2016/3/26

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
「保育園落ちた 日本死ね!」 匿名ブログが国会でも注目

 保育園に入れなかった怒りを「保育園落ちた 日本死ね!」と書き込んだ匿名ブログ。働く女性の保育難民*竭閧ェ、開会中の国会で一躍注目を集めた。このブログを示しての野党議員による質問に、安倍総理をはじめ与党側が「木で鼻をくくった」ような答弁と無神経なヤジを飛ばし、全国の子育てママさんたちを怒らせたのだ。

 政局化すると、与党にとっては4月24日投開票の2カ所の衆院補選はおろか夏の参院選まで悪影響が出かねず火消しに躍起だ。

 この古くて新しい保育難民問題。政治的な側面と、本当に困った状態に陥っている都市部の保育実態の両面から考えてみよう。

「1億総活躍」子育て支援どこへ?
待機児童問題の実態

 少子化がどんどん進むのに、待機児童数は変わらず推移。安倍総理は「17年度までに40万人の保育の受け皿を確保する」と約束したけれど、15年時点では逆に待機が増えているんだ。

 なぜ、一向に減らないのだろうか。一番は「待機児童問題は地方自治体の責任」という考えが国家公務員に強く、国会議員も高齢者向けの「年金、医療、介護」に比べ、子育て世代向けの「保育、教育」は「票につながらないから」と受け止め方が弱かったからなんだ。

 つまり、政治家のおじさんたちは、子育てママさんの痛みや悩みをまったく実感していないんだ。

安倍内閣を揺るがせた待機児童問題の流れ
2月15日 はてな匿名ダイアリーに母親ブロガーによる「保育園落ちた 日本死ね!!!」の投稿掲載。
2月29日 国会衆院予算委で山尾志桜里議員(民主)がこのメールを取り上げての質問に対し、安倍首相は「匿名で真偽を確かめようがない」と突っぱね門前払い。自民党など複数の議員から「根拠があるのか?」「出典を示せ」など激しいヤジが山尾議員に飛ぶ。
3月4日 怒った子育てママさんたちが「落ちたのは私だ」とプラカードを掲げ国会前で抗議行動。
3月9日 山尾議員同行で、塩崎厚労相に対し2万7千人分の待機児童解消を求める署名簿を届ける。
3月10日 公明・山口代表が「与党として早急に対策を取りまとめる」と表明。
3月14日 参院本会議で安倍首相は「待機児童ゼロを必ず実現させる」と表明。自民党内に「待機児童問題等緊急対策チーム」を立ち上げ。
3月11日 参院予算委で安倍総理は野党の質問に対し「仕事と子育てが両立できるよう、働くお母さんたちの気持ちを受け止めて、待機児童ゼロに向け施策を進めていきたい」と丁寧に答弁。2週間前と天と地の対応ぶりをみせる。

■待機児童は都会に集中

 待機児童の実態を見てみよう。厚労省によると昨年4月時点の全国総数は2万3千人余り。1千人以上の待機を抱える都道府県は7814人の東京を筆頭に、沖縄2591人、千葉1646人、大阪1365人、埼玉1097人と、ほとんどが都市圏に集中。逆に待機ゼロの県は鳥取、福井、石川、富山、新潟、青森などの過疎地域に多い。つまり、都市部に限った問題なんだ。

 さらにこの人数も「氷山の一角」。厚労省は認可保育所に落ちた子どもが認可外保育所へ入ったり、育休を延長して家庭で育てているケースはカウントしていない。認可に合格しても遠すぎてあきらめた場合も「自己都合」という理由で除外している。だから、実際の待機児童数は「倍以上に当たる5万人超」という試算もあるよ。

■ 保育士が足りない

 私たちの大阪はどうだろう。阪南市が撤退した家電量販店に一挙に7カ所の認定こども園を設けようとしたり、大阪市が保育無料化を打ち出したりしているけれど、実は足りないのは施設ではなくて保育士なんだ。

 現在40万人ほどが働く保育士の労働市場。毎年5万人が新たに保育士資格を取得しているのに、2年後まで9万人も足りない。その理由は、資格があっても働いていない保育士が全国で70万人を超えるからなんだ。

 その原因はズバリ、長時間労働と責任の重さ、平均月額22万円で手取りはそれ以下という薄給の ワースト3点セット=Bこのため、5万人が就職しても、一方で1割近い3万3千人が離職しているのが実態さ。

 公的補助があってはじめて経営が成り立つ保育所の状況では、無認可施設は人件費を削りに削っても保育料が月額10万円以上になるケースも出る。

 何としても保育園に入るために、ママさんたちは情報交換しながら、場合によっては妊娠中からルールすれすれを承知で、涙ぐましい必死の場所取り合戦を繰り広げている。

 要は国の法律を根本的に変えないとダメ。教育基本法ならぬ保育基本法を国が定め、施設と保育士に対して同時に予算措置を明文化する。地域の統廃合した学校や場合によっては企業や団体に保育所併設設置を義務化させる。安倍総理提唱の希望出生率1・8人≠ノ一歩でも近づけるには、「子どもは何人目でも小学校に入るまでは、国が責任を持って保育し親権者のお金は不要」というところまで決断しないと少子化対策にはならないんじゃないかな。


山尾志桜里議員って何者?

やまお・しおり 旧姓・菅野。仙台市出身の41歳。小学生の時にミュージカル「アニー」のオーディションに合格、初代アニーをダブルキャストで務める。受験に伴い芸能活動を引退、東大法学部を経て2002年司法試験合格。検察官に採用され、東京地検、千葉地検などで勤務。09年民主党から衆院愛知7区に立候補し初当選。現在2期目。山尾は夫の姓で、自身も5歳の長男を持ち子育て中。元検事らしく理詰めで攻め立てる口調は、論戦ですぐにカチンと来て居丈高になり今回のような失言をしてしまう安倍総理の天敵の素質十分。さしずめ、小泉総理を追い詰めた辻元清美議員の再来か?