2016/11/12

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
野菜高値いつまで続く? 

西日本猛暑、北海道長雨と台風の影響


※イメージ

 「このところ野菜が高い!」。1コイン(500円)もかかるレタスを筆頭に、4個入りタマネギは250円、洋ニンジン(3本)は170円。三重県鈴鹿市では「給食が予算内に収まらない」と、給食を中止するかどうかまで話し合われていたよ。テレビでは「今夏、北海道を史上初めて3つの台風が直撃したから」というけれど、この高値、いったいいつまで続くのかを解説するよ。

 まずは今夏の天気から。大阪のある西日本は、チベット高気圧にスッポリ覆われ記録的な高温晴天だった。野菜の一部は暑すぎて葉や実が変色する被害まで出たほどさ。

 一方で東日本は例年、日本列島の上空全体に留まる太平洋高気圧が東海上に去って空白になり、長雨など不安定な気候だった。そこを通り道に台風が何度もやってきて、北海道の農耕地帯を直撃。激しい風雨で作物が大きな被害を受けたんだ。

 でも、野菜って近郊で獲れるイメージ。「そんな遠い場所の影響が長引くものなの?」と思うかもしれない。それには、野菜の価格と流通の仕組みが関係しているんだ。

産地カレンダーが重要

 高値代表格の「レタスとトマト」を西日本ベースで見てみよう。レタスは兵庫、香川、長崎が主な産地だけど、5〜10月は端境期であまり獲れない。一方トマトは九州を中心に長い期間収穫できるがやっぱり8〜10月に端境期がある。

 どちらも1年中食卓に上る生野菜の代表格なので、この時期関西に出回るのは、レタスは長野や群馬、トマトは北関東や東北・北海道産がカバーしてくれるんだ。これを専門用語で「産地カレンダー」といって、生産者・卸小売業者・消費者それぞれにとって価格と供給の安定に欠かせない生産地連鎖を形成しているよ。

 これまで、どこかの産地で不作になると、スーパーなどの大手小売業者はその時期だけ海外産を輸入して安定供給を図ってきたんだ。でも、数年前から食の安心安全意識≠ェ高まって、生で食べる野菜類は輸入品が嫌われるようになった。輸入品に頼れない分、価格に影響が出やすいんだ。 大阪中央卸売市場の取扱量を11月上旬時点で1年前と比較すると、レタスは半分強しか入荷せず、価格はなんと2・5倍に。トマトも半分以下で価格は2倍近くだ。本来なら11月は値段が安い時期なので、割高感がより目立っているよ。

消費者も献立を工夫

 野菜の高騰に、消費者もあの手この手さ。鍋物には、値段の高い葉物野菜の代わりに、豆苗やモヤシなど近郊の野菜工場生産で価格が安定している物にしたり、冷凍野菜や缶詰、カット野菜をうまく使って献立を工夫したりしている。休日にはマイカーで道の駅までドライブし、野菜直売コーナーでお目当ての品を探す人までいるよ。

 店側の動きはどうだろう。「サラダバー食べ放題」などを売り物にしている飲食店は大痛手。たっぷり野菜のサンドイッチ店、ニンジンやタマネギを大量に使うカレー専門店も被害は大きい。サラダ内容を、レタスの代わりにサニーレタスやサラダ菜、場合によっては千切りキャベツを使ってしのぐ。またトマトの代わりに、野菜工場で安定的に獲れるミニトマトを使うなど涙ぐましい努力をしている。

 一方、スーパーなどではあえて赤字価格で販売し、来店客を誘い込む店も出ているよ。

11月下旬には落ち着く?

 この野菜の高騰は「いつまで続くのか」だけど、11月下旬に入ると「産地カレンダー」がかなり動き出し、ほとんどの品目で出荷量が回復するから価格は落ち着きそうだよ。ただし、ニンジン、ジャガイモは台風で痛手を受けた北海道が主な産地だから、「今年いっぱいは高値」と農水省はみている。タマネギも同様に北海道が中心産地だけど、もともと業務用などで輸入物が大量に入っているし、関西は淡路島産が人気があるので影響は薄そうだね。