2017/5/13

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
メルカリ、アマゾンが騒動に ネット通販で相次ぐ問題


▲現金や妊娠菌付き商品、誰でも簡単に売り買いができるフリマアプリ「メルカリ」

 現金や妊娠菌付き商品、領収書や卒業アルバム…。インターネット上のフリーマーケット「メルカリ」に出品された商品が波紋を広げているね。また、企業や店舗が直接商品をアップロードして売買するアマゾン のマーケットプレイスではアカウントの乗っ取り騒ぎが…。みんなが便利で手軽≠ニ急成長した直販サイトだけど、思わぬトラブルから管理の甘さが出てしまった。急成長の一方で、置き忘れられた倫理≠ニいう重いツケを背負うことになってしまったよ。

 日本国内のフリーマーケットのアプリは「ジモティー」や「ZOZOフ リマ」など30ほどあるよ。中でもメルカリは2013年にサービスを開始して以来、スマホ専用アプリのダウンロード数が約4千万、1日の出品数が100万件、月間取引額は100億円超に巨大化し、業界最大手になったんだ。

 人気の秘密は手続きの簡単 さ=B売り手の登録・出品は無料で、品物をスマホで撮影し、希望価格とコメントを入力するだけ。売り手の決めた値段で売れるからオークションのように時間はかからない。もし売れなければ、値引き交渉などがネット上でできるんだ。

 買い手が振り込んだ代金はいったんメルカリが預かり、品物が届いたことが確認されると手数料1割を引いて売り手に支払われる。配送もメルカリが出すバーコードでコンビニ受け付けの宅配便を使えるので双方の匿名性も守られる、実によくできた「ネットならでは」のビジネスモデルだね。

 こうした中で、今回の問題が起きた。メルカリ運営者は、あらかじめ出品できない品物として、火薬類などの危険品、たばこや薬品、商品券・クレジットカード・宝くじ、生き物、ブランド品などの偽物、クリーニングしていない制服、アダルト関係物などを指定していたんだ。

 でも今回のように思わぬ品が出され、貸金業法や景品表示法、医薬品医療機器法などに違反する恐れが出た。24時間監視で今も削除に追われているよ。

ネットビジネス 何か変!? 極端に安い物、ご用心を

なぜ現金が高く売れた?

 ニュースになっていた現金が額面より高く取り引きされた仕組みを解説するよ。まず買い手は多重債務者などのケースが多い。彼らは現金がない中で借金の返済期限が迫っている。だから、とりあえず後払いのクレジットカードで取り引きして現金を手に入れ、返済に間に合わせるというわけ。

 パチンコで換金できる特殊景品も同じ理由さ。妊娠菌付きの米やブレスレット、お守りなどは実に微妙。「単なる願掛け」と言われればまかり通りそうだけど、医学的な裏付けがないから詐欺にもとれそうだね。領収書は不正請求や脱税のほう助に。中高生の卒業アルバムはアイドルなどの個人情報入手が目的だから、禁制品とスレスレの状態だよ。

お金のだまし取りには警戒していたけれど…

 メルカリでは過去に、トイレットペーパーの芯100個(子どもの工作用)、ニス仕上げのドングリ50個(手芸用)、離婚届用紙(役所に直接行きたくない人向け)、大学卒論(中身を引用し提出)など変わった出品もあったけれど、違法性がないからほぼOKだった。

 反対に同社が警戒していたのは、悪意のある出品者がお金だけをだまし取るケース。だから、お金をいったんメルカリが預かって、実際に品物が届いたかどうかを確認してから支払うようにしていたんだ。

 今後は、出品監視員を2年以内に200人に倍増。利用者の利便性を維持したまま、違法な可能性のある出品へのチェックを強める方針だよ。

 一方でアマゾン・マーケットプレイスは、架空の激安商品を出品して購入者からお金や個人情報をだまし取る目的の事件が起きている。アマゾンもメルカリと同じように利用者の手軽さを考えて、日米とも登録に必要なのはメールアドレス、クレジットカード番号、電話番号の3つだけでほぼ審査なしでOK。だから、悪質業者が入り込む余地が生まれてくるんだ。

見分けるポイントは?

 では、悪質なものをどうやって見分けるかだけど、同じ商品で極端に安い物はまず疑って掛かろう。さらにチェックポイントとして、@新規の出品者(詐欺犯はアドレスをひんぱんに変えて過去の犯罪歴を隠す)A取り扱いが海外(追跡されにくくする)B納入時期を先に設定(発覚を遅らせる)―には注意が必要だよ。

 アマゾンでは正規出品企業のアカウントを乗っ取って、振込口座もひそかに変更、実績のある善良な業者を装って正規販売しているように見せかける悪質な手口も出始めていて、こちらもいたちごっこ。

 アマゾン側はこうした売買トラブルに、90日以内なら30万円を限度に保証しているけれど、たとえお金は戻っても個人情報が筒抜けになってしまう恐れもあるよ。

 業界の老舗であるヤフーオークションでも「出品写真と送られてきた実物が異なる(ように見える)」といったトラブルは日常茶飯事なんだ。

 こうしたネット上のフリマサイトの危険性に、日本のフリーマーケット事業の草分け的存在、大阪・南堀江のフリーマーケット社・浅野秀弥社長は警鐘を鳴らしているよ。

 「リアルなフリーマーケットは、出品者と購入者が対面で売買する信用取引で成り立っている。私たち主催者の最大の役目は、場所の確保と同時に出品者のチェック。ブランド品にニセ物はないか?

 盗品故買の片棒を担ぐことはないか?

 会場をくまなく回って調べるし、悪質者のブラックリストも作る。私たちもネット化できないか?≠ニ散々研究してきたが、リスクの方が大きいから、あえてバーチャル化を見送った。確かにネットは便利だが、リスクも隠れていることを肝に銘じて売買をしてほしい」と言っているよ。

 大きなサービスを営利事業として立ち上げた以上、仕組みの倫理基準はあくまで主催者責任。成長産業は社会的に重い責任を負っていることを、改めて自覚してもらいたいよね。

■「メルカリ」の奇妙な出品にはこんなものが…

現  金… 1万円札5枚が5万9000円など
高級魚のオブジェ… 1万円札5枚で作った折り紙。5万9000円
交通系ICカード… 2万円チャージ済みで2万5000円
スターのサイン入りマスク… 現金1万円のキャッシュバック付きで1万4000円
幸せの絵馬… 現金10万円のキャッシュバック付きで13万円
領 収 書… 金額記入で宛先なしのもの
妊娠菌付き妊娠米… 180ミリリットル330円
卒業アルバム… 高校名年度の分かる物で1万2000円
コンビニの名札付き制服… 6000円