2017/3/11

特集 長く安心して住める住宅 「四季の国・日本」は地震大国 
耐震住宅は死者数を減らすカギ

いつ発生してもおかしくない巨大地震


震災の被害にあった家屋

 2011年3月11日に発生し、未曾有(みぞう)の被害をもたらした東日本大震災から6年目を迎えた。地震大国・日本はその後も震度7の揺れが2度も襲った熊本地震が発生するなど「いつ・どこで」地震が起こっても不思議でない。関西でも南海トラフ巨大地震の発生が高まったとされる中、あらためて耐震住宅での備えを考える必要がありそうだ。

家屋倒壊で7割死亡

 東日本大震災では、主に津波により38万棟の住宅被害、2万人近い死者・行方不明者がでた。

 昨年4月14日に発生した熊本地震で犠牲になった37人の死亡場所は7割超が家屋の倒壊が原因だった。その半数は耐震基準が厳しくなる1981年6月以前に建てられた家屋であったことも判明した。

 この数字は95年1月17日早朝に起こった阪神大震災の死亡原因の80%が「建物倒壊による窒息」とほぼ同じ割合だった。

南海トラフ巨大地震という時限爆弾

 「今後30年間にこの地域でマグニチュード8以上の巨大地震が発生する確率は60〜70%」(政府の中央防災会議)と言われている南海トラフ巨大地震への備えも急務だ。

 この巨大地震は、四国の南の海底にある水深4000m級の深い溝(トラフ)で北西のフィリピン海プレートと大陸側のユーラシアプレートが衝突して下に沈み込んでいる帯≠ナ非常に活発で大規模な地震発生帯だ。

 マグニチュード9クラスの南海トラフ地震が発生すると、静岡や高知などでは震度7、大阪府では震度6強の地震が観測されると考えられている。最大で死者32万3千人〜33万人、倒壊家屋238万6千棟。この死者数は東日本大震災の20倍近い数字だ。大阪府全体での犠牲者も7700人、建物倒壊が33万7000棟、直接の被害額は24兆円といわれている。

 三重県の南東沖で昨年4月1日に発生したマグニチュード(M)6・5の地震について、政府の地震調査委員会は昨年5月13日、南海トラフ地震につながる可能性のある「プレート境界地震」との見解を明らかにした。

上町断層帯の直下型地震

 大阪では南海トラフ巨大地震以外にも上町断層帯での直下型地震の発生が危惧されている。

 上町断層帯は豊中市から大阪市を縦断し、岸和田市までのびる長さ40キロの活断層。中央防災会議の想定では、上町断層帯地震の規模は阪神大震災を上回るマグニチュード7・6。もし、上町断層帯地震が起こった場合、大阪市危機管理室の被害想定によると、大阪市内の建物はほぼ55%が全半壊するとしている。

構造で異なる被害


地震による建築物の構造別被害では木造建築物が特に被害が大きい

 防災のキーワードは『自助・共助・公助』と言われるが、自分と家族を守るためには公助だけに頼るのではなく、強い家を選ぶことが重要だ。阪神淡路大震災は建物や家具の倒壊による圧死者が目立ったが、なかでも木造建築物は全壊率約40%、半壊率約30%と特に被害が大きかった。

 建築物の構造別被害率は木造建築物のケースは建築年代が古いほど被害率が高く、鉄筋コンクリート造は比較的に少ない被害でとどまった。

 また、糸魚川市大規模火災は、まだ記憶に新しい。あらためて耐火性能が強い住宅は大切な資産や家族の命を守ることを実感させた。

 東日本大震災の災害調査委員長を務めた田中礼治東北工業大名誉教授は「私たち日本人は東日本大震災で初めて津波に負けない建物があることを知ったのです。南海トラフ巨大地震では220兆円の被害が推定されていますが、建築で努力すれば50兆円は救えると思います」と話している。