2016/9/24

鶴見魅力探訪

お母さんつなぎ地域へ

子育ておしゃべり会


▲おしゃべり会でざっくばらんに情報交換する参加者ら

 「電気コードはどうしてるの」「指をしゃぶりすぎて赤くなった」―。平日の昼前、鶴見区今津中1丁目の榎本福祉会館に、1歳未満の赤ちゃんを連れたお母さんたちが集まった。育児の相談から始まり趣味や住んでいる地域のことなど話題は尽きない。ざっくばらんな雰囲気に赤ちゃんの表情も楽しげだ。

■横のつながり

 同区では区役所と地域が連携して、榎本、今津、茨田北・焼野の3カ所で毎月1回は、「子育ておしゃべり会」を実施している。最大の目的は出産後のお母さんの「横のつながり」にある。

 榎本福祉会館で9月に開かれたおしゃべり会には、7組の親子が参加した。それぞれに自己紹介をした後はフリートークを行う。指をしゃぶる子どもについて母親が心配そうに話し始めると、「あるある、うちは拳ごと」「静かになるからほったらかしやで」と参加者ら。

 結婚を機に神戸から同区に移り住んだお母さん(28)は4回目の参加で、「鶴見区には知り合いもいなかったが、ここで友だちができた。子どももおしゃべり会の夜はすぐ寝てくれる」と笑う。

■市内トップ

 同区は15歳未満の人口割合(2014年10月1日現在)が16・1%と市内で最も高い。総務省の人口推計(同年4月1日現在)によると総人口に占める割合は12・8%で、全国的にみても高い水準にある。

 近年、工場跡地や農地の宅地化によるマンション建設で人口自体が増加傾向にあり、1世帯あたり世帯人員も2・39人で市内トップだ。

 「区外から越してきた家族の参加はここ数年、多くなっているように感じる」と話すのは保健師としておしゃべり会に携わる区保健福祉センターの広井綾子さん。現場では育児の相談に対応するだけでなく、「参加者同士がつながり、地域に入るきっかけにしてもらえるよう意識している」と話す。

■12月はスモチル

 榎本地域はJR放出駅周辺の大型マンションの増加に伴い特に新しい住民が増えており、えのもと地域活動協議会理事の上田樹三郎さん(59)は「マンション一つできると、1町会増えるぐらい。分譲を中心に新しいマンションの人たちも地域への参加は積極的で、運動会や盆踊りなど行事が活発だ」と胸を張る。

 春恒例の子どもが主役のイベント「スモールチルドレンフェスタ」、通称「スモチル」を今年はクリスマスシーズンに合わせて開催予定。「イベントにはお父さんにもぜひ参加していただき、一緒に楽しみましょう」と呼び掛けていた。

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 大阪市で15歳未満の人口割合が最も高い鶴見区。「子育てしやすい」町づくりを推進しようと、各地域では住民主体の取り組みが進んでいる。区の魅力を磨き発信する人たちを取材した。


子どもたちの笑顔見たい

楽園会議 11月に新イベント

 巨大アート、古着でハチャメチャ、田んぼでどろんこ―。あの手この手で子供の笑顔を引き出してきた鶴見区のボランティア「鶴見活性化 楽園会議」が、11月に新たなイベントを計画している。準備は佳境にさしかかり、大人たちは本気<a[ド全開。企画内容の修正や、安全策を確認、時折かぶり物をかぶって写真を撮り合う。真剣に楽しく、すべては「子供たちのために」。


▲田んぼで実施したどろんこ遊び。親子が思う存分、泥だらけになった
=2015年10月

■タブー≠ホかり

 同会議は、鶴見区を盛り上げようと区民らがメンバーになり2013年に発足。学童保育指導員やミュージシャン、農業経営者など職種もさまざまな大人たちが「子供たちの笑顔が見たい」の一点で団結した。

 区役所内の会議室に毎月1回ペースで集まり、作戦を練る。これまで企画してきたイベントは「汚れたり、散らかしたり」と子供たちにとっては日常のタブー≠ホかり。

 コアメンバーの一人でNPO法人Warabeの猿渡太理事長(48)は「大人がさせたいことではなく、子供がほんまに喜ぶことをしたかった。自分たちも振り返れば怒られる、怒られへんのすれすれが一番楽しかったでしょう」と豪快に笑う。

