2017/2/11

梅を訪ねて、紀州みなべ

 そろそろ梅の便りが聞かれる季節になった。梅といえば、関西ではやはり「紀州みなべ」だ。スケールの大きい「南部梅林」や日本一の梅干し「南高梅」の産地として名高い。今年のみごろは2月中旬。和歌山県みなべ町を訪ね、観梅だけでなく、目一杯、ウメを楽しもう。

梅の種飛ばしで30万円をゲットしよう

 この時期、「紀州みなべ」の山の斜面は白いベールで覆われる。春を呼ぶ花・梅が寒さの中、つぼみをほころばせ、一斉に花を咲かせることで生み出される景色である。みなべ町には「南部梅林」や「岩代大梅林」など、京阪神からの観梅客で賑わうスポットがあるが、とりわけ「一目百万、香り十里」といわれ、見渡す限りに広がる「南部梅林」はシーズン1カ月ほどの間に約3万人が訪れる。

 閉園予定(状況によって変更される場合もある)の3月5日までの期間中、毎土、日曜日には、趣向を凝らした「梅の種飛ばし」「もち投げ」やジュニアバンド演奏など、多彩なイベントが予定されている。

 また2月12日には、みなべ町役場の駐車場を会場に、「梅干しの種とばしinみなべ」が催される。競技は単純で、特産品の「南高梅」をどれだけ遠くへ飛ばせるかというもの。なんと個人部門の優勝者には現金30万円。2位でも10万円。以下12位まで賞金あり。もちろん他の小学生、中高生、団体(3人1組)の各部門の優勝者や上位入賞者にも賞金や賞品が贈られる。事前の参加申し込み(700人)はすでに締め切られたが、300人ほどの当日参加(参加費一般500円、小中高生200円)が可能なので、自信がある人もない人もチャレンジして賞金をゲットしよう。当日、地元特産品などの物産展も開かれ、同役場と南部梅林、梅振興館(UME−1グランプリ会場)を巡回する無料シャトルバスも運行される。

 JR南部駅から同梅林まで、バスで10分と便利。車だと「みなべIC」から約5分と、さらに便利。広い園内を巡るコースは約4キロと約3キロの2通りある。


▲うめ振興館 梅干しの漬け込みと干し


ガチャポン、スイーツ、酒…梅いろいろ


梅干しのガチャポン

 旅人を惹きつけてやまない梅。もちろん旅の大きな楽しみである味覚も、「紀州みなべ」ならではの、ウメを使った数々の料理がずらりとそろう。ウメのさわやかな味がポイントの「梅餃子」(300円)や、南高梅を炒めてトマトペーストで仕上げた「カルボナーラ風ラーメン」(500円)は、地元でも人気の食事だ。

 1906年から3代にわたってウメを商う岩本食品の「プラム工房」の直営店「カフェ・ド・マンマ」は、目の前に広がる南部湾というロケーションと、ウメや紀州の食材を使ったイタリアンで、女性から高い支持を受けている。とくに紀州鴨と南高梅のピッツァ(1500円)はここでしか味わえない。

 梅スイーツもいろいろあるが、ピンクの「梅ソフト」(230円)はまち歩きのおとも≠ノぴったりだ。それと笑ってはいけないだろうが、笑ってしまったのが、ウメの博物館といえる「道の駅みなべうめ振興館」で出会った「梅干しガチャポン」(1回200円)。もちろん本物の梅干しが入っており、それも4種類の味がある。このガチャポン、同館のほか「紀州ロイヤルホテル」や「国民宿舎紀州路みなべ」などにも置かれている。


▲カフェ・ド・マンマからの景色


▲種類も豊富な梅酒 所狭しと並ぶ梅商品


〜 世界農業遺産 〜

 全国の梅生産量は約10万t。うち和歌山県が5万5000tと半量を超えており、さらに「みなべ」はうち約3万tを生産する、文字通りの日本一の梅の里である。

 みなべと隣接の旧田辺市内地域を含めた地方では、梅栽培の歴史が400年以上も受け継がれてきた。崩れやすく、養分にも乏しい山の斜面を利用して、梅林を配し、土砂崩れや水源確保などの機能を持たせるために、備長炭の原材料となるウバメガシなどの薪炭林を残す栽培システムが一昨年の暮れに「世界農業遺産」に認定された。

 これは国際食糧農業機関(FAO)が何世代にもわたって受け継がれ、若い世代に受け継ぐべき重要な伝統的農業や文化、景観などを保全するために、認定するもの。現在、世界で36地域が、日本では8地域が認定されている。