2016/9/24

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
広島なぜ勝った? 阪神なぜ負けた?

昨秋のCS進出劇、逆転進出が明暗に

 プロ野球の広島東洋カープが25年ぶりにセ・リーグ優勝。一方の阪神は、新監督にアニキ金本知憲(48)を迎えて期待されていたけれど、中盤から失速して4年ぶりのBクラスに転落。両チームの命運を分けたのはなんだろう。私は、かつて日本プロ野球機構ベストナイン選考委員を務めていたから球界事情に詳しいんだ。10月8日から始まるクライマックスシリーズを前に、一足早く今季のセ・リーグを振り返ってみよう。

きっかけは昨季のCS進出

 ちょうど1年前、広島は緒方孝市新監督(48)がペナントレース最終戦で敗れ4位に転落。3年ぶりのBクラスでCS出場を逸してしまった。一方の阪神はその棚ぼたでCS出場を獲得。でも巨人にてんで歯が立たず、和田豊監督(54)の退任が決定。この結果、セ・リーグは6球団の監督はすべて40歳代に若返った。

超ベテラン2人がけん引

 CS出場を逃した広島は早々にチーム編成を刷新。チーム盗塁王の1番・田中広輔遊撃手(27)、リーグ最多安打の2番・菊池涼介二塁手(26)、リーグ最多二塁打の3番・丸佳浩中堅手(27)の同学年トリオが、チーム打率(2割7分5厘)をリーグトップに押し上げる原動力になった。塁上に走者がたまれば、通算2千本安打を達成した4番・新井貴浩内野手(39)と、好機にめっぽう強く神ってる@髢リ誠也右翼手(22)がしっかりと返す。これがしっかり機能していた。

 これを引っ張ったのが新井選手。キャンプ中から率先して猛練習を重ねた。この姿を見た若手は1日千本の素振りノルマをこなすなどし、鍛え抜いた。だから、若手選手たちのボールへの執着とスタミナはすごかった。

 一方で投手陣は、日米通算200勝を達成した黒田博樹投手(41)を軸に左のクリス・ジョンソン(32)と右の野村祐輔(27)が先発ローテを守り2ケタ勝利。ホールド(中継ぎ)はブレイディン・ヘーゲンズ(27)とジェイ・ジャクソン(29)で回し、最後は中ア翔太(24)で締めるパターンだ。こちらは黒田投手が大リーグ仕込みの内角攻めを指導し、チーム防御率をリーグトップに押し上げた。

 今季の広島の原動力は、なんといっても黒田・新井の両ベテランの活躍が大きいよ。

若手の成長と外国人の去就がカギ

 投打が順調ならチームが優勝するのは当たり前。今季Bクラスに沈んだ昨年のリーグ覇者ヤクルトは、昨年の首位打者・川端慎吾(29)、打点王・畠山和洋(34)、本塁打王・山田哲人(24)のうち、今季も活躍したのは山田だけ。もっとひどいのは投手陣で、ロマン─オンドルセク─バーネットという盤石の外国人リリーフ陣≠ェ全員退団し見る影もない。

 つまり来季の広島も、超ベテランの2人が投打の軸を担ってきただけに、若手のさらなる成長と外国人の去就がカギだよ。

25年ぶりVはチームを再整備した結果

 「なぜ25年も優勝できなかったのか?」だけど、79年に2度目のリーグ優勝で初の日本一に就いて以来、91年までの13年間でリーグ優勝5回日本一3回と黄金時代を築いた反動が大きい。特に98年から15年連続Bクラスの間に、91年まで活躍したV戦士は誰もいなくなってしまった。

 そこで野村謙二郎前監督(49)が徐々にチーム力を再整備。13、14年にはCSに進出して3位。球場には「カープ女子」も増え、内外ともにチームが活性化してきたんだ。

 そこへ絶対エースの前田健太(28)の米メジャー移籍で、球団は24億円を手に入れ、この金でジョンソン投手、ブラッド・エルドレッド外野手(36)と再契約。今季活躍のジャクソン投手をはじめ、序盤戦でよく打ったエクトル・ルナ三塁手(36)、今季7勝のヘーゲンズ投手、一軍では出番がなかったジェイソン・プライディ外野手(33)まで、大量の新外国人選手を獲得。チームの底上げを図ったことが功を奏したんだ。

上位打線の出塁率に大きな差

 一方の阪神はどうだろう。4番打者を担った福留孝介選手(39)は、打率や本塁打数では広島の新井選手とそん色がないけれど、打点は半分程度。つまり、上位打線の出塁率の差も明暗を分けた。主力の鳥谷敬(35)が極度の不振、西岡剛(32)は故障だらけ、復帰した藤川球児(36)も使い物にならなかった。『超変革』をスローガンに積極的に若手を取っ替え引っ替え起用したけど、中盤から失速。4年ぶりのBクラス転落となってしまった。

 来季の金本監督は尊敬する星野仙一楽天球団副会長(69)を見習って編成にも口を出す全権監督に就く可能性が大きいよ。でも、星野氏には球団経営と球界に精通した南信男社長(61)=現顧問=が相棒に付いていた。現在の四藤慶一郎社長(56)は電鉄本社不動産部門や役員秘書が主だったから、野球は素人。金本監督はまずFA宣言した大砲打者の獲得に自ら動くだろうけれど、情報戦を仕切れるフロント幹部がいない状況だから孤軍奮闘の戦い≠ノなりそうだよ。