2016/5/14

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
熊本地震で再び起きた食料不足 食品に「もったいない」精神を

「輸入5500万t、廃棄1800万t」の現実

 熊本県を震源地とする最初の大きな地震から、14日でちょうど1カ月。21年前の阪神・淡路大震災、5年前の東日本大震災の際にニュースで見聞きした「避難所に食べ物が行き渡らない」という事態が今回もあちこちで発生した。

 以前から「食糧自給率3割台」と言われ続けている日本。TPPが動き出せばあながち食糧輸入そのものが悪い事とはいえなくなるが、現在の年間重量ベースでいうと「輸入5500万t、廃棄1800万t」とされ、結構な量といえる。

 以前問題になった「廃棄されたはずの冷凍食品が横流しされ、別のスーパーで売られていた」などの報道をみると、何やら流通過程もスッキリしない。農水省が盛んにPRする「食品ロス削減」の内幕を探ってみよう。

 日本は少子高齢化社会で人口1億人を切るのは時間の問題だけど、地球全体の人口は年々増え続け、今や72億人程度といわれる。開発途上国を中心に飢餓が広がっており、推定で年間1500万人が飢え死にしている。その人たちを救うのに年間700万t程度の食糧で事足りる計算が立つ。

 そうなると日本の「輸入5500万t、廃棄1800万t」という数字はかなり問題視されそうだね。でも、実際には世界で生産される食糧の約3分の1に当たる年間13億tが、食べずに捨てられているんだ。内訳は先進国の「食品ロス」が6億7千万t、開発途上国の「食品廃棄」が6億3千万tと実は余り差はない。

 日本の廃棄量1800万tには、野菜クズや肉類の骨や内臓、廃油なども含んでいるので食べられるのに捨てた≠ニしてカウントされるのは、3分の1程度の650万t前後。農水省が指摘するほど、悪質な量とはいえないね。

■最大の廃棄者は一般家庭

 そこで、私たちの身近なところから無理なく「食品ロス」をなくしていく手立てを考えていこう。イメージだけから考えると、「スーパーなどの小売店や外食産業の食べ残しが大半」と思っている方が多いのでは?

 最大の廃棄者は、実は一般家庭なんだ。それが半分弱を占めている家庭ゴミ。しかも中身はまったくバラバラで、冷蔵庫の中で古くなって痛んだ物も、新鮮な野菜クズや消費期限切れの生菓子なども混在して捨てられるから、堆肥化などにリサイクルしての再利用はごくわずか。 結局生ゴミとして、処理場で燃やすしかないからやっかいだ。

 ちなみに、小売り店と外食産業を併せても廃棄量は全体の4分の1程度に過ぎない。残る4分の1は、加工食品メーカーと流通段階の卸売り店というから驚きだね。

 日本では、加工品でも賞味期限を見て鮮度を確かめてから買う人が多いからなんだ。廃棄したはずの品が裏で横流しされるのは問題だが、キチンとルール化しロスにならない仕組みは将来必要だろうね。

 ちなみに消費期限と賞味期限の違いをご存じ? 「消費」はほぼ生もの中心で期限が切れたら危険。「賞味」は保存食中心のおいしく食べられる期間で、自己責任でOK。

 では小売りと外食ではどうだろう。小売りは売り場から撤去された時点で全国にあるフードバンクと提携し、自己責任で早期消費してもらう約束で生活困窮者に無償で即刻提供する仕組みが次第にできつつある。また外食では、ドギーバッグと呼ばれる持ち帰り専用の入れ物をユーザーが持参、食べ残しをやはり自己責任で持ち帰ってもらう方式が普及中。この2つは、消費者と近い分、ある程度システム化しやすそうだ。すでにフランスでは、大型スーパーの売れ残り食品は法律で廃棄禁止となり、慈善団体贈与が義務化された。日本でも考える余地があると思うよ。

単身者なら「冷蔵庫を持たない」もアリ?

 やはり、最大の問題は一般家庭での食品ロスということになる。

 では、ズバリ「冷蔵庫を持たない」という選択肢はどうだろう?+

 市街地に独りで住めばコンビニや深夜まで開いているスーパーは駅前などあちこちに。案外、無駄な買い過ぎも防げるかも。

 食費自体はけっしてゼロにはできないけど、工夫次第である程度抑えることが可能な分野だといつも認識しておくことが大切だね。