2016/8/27

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
「SMAP解散」 問題の本質は?

個人商店体質の芸能界

 リオ五輪(ブラジル)の熱狂の最中にあった8月13日夜、人気グループ「SMAP」の突然の解散が発表された。私は今年1月13日に分裂騒動が報じられ、一度はグループ継続≠表明した時点から、遠からずこの日≠ェ来ることを予見していた。その理由はズバリ、「個性の強い5人を同時制御できる人間がいない」ことと、日本の芸能プロダクションの個人商店的経営体質の限界からだった。

頭が上がらないテレビ局

 国民的人気グループの解散発表。五輪の最中とはいえ、テレビにとって視聴率の取れるネタのはずなのに、このSMAP騒動に関しては、1月も今回も新聞や週刊誌がどんどん先行。テレビは「その影響」とか「ファンの声」を流すばかりで、肝心のメンバーや事務所関係者への直撃取材はさっぱりない。

 その理由は、テレビ局が大手芸能プロに全く頭が上がらないからなんだ。うっかりジャニーズ事務所の機嫌を損ね、「オタクの局にウチのタレントはもう出しません」といわれたら、番組制作に大きく影響してしまう。

 NHKも例外でなく、大河ドラマの主演は、ジャニーズをはじめホリプロやアミューズなど一部の会社でほぼ独占。トップスターのスケジュールを約1年も拘束する番組作りは局の意向だけでは到底できないんだ。

離脱表明すれば干される

 こうした芸能プロの大半は、個人事務所が発展した会社ばかり。ジャニーズ事務所のトップ、ジャニー喜多川社長(84)と実姉メリー喜多川副社長(89)が会社登記したのは1962年。以来、男性アイドルに特化して育成を続け、後継者はメリーさんの娘で元タレントの藤島ジュリー景子副社長(50)。会社トップを50年以上姉弟だけで占め、さらに経営権を肉親に譲る形。

 同じ芸能プロでも吉本興業のように、創業家社長が亡くなり、大学新卒採用のサラリーマンとして出世した現社長が株式の上場廃止と増資減資などを経て、創業家の影響を完全に断ち切り、普通の会社として独り立ちさせる例はまれなんだ。

 1970年ごろ、今のSMAPに匹敵する人気だったジャニーズ事務所所属「フォーリーブス」で活躍した江木俊夫さん(64)。彼は私に「解散したい≠ニ意思表示した途端、ボクには仕事が一切来なくなった。だから解散と同時に事務所も辞めた。でもテレビ局などからの仕事は全くない。仕方なく芸能とは関係のないファッションの世界へ進むしかなかった」と当時の様子を教えてくれた。

互いの存在に不信感

 さて、話をSMAPに戻そう。リーダーの中居正広さん(43)と俳優としていち早く売れた木村拓哉さん(43)は互いの違いを意識し、もともと「われ関せず」の姿勢。そこに飯島三智さん(58)が対外交渉の一切を仕切っていた。ジャニーズの古い体質に飯島さんは分社化を提案したが、拒否され逆にクビに。戸惑った中居さんを尻目に、木村さんは一気に事務所側に接近したんだ。

 この状況に、彼女に全幅の信頼を置いていた香取慎吾さん(39)と大親友の草g剛さん(42)は木村、中居の2人に不信感を抱き、居たたまれなくなった。一番目立たない稲垣吾郎さん(42)もその思いに同調。こうして互いの存在に不信感を抱きはじめたんだから、1月時点でもうダメだった。

着地点を見失う

 今回、事務所にとっての不幸は、誰も飯島さんの代わりに5人をまとめられなかったこと。そんなことは最初から分かっていたから、1月時点でまず飯島さんと話し合うべきだったんだ。

 東京系の芸能プロは過保護といえるくらいタレントをかばう。大阪の吉本が「芸人である前に、普通の社会人たれ」と、一般人以上の社会性や常識を求めるのとは正反対だよね。

 SMAPも幼い頃から飯島さんに守られていたから社会常識も足りない。居心地の悪さを感じても、相談する相手も方法も知らない。一方で事務所側も5人に新たな提案≠示せる者はおらず、結局グループを解散し、個々に残留の道を示すしかなかったんだ。

 気になる解散後の展開は、事務所側に就いた木村さん以外のメンバーは厳しそうだ。江木さんの言葉通りだと、経営陣に反旗を翻した者はけっして許されない。すでに事務所の中心が「嵐」や「TOKIO」、さらに「V6」などに移っている冷厳な事実を目の当たりにし、冷や飯を食わされることになるだろうね。