2017/1/28

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
就任式に見るトランプ・アメリカ

日本に大波! アベノミクスが大変

 第45代大統領、ドナルド・トランプさん(70)の就任式を衛星テレビ中継で、日本時間21日未明に見た。自信あふれる笑顔の中に時折うつろな表情で足もとを見つめる姿が、想像を絶する精神的重圧と孤独を感じさせた。 前任のオバマさんとトランプさんの唯一と言っていい共通点は、「もうアメリカは世界の警察を続けられない」という国力認識。トランプさんが就任演説でやたらと強調した「アメリカ第一主義」は、裏を返せば米国没落に伴う国際社会からの退場劇の開幕ベルだ。

株価先行き不安

 私は昨年11月下旬にこの紙面でトランプ大統領誕生に関し、日本への影響を中心に書いた。当時は「悲観的過ぎる」とか「選挙向けの刺激的言動は当選したら変わる」と指摘した人も多かった。当選日にトランプ氏がライバルを称え国内亀裂修復を呼びかける勝利宣言をしたから、金融市場も一安心し日米とも株価最高値を付けるほど世界経済は活気付いた。

 そんな渦中に、私が年末紙面の「来年予想」で株価先行きを不安視し、再び読者から「2017年はトランプ景気で株爆騰だよ」と嘲笑された。そんな私の観測がいよいよ現実味を帯びてきたのは皆も感じている。

今度は日本が米国を助ける番

 トランプ氏が「日本に厳しい要求をしてくる」と、私が予測(下表)した理由は過去の彼の対日批判文書から。日本のバブル経済当時、「敗戦国の日本は、米国から富と軍事の支援を得て、経済成長に専念し世界一流国になった。今度は日本が米国を助ける番」という論理だ。

予想される対日要求

@ 駐留米軍の経費負担増
A撤退米軍に代わり、自衛隊戦力維持のための最新兵器を米国から購入
B米国から牛肉、オレンジなどの農産物輸入拡大
C米国債買い増し

2年間、政策的に過激に

 就任式当日に、TPP(環太平洋経済連携協定)離脱表明とオバマケア(医療保険制度改革法)見直しへ署名を実行、NAFTA(北米自由貿易協定)再交渉もすぐに指示した。彼はこのままでは4年後に再選できそうもないと思われるので、一気呵成に事を進める姿勢だ。そう考えると安倍さんの対米戦略見通しはいかにも甘い。

 トランプ氏は近年の新大統領では最低の4割程度の国民支持しかない。数こそ少ないが熱烈な支持者を一度でも失望させては、来秋の上下院議員中間選挙での与党共和党勝利はおぼつかない。仮にこの選挙に敗れ、連邦議会で野党民主党が多数派に返り咲くと、彼はレームダック(政治的死に体)に陥るから、この2年間は政策的により過激に突っ走しらざるを得ない。

 トランプ氏スタッフは俗に「3G」と言われ、退役将軍・証券会社ゴールドマンサックスOB・起業家ら超富裕層の3本柱が大臣級を構成。つまり経済・軍事には敏感だが、外交・内政には素人ばかりでバランスが非常に悪い。

 世界バランスは、ロシアに中国とEU、そして米国が4大勢力。日本も含めた周辺国はこの4つのどこかにくみしないとやっていけないのが現実だ。


安倍政権の次の一手は?
極端な孤立主義はエゴの摩擦

 経済を前面にロシアと、安保を背景に米国との関係を強化し、中国とだけ対決する腹づもりだった。ところが頭越しに米ロが手を結んでしまうと、ロシアにとって日本より中国重視は自明の理だから、安倍さんの打ち手が狭まる。

 地産地消≠ノ徹する保護主義は一見良さそうだが、第2次世界大戦は、欧米のブロック経済枠組から弾き出された日独が生きるすべを求め引き起こした一面がある。極端な孤立主義は歴史的にエゴとエゴの摩擦しか生まず、経済が縮小する。過去の教訓を学ぶべきだろう。