2016/4/9

日本医療のシステム崩壊≠フ危機

団塊の世代≠フ「2025年問題」


日本の医療界に警鐘を鳴らすなにわの赤ひげ%捲兜カ龍ドクター

 日本の医療は世界保健機構(WHO)でもこれまで世界一と高い評価を受けてきた。一方で、少子高齢化に加え、団塊の世代≠ェ75歳以上を迎える「後期高齢者」となる、医療と介護の「2025年問題」もあり、「国民皆保険制度」の崩壊の危機を迎えている。「医療崩壊」が現実味を帯びる中、「三愛クリニック」(鶴見区)の名医、なにわの赤ひげ%捲兜カ龍ドクターが「国・医療機関・患者の三者が痛みを分かち合い真剣に考え直す時期に来ている」と警鐘を鳴らしている 。

 ―日本の医療制度は世界でもトップレベルですか。

 わが国の医療態勢は「いつでも・誰でも・どこでも」診察してもらえるフリーアクセスで国際的には世界一の医療システムであると高く評価されています。

 WHOが発表しているデータによると、日本の健康寿命、健康達成度の総合評価はともに世界一です。国民皆保険制度を基盤としたわが国の医療制度の成果であることは確かです。

 ―アメリカでは保険制度がないため医療にかかり経済的破綻した人が大勢いる。

 1回、医者にかかれば数百万円で自己破産した人が無限にいる。

 また、中国では医師に診察してもらうために1週間待つのは当たり前。お金のある人は医者に診てもらう権利を買い取って早く診察してもらっている患者も多い。また、イギリスはかかりつけ医制度でレントゲン検査に1年かかったという信じられないケースも生まれている。

 諸外国と比べ、日本の医療がいかに優れているかは受診している患者さんには意外とわかっておられない。水道管の蛇口をひねればおいしい水がでる日本では、水道のありがたさが理解できないのと同じです。

 ―これまでも日本の医療界に警鐘を鳴らしていますが。

 2013年度の国民医療費が前年度より2・2%増えて初めて40兆円を超えました。 人口1人当たりの国民医療費は31万4700円で、前年度の30万7500円に比べ2・3%増加しています。25年度には、日本の人口動態中の最大集団である戦後の第一次ベビーブーム時代の団塊(だんかい)の世代(1947〜49年生まれ)の全員が75歳以上、「後期高齢者」を迎える。2025年には少子高齢化の進展もあり、国民医療費が54兆円まで爆発的に増加すると予測されています。

 将来的には医療費は60兆円とか80兆円が必要になるといわれ、このままでは国民皆保険制度は守れない。

 ―全国保険医団体連合会では消費増税の使い道を批判していますが。

 政府は消費税の増収分は「すべて社会保障のために使われます」と宣伝して消費税8%を強行した経緯がありますが、増収分8・2兆円のうち実際に「社会保障の充実」に使われたのは1・35兆円に過ぎません。

 政府はさらに消費税を10%にアップして13兆円の増税をします。一方で法人税を大幅に減税することを進めています。これまでも消費税の税収分は法人税減税の穴埋め≠ノ使われてきた実態があります。消費増税だけでは国民皆保険制度は守れない。

 ―もうけ主義≠フ医師も中にはいるのでは。

 実際、常に勉強し最新治療やしっかりとした医療技術を持つ「治す医者」は、治療期間が短いので診療点数があがらずに利益も上がらない。逆に「治さない医者」は過激な診療行為や薬の投与などを繰り返して利益をあげることにもなりかねない。

 国は「きっちりとした医療行為に対する技術料」を認めること、医療機関も「その技術力にふさわしいレベルの高い医療行為」を行うことが求められています。

 ―一方で、残念ながら医者をハシゴ≠キる患者さんも多い。

 患者の皆様には「前もって対処する」ことが大切です。その一つが自分で「良い医者を探す」という行為です。

 国も国民も医者も三者がそれぞれ考えて、ある程度の犠牲を受け入れなければ、医療費は増えすぎて日本の医療システムは必ず崩壊します。

 今後は能率、効率を求めていかないと、結局世界に誇る日本の医療制度は破綻して大損になる可能性が大きい。

 ―今こそ、三者が傷みを共有するということですね。

 国は肺がんに効く薬の保険使用を認可したが、その薬は1カ月使うと300万円かかります。現在、がんとかほかの未期治療でも医療費が月に1千万円以上かかる患者さんが爆発的に増えている。このような現実から今のままでいけば医療費の破綻は目にみえています。

 「国民皆保険制度」を維持するためには、自己負担を増やす。老人も含めて3割負担にする。さらに月に払う健康保険料をアップする。

 国民もなんでもかんでもタダ、医療費が安いというのは当たり前というような頂戴(ちょうだい)主義≠ヘだめです。

 国だけでなく、国民や医療機関も痛みを分かち合い考え直さないといけません。


三愛クリニック 院長 東條文龍

【プロフィル】
1951年、兵庫県西宮市生まれ。国立三重大学医学部卒後、国立大阪大学医学部第一内科。府立成人病センター、天王寺病院、国立大阪病院などを経て、85年、東條三愛診療所開設。96年、日本赤十字社・金色十字勲章授章。03年、三愛ヒーリングセンター開設。


三愛クリニック

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