、772室を兼ね備えたホテル「モーフィアス(夢の神)」を2018年6月に開業した。なぜモーフィアスをつくったのかいろんな人に聞かれるが、実は、ショーケー スみたいな物をつくりたかった。このショーケースを皆さんにお見せすることで、日本にどのようなものがつくれるのかを提示したい気持ちがあった。

 IRの市場としては、マカオやマニラなどの市場が先行しているし、当然、客数も増えている。しかし、開発者としては、新しいお客さまの新しい体験をつくり出していくことが非常に重要だと思う。洗練された上質なものをつくっていく、そこに私は重きを置いてきた。日本にくるお客さまのセンスや求めているものは質の高いものだと思うので、そこに注力していきたい。

日本を観光立国へ

 この業界は、10年前からゲーミング業界として成長してきた。マカオも昔はギャンブル一辺倒だったが、今はギャンブル以外のノンゲーミングの所で非常に発展性があると感じている。

 今、日本の観光業の成長を支えているのはグループツアーだったり、少し前までは爆買いだったりした。しかし、そういう方々の日本の文化やローカルのならわしに反するような行動で、日本人やその土地の人が大切にしているものを壊したりしていることを非常に危惧している。機会があれば「それはやめなさい」と自分が言うこともある。

 日本が観光立国になるためのお手伝いをする上で、質を高めた観光業を大切にしていかなければならない。大阪にIRができたとすれば、当然、広域観光への貢献が期待できる。日本人が大切にしてる量より質、この質の高いものを観光業界でも守っていかなければいけないと感じている。


▲2018年6月に「シティ・オブ・ドリームス マカオ」に開業したモーフィアス。マカオのリゾートシーンを一変させるランドマークとして誕生

 そしてなぜ可処分所得が多く旅行での支出が多いプレミアム層にフォーカスするかというと、プレミアムなお客さまは教育水準も高く、文化、伝統に敬意を払うお客さまが多いので、日本の文化や歴史に敬意を払ってくれると思っているからだ。

 プレミアム層を引きつけるには、モーフィアスのようなホテル以外にもミシュランの星付きレストランや評価の高いスパなど、ノンゲーミングの施設が大切になってくる。もちろん値段の高い店もあるが、リーズナブルな店も備えている。皆さんが楽しんでいただけるように、エキサイトとエンターテインメントには高い値段をつけるわけではないので、いろんな方がいろんな楽しみ方を味わっていただける施設にしたいと考えている。

世界トップ10

 モーフィアスは開業して2カ月後にタイム誌が選ぶ「もっとも素晴らしい場所100」に選ばれ表彰していただいた。もし弊社が日本のIRをつくるライセンスを取得できたあかつきには、トップ100ではなく、トップ10に入るような施設をつくっていきたいと思う。

 日本ではIRをつくることに対して反対している方もたくさんいる。そこは、政府、自治体と協力しながら、どのように日本のために貢献できるのかを協議し、努力を続けていきたい。

 懸念が高まるギャンブル依存症だが、その対策はすでにあるパチンコ、競馬、競輪などの既存の娯楽業界にとってもいいことだと思っている。IRができることによって、責任あるゲーミングへの取り組みが制度化されるので、そこは既存の業界にとってもいい相乗効果が表れるのではないかと考える。

 また、確実に経済発展のモデル事業になるだろう。雇用の促進もそうだが、IRのミッションの一つである地方創生に税収で貢献できるというアドバンテージがある。

 そしてもう一つ重要なのはパートナーシップだ。企業はもちろん、特にコミュニティーとのパートナーシップを重要視している。IRを開発してきた全ての土地で、パートナーシップを大切にIRをつくってきた。エンターテインメント、レストランなどノンゲーミングの全てにパートナーシップを活用してさまざまな新しい価値、新しい製品の研究に務めてきた。

 これから、地域コミュニティーと密着した形で日本での活動を続けていく。IRをつくるために盛り上げていくイベントもハイクオリティーなものにできるように、日本をもり立てていきたい。

万博の記憶継承

 大阪には80回ぐらい行っている。大阪はIRの候補地になる前から家族で旅行しているし、12歳の娘はUSJに何度も遊びに行っている。大阪は気さくな雰囲気で楽しく、やることがいっぱいあるので、大阪は日本が観光立国になるために貢献できる要素があると見ている。娘が大阪に住みたいと言ったら、全面的にサポートしたい。

 2025年の大阪万博開催決定はすばらしいことだ。しかし万博は半年間なので、その半年後にどうするか。逆にIR事業者と万博をつくっていく政府、自治体が一緒に行う夢洲のプランにどのように協力できるかが重要だ。IRがこれからずっと存在する限り、万博があったという記憶を皆さんの中にとどめておくことができるはず。手を取り合って新しいものを一緒につくっていって、万博が終わった後も皆さんの心に残るような形で残したい。そういう所でお手伝いできればいいと思っている。

  (聞き手は松村一雄)


メルコリゾーツ&エンターテインメント(本社・香港)

 アジアを中心にゲーミング事業およびエンターテインメントリゾート施設の開発、所有、運営を行う。革新的な総合型リゾート(IR)の創出を経営ビジョンに掲げ、21世紀のゲーミングおよびエンターテインメント産業全体をけん引。日本で世界最高のIR開発を目指す。


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