2017/3/11

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
森友学園問題 

国有地がなぜタダ同然で払い下げられたのか?

 豊中市の国有地を学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)が格安で払い下げられ、私立瑞穂の國小學院を今春開校しようとした件で、地元・大阪では騒ぎが収まらない。

 主な論点は3つ
@14億円と言われた国有地がなぜ実質タダ同然で払い下げられたのか?
A首相夫人の安倍昭恵さんが最近まで名誉校長に名を連ねていたことの是非
B現在幼稚園と保育園を運営する同学園は、右翼的教育で元父兄と訴訟になっているがその教育実態は?との内容。

 仮にあっせんを巡って政治家や役人に金品授受があれば、「斡旋(あっせん)収賄、または収賄」で刑事事件に発展する可能性もある。この構図を調べてみよう。

政治家の関与は?


パースを使って新校舎を紹介する籠池理事長

 現場は豊中市野田町の名神高速道路添い。阪急宝塚線庄内駅から北へ10分ほどの文教地区。大阪国際(伊丹)空港に近くかつて騒音対策として国が買い上げたアパートや町工場などが点在していたが、その分まとまった用地が確保できることから豊中市立の野田小や第十中をはじめ大阪音楽大などが校地を連ねる。瑞穂の國記念小學院は既に校舎が完成しており、現在は校庭整備の段階。入学説明会が開かれているが、入学予定者数は明らかにされていない。仮に開校延期となっても義務教育だから、公立小学校入学手続きは3日前でもできるので、子どもたちへの影響は心配ない。

 最初は「なぜ隣地の豊中市には15億円で、森友学園は実質ゼロか?」と言う素朴な疑問。行政が公有地払い下げで物分かりのよい手続きを取る時は、「政治家の『横』からの関与、または官僚組織の『上』からの指示がある」というのが常識だ。

 役人は常に前例にこだわる。ところが、この件はかなり以前から私立小の開校を目指し、大阪市内の統廃合後の公立校跡地などを物色していた森友学園が「安倍晋三記念小学校」設立寄付呼びかけを始めたあたりから、役人の動きが急にスムーズで手厚くなった。

 籠池理事長と政治家の関与については、既に鴻池元防災担当相(自民党参院議員)本人や秘書とのやり取りが明らかになっているが、どうも他にもさまざまな人間に役所への口利きを頼んでいるふしがある。見逃せないのは、安倍総理夫妻の直接の口利きがなくても、機を見るに敏な官僚側が「この件は総理関係案件だな」と気を利かせ便宜を図った形跡があることだ。

■森友学園瑞穂の國小學院をめぐる動き
2010年 3月 近畿財務局、豊中市野田町の隣接国有地(9492平方m)を豊中市に14億2300万円で売却
7月 現場の国有地(9492平方m、不動産鑑定価格9億5600万円)の購入をお隣の大阪音大が希望。価格折り合わず
2013年 6月 国有地の売却公募開始
9月 森友学園、公募に応じるも「買えない。賃貸で、できるだけ安く」と申し入れ
2014年 初め 「安倍晋三記念小学校」建設寄付の呼びかけ開始
10月 府に対し「小学校設置認可」申請、翌15年1月私学審が「認可適当」議決。後は府の判断待ち
2015年 5月 用地の定期借地契約締結
後半 用地整備にあたり、大阪航空局が1億3176万円を負担して学園が土壌改良実施
9月 安倍昭恵氏、名誉校長就任
2016年 3月 建設工事現場から、大量の生活ゴミ発見
4月 国がゴミ撤去費用8億円と算定
6月 借地から売買に切り替え契約締結、鑑定価格からゴミ撤去額引いた1億3400万円で。15年後半の土壌改良費と相殺すれば実質タダに
2017年 2月 問題がマスコミ報道で表面化。昭恵夫人、名誉校長辞任
3月 府の設置認可是非決定予定
4月 開校延期

「日本会議」との横のつながり

 籠池理事長は用地払い下げに関して相手は国なので自民党系に、一方で小学校設置許認可に関しては大阪府なので行政と議会双方を抑える大阪維新系と、接触する相手を巧みに使い分けている。なぜ「こんなことが可能か?」というと、自民、維新系議員の中でジワジワと広がる「日本会議」という横のつながりからだ。安倍総理、麻生財相、松井知事、鴻池元大臣そして籠池理事長とすべての人物が、右派政経人で作る組織「日本会議」人脈でつながっている。

 次に昭恵夫人の問題。総理は「妻は私人だ」「妻を犯罪者扱いした」と国会の委員会審議でも、野党の質問にたびたび激怒しているが、ちょっと大人げない。世界中で男性元首の夫人は「本人に準じる扱い」のファーストレディーで、夫に代わって選挙活動中は支持者らと握手し、公式行事でも祝辞を読んだりする。その昭恵夫人は、中国古典を販売する組織「鈴蘭会」名誉会長も務めており、ここから森友学園は教材購入して接点となっている。

 既に自民党内でも非主流派の石破・前地方創生相は「誰がいかなる権限で、こんなこと決めたのか?≠ェ全然分からない。野党に言われるまでもなく、政府与党として、きちんと解明すべきものだ」と発言し、終始逃げ腰の菅官房長官や二階幹事長との違いが際立っている。

心に大きな影響

 最後は森友学園の教育方針。戦後間もない1950年に現在の塚本幼稚園(大阪市淀川区塚本)を開いたのは、籠池理事長の妻の実父。80年頃に現在の諄子副園長と結婚した籠池氏が幼稚園経営に加わり、夫婦で次第に愛国教育化を強めたようだ。教育方針を巡って保護者からの訴訟も起きている。テレビで報じられた子どもたちの「安倍総理頑張れ!」や軍歌斉唱はこうした背景だ。

 一概に今回の日本初の神道系¥ャ学校が悪いとはいえない。ただし私立小学校選択は100%親の判断。子どもの成長過程で心に大きな影響を及ぼす事案だけに、実地見学や噂の聞き取りなども大事にしたい。