2016/8/6

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
リオ五輪、ロシアのドーピングって何?

実は日常使う市販薬もアウト


※イメージ

 リオデジャネイロ五輪(ブラジル)が5日夜(日本時間6日朝7時半)開始の開会式からスタート。21日夜(日本時間22日朝)までの17日間はとっても楽しみだし、次回2020年は開催地が東京なので、地球の裏側の日本でのテレビ観戦も一層盛り上がりそうだ。そんな中で、ロシアの約300人の選手団から陸上とウエートリフティング(重量挙げ)の全選手をはじめボートなど約100人のアスリートが個別に出場を禁止され参加できなくなった。

 7月に世界反ドーピング機構(通称WADA)からロシアは「国ぐるみでドーピング違反している」と指摘され、「ロシア選手団すべてを大会から除外せよ」と勧告。しかし国際五輪委員会(通称IOC)のバッハ会長は国ぐるみの不正有無にあえて言及せず「クリーンな選手に出場機会を」とやんわり拒否。各競技の国際団体に出場可否決定権を丸投げした。今回はこの問題を考えてみよう。

「うっかりドーピング」注意

 でもそもそもドーピングって「何を、どこで、どうやったら違反なの?」って分かりにくいよね。1988年ソウル五輪で陸上男子100mの覇者、ベン・ジョンソン(カナダ)が筋肉増強剤使用で失格になったり、2004年アテネ五輪で陸上男子ハンマー投げの室伏広治選手が1位選手の尿検体すり替えで失格し、繰り上げで金メダルを獲得した事件があったことは覚えている人も多い。

 88年ソウル五輪の陸上女子短距離3冠に輝きながら98年に38歳の若さで急死したフローレンス・ジョイナー(米国)や、2000年シドニー五輪で旋風を巻き起こした中国・馬軍団と呼ばれる選手群には今も薬物使用の疑惑が取りざたされている。

 私は学生のアマチュア競技団体・日本学生相撲連盟の副理事長なので、日常的にこの問題と深く関わっている。

 私たち指導者が現役選手に口を酸っぱくして言っているのは「うっかりドーピングに注意」だ。具体的には、市販のかぜ薬やせき止めに胃腸薬、アレルギー防止用鼻炎薬、さらに漢方薬やプロテイン、サプリメント、滋養強壮ドリンク剤などにも禁止薬物が含まれている場合がある。覚え切れないから競技選手が医療機関を受診する際に「ドーピングに引っかからない薬をお願いします」と自らアピールする必要があるんだ。

内部からの不正告発で発覚

 ロシアのドーピング疑惑の発覚過程はこうだ。2014年12月、元ロシア女子陸上800mのユリア・ステパノア選手(30)が、元ロシア国内反ドーピング機構に勤務していた夫とともにドイツのドキュメンタリー番組に出演。「国家ぐるみで長期不正を行っていた」と顔と実名を出し告発した。翌15年11月、国際陸連が独自調査に基づきロシア陸連に資格停止処分を決定。その後、冒頭に書いた7月のWADA勧告につながったんだ。

オリンピック憲章の基本精神を

 ここで不可解な動きを見せたのが、IOCのトーマス・バッハ会長(62)=ドイツ=だ。WADAは不正撲滅へロシア選手団に対し一罰百戒≠ナ全選手排除を勧告したが、同会長は「ドーピングに関係していないクリーンな選手の出場を認めなければ個人の権利侵害になる」と拒否。彼と懇意と言われるロシア・プーチン大統領を喜ばせた。

 なお、ロシアは国家ぐるみのドーピング不正に関しては一切関与を認めておらず、一貫して「スポーツにドーピングがあってはならない」と主張。プーチン大統領は1980年モスクワ五輪の西側各国ボイコットを上げ「再び政治によるスポーツへの干渉が繰り返されようとしている」と強く反発している。

 IOCは今こそ反ドーピングの原点「競技者の将来を含めた健康を守る。フェアプレーの精神を尊ぶ」の2点に戻らないとダメ。近年、五輪は商業化が進み過ぎてお金第一≠ノなっている。人類に夢と希望を与えるオリンピック憲章の基本精神を忘れると、必ずそのツケが競技に跳ね返ってくることになるだろうね。