■田んぼを開放

 昨年10月には、メンバーで農家の梵彩さん(57)が所有する区内の田んぼを開放し、どろんこ遊びを実施。100組の親子が自然を体全体で感じ、綱引きや宝探し、サッカーに夢中になった。

 開催にあたりポイントになったのは安全の確保。「さすがに無理やと思った」という猿渡さんも、梵さんらと本番の1カ月以上前から田んぼに入り、異物を取り除く地道な作業を続けた。当日もポイントごとに人を配置。無事終了を迎えたメンバーらは涙を流して田んぼにひっくり返り、「おもろかったよ」と絶叫したという。

 同会議で企画したイベントは、区との共催で実施する。区魅力創造課の大川順子担当係長は「皆さんが本当に一生懸命。私たちはストップをかけるのではなく何としても成功させたいと思っている」と熱っぽく話す。

■親子で活気

 今年11月のイベントの詳細はまだ非公開だが、定員を設けず親子で楽しめる内容を予定している。8月にはプレイベントを行い、メンバーは「これは間違いない」と手応えたっぷり。

 区民であり、父親でもある猿渡さんは「子供が多いと問題もいっぱいだが、そこで解決しようと親が動き活気につながる」と指摘する。日々奮闘する親子がこの日ばかりは思いっきり笑顔になる、鶴見の楽園≠ェ魅力的なのは間違いない。


今秋イベント集中開催

公園彩る「花博フラワークラブ」

 大阪市鶴見区の花博記念公園鶴見緑地は早朝から散歩やランニングの常連さんらでにぎやかだ。芝生で少年がサッカーの練習に打ち込み、木陰ではおじさんがアコーディオンを奏で始めた。熱心にごみを拾い集める人の姿も見える。

■「自分たちの公園」

 鶴見区地域振興会の会長を務める同区諸口の西田捷男さん(77)は、毎朝5時半から約2時間かけて鶴見緑地を歩くのが日課。道中は木々の状態やトイレ内をチェックする。「皆いろいろやっているでしょう。自分たちの公園やからね」と表情をほころばせた。


▲花壇づくりに汗を流す花博フラワークラブのメンバー

 鶴見緑地は、かつて水田の広がる湿地帯で、市街地の整備に伴い1960年代に緑地に整備された。90年には「国際花と緑の博覧会」の会場となり、半年の会期中に2312万6934人が来場。花博後は大阪市、2015年度からはパークセンター(指定管理者)が管理しながら、市民ボランティアの活動も活発に行われている。

■より主体的に

 「花博フラワークラブ」は園内で活動するボランティアグループの一つ。市内外から集まった40〜80代が草花の栽培や植栽、清掃にあたる。花博当時に集まった園芸ボランティアが前身で、20年以上にわたり公園内を彩ってきた。

 「花博の時は道ばかり尋ねられたが、花や木の名前を聞かれることが増えた」と笑うのは花博当時からのメンバーの木下由子さん(76)。博覧会の華やかさはなくなったが、大きく成長する木々やそれを感じる人の心に触れ、「公園として本当に良くなった」と受け止める。

 クラブもメインの活動場所が園内4カ所の花壇などに定まるなど、ここ数年で主体性がぐっと増した。作業は屋外が中心。 今夏は特に猛暑が続き苦労したが、メンバーは一様に明るい。昼食休憩中の歓談の輪から「花好きに悪人なし」と声が上がった。

■はならんまん

 同園では10月15、16日に、大阪市のイベント「はならんまん2016」など3イベントが同時開催される。フラワークラブはブースを出して活動のPRとともに仲間を広く募る考え。百井雅子会長(79)は「人手は足りていないので花が好きな人は大歓迎」と呼び掛ける。

 西田さんも公園の活性化は大歓迎で、「池に遊覧船を浮かべたり、有料のエリアを作ったり、地元からもどんどん提案する」と話す。

 区のシンボルは、これからも利用者に愛され新しい朝を迎える。

 はならんまん2016

 大阪市が緑化ボランティアと毎年実施している花と緑の催し。26回目となる今年は10月15、16日、花博記念公園鶴見緑地を会場に市民花壇の展示やクラフト教室を開催する。全国各地のグルメや買い物が楽しめる「鶴見緑地フェスタ2016」や世界の文化に触れる「つるみワールド」(15日のみ)も開かれる。