2016/12/10

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
高齢ドライバーと自動運転

少子高齢化の日本こそ必要

 10月末横浜市で認知症状の出た男性(87)運転の軽トラックが登校途中の学童の列に突っ込み8人が死傷した。運転手の言動から「運転しながら徘徊(はいかい)していた」ことが判明。その後も高齢ドライバーがアクセルとブレーキを踏み間違え暴走したり、右折時に直進車や横断歩行者を見落として衝突する事故などが全国で相次いでいる。

 ハンドルを握る65歳以上の前期高齢者では免許保持の女性が急増、70歳以上の高齢者免許更新講習対象者はちょうど団塊の世代、75歳以上の後期高齢者免許所持者は10年前と比較すると倍増している。

 一方で前方に危険を察知したら減速や停止してくれる自動ブレーキ設置車は年々増加。これらの今後の展開を考えてみよう。

車道のバリアフリー化

 警察庁は「若年者の交通事故発生件数は減少しているのに、高齢者関与の事故は運転者、歩行者ともに増加」と警鐘を鳴らしている。ただし、私に言わせると少子高齢化社会で、免許所持者の平均年齢が毎年上がっているので、それは当然。高齢者から免許証を取り上げるのではなく、高齢者も安心して運転できるいわば車道のバリアフリー化≠もっと図っていくべきだと思う。

身体機能検査の義務付け

 同庁交通事故統計で見ると交通 死亡事故の第1当事者(加害者)が65歳以上は約3割。ゾッとする高速道路逆走も2日に1件あり、内7割が65歳以上だ。

 警察は1998年から「運転免許の自主返納制度」をスタート。 しかしまだまだ少ないことから、来春からは道交法自体を改正。信号無視など18項目の違反をした75歳以上のドライバーは免許更新時に身体機能検査を義務付け。「機能低下」と判定されると特別講習受講、「認知症の恐れ」とされると医師の診察を経て停止や取り消しも可能になった。

運転機能の衰えは3つ

 地域内移動で、乗り合いでのバスやタクシーを使った介護支援もある都会は自主返納してもある程度日常生活はできるが、公共交通機関が絶滅寸前の地方ではマイカーは生活必需品。買い物や病院などで「絶対欠かせない」と答える高齢者は多い。

 高齢者ドライバー側が注意すべきは3つだ。まず「身体面」つまり何も考えなくても体が勝手に反応した≠ニいわれる反射神経が鈍る。次は「心理面」。同時に複数のことができなくなる。運転中に考え事をしていると、赤信号や一旦停止線が見えているのに結果的に見落とす。

 最後は「視力面」。運転時の情報は7割を目から得る。更新時の視力検査で問題なくても、加齢と共に衰えるのは視力そのものより視野。脇道からの流入者や道路脇の歩行者、後方から接近車両などが急に出現した気がしてヒヤッとした経験のある方も多いはず。

進歩する自動運転機能

 さて、こうした運転機能の衰えをカバーしてくれるはずの自動運転、自動ブレーキの世界はどこまで進歩しているのだろう。

 この分野で最も先行しているのはマツダ、富士重工の両社。すでに前方車両や壁などをレーダー照射で反応させ、固い物に対しては国内販売の新車の約4割が登載させるほど開発が進んでいるが、歩行者飛び出しなどカメラに頼って検知する柔らかい相手へのセンサー技術はなかなか進まなかった。突発的な飛び出し事故などへのカメラ対応も「あと一歩」のところまで品質向上している。

 今後の問題は、「それでも事故が起きたら誰の責任か?」という法律論。東京五輪の20年には「人工知能による自動運転車」を実現させたいのが自動車業界の思惑で、一方の官僚側は許認可権保持や製造物責任論で業界を縛っていきたい。

 高齢者と自動運転の関係でいえば、自動ブレーキ登載が新車に限定され、既存の中古車にあとづけ出来ないことがネック。高齢者は使い慣れた車を好み、簡単に買い換え需要に結びつかないからだ。

 そんな中で、今月からオートバックス社でアクセルとブレーキの踏み間違いをしても急発進を防ぐ「ペダルの見張り番」という商品が出た。国産車約100車種に対応、値段も取り付け工事費込みで4万3000円と手頃だ。

ヒューマンエラーは不可避

 どんなにAI(人工知能)技術が発達しても、ヒューマンエラー(人為的ミス)は出る。国や自治体も、道路標識や路上案内を大きくしたり色を変えたりの工夫がもっと必要だ。カーナビに頼らなくても、マゴマゴしない分かりやすい道路案内にしてほしいね。