2016/3/12

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
どうなる?どう決まる? 米大統領選

 テレビをつけると米大統領選に向けた演説が連日、報道されているよね。でも、ほとんどの読者は「外国のことだし、別に誰が大統領になっても自分たちには関係ないでしょ」と思っているんじゃないかな。

 でも、日本も他人事じゃないよ。たとえば歴代大統領の対日政策をみると、民主党出身者は日本に対して厳しく、反対に共和党出身者は日本には好意的という傾向があるんだ。

 米国はGDP(国内総生産)が世界一の国で、軍事的にも全世界に230万人の兵士を展開する世界の警 察≠フ最高司令官でもあるよ。

 今回は米大統領を決めるちょっと特殊な仕組みと長丁場のスケジュールを知っておこう。本選をズバリ予想すると、初の女性候補・ヒラリー・クリントン(68)VS政治経験がないドナルド・トランプ(69)の戦いになりそう。

 今回名前の上がった候補者の顔ぶれを眺めると、米国が抱えるリアルな問題点も透けてみえるよ。


止まらないトランプ旋風

 米国は民主党と共和党の2大政党の国。ニュースで盛んに繰り広げられているのは、この2つの政党が大統領候補者をそれぞれ一人に絞る予備選挙なんだ。本選は11月で、各州の代議員の獲得数で新大統領が決まる。有権者の得票が1票でも多い方がその州の選挙人を総取りする仕組みが大半なんだ。

 日本は英国と同じ議院内閣制で、議会(立法機関)与党と内閣(行政機関)トップは一致する。でも米国の場合は、そうとは限らない。現在のバラク・オバマ大統領(54)は民主党だけど、議会の多数派は共和党なんだ。

 両党の違いについては、自由競争によるアメリカンドリームを目指すのが共和党。キリスト教聖教徒(ピューリタン)の平等精神に基づき、団結と互助を前面に出すのが民主党さ。

■毒舌許される人気者

 候補者の顔ぶれを眺めてみよう。民主党のヒラリーは、第42代ビル・クリントン大統領(69)の妻で、オバマ政権では国務長官(日本の外務大臣に相当)を務めた。学生時代から極めて成績優秀な野心家で、弁護士でもあり超≠ェ付くエリートだ。

 対する共和党で有力なのはトランプだ。テレビ司会で人気者となり、毒のある発言も許されるキャラクターとくれば、往年の橋下徹・前大阪市長とダブるよね。「政治経験のなさとワンマンぶりが魅力」という点も同じだ。

 こういう存在は、有権者からは「閉塞感いっぱいの政界を一気に変えてくれる魔法使い」のように映る。逆に政治のプロから見ればポピュリズム(衆愚政治)の権化であり、「偽物でペテン師」(4年前の共和党公認大統領候補、ミット・ロムニー元マサチューセッツ州知事)と真逆の評価になる。

■トランプ阻止にはルビオ、クルーズの一本化

 トランプの支持基盤を考えてみよう。米マスコミは一言で「白人、男性、ブルーカラー、高校卒」と表現している。つまり、黒人(アフリカ系)をはじめ移民のヒスパニック(南米系)やアジア系(イスラム教徒ら)に仕事を奪われ、同じ白人でもエリート層が遠い存在で「アメリカンドリームなんてもう死語だ」と痛切に感じている人々が中心だ。

 トランプを追うキューバ移民の子で共和党主流派のマルコ・ルビオ上院議員(44)、超保守強行派のテッド・クルーズ上院議員(45)。トランプ阻止には、この2人がいつ一本化するかが勝負どころだよ。

■日本はアジアの盟友

 スーパー・チューズデーを勝った候補者が党指名から外れたことは近年ない。今年も勝者同士のヒラリーとトランプの戦いになれば、ヒラリーの勝利はまず動かない。

 誰が米大統領になっても、日本の基本政策は「対米追従外交」だから対日政策は変わらない。放っておいても勝手に米国に付いてくるからね。すでにオバマ大統領は「もう世界の警察は止める」と表明。超大国から老大国にゆっくり沈んでいく米国にとって、日本は軍事を含め無条件で肩代わりを申し出てくれるありがたいアジアの盟友といえる。


素朴な疑問  なぜ火曜日なの? 選挙人制なの? 総取りなの?

 米国はキリスト教国なので、日曜日は教会に行くための安息日。で、月曜日に馬に乗り投票場に向かい、翌日火曜日に投票するのを想定。有権者が11月8日に投票し、州ごとの総数で獲得選挙人の数が決まる。

 選挙人は各州の上下院議員数と同じ総数538人で、過半数は270人。どの候補者に入れるかを宣誓して選挙人となり、有権者投票の1カ月後に選挙人 投票が行われる。

 総取りが大半の州の伝統。そのため、投票総数と投票人獲得数の結果が一致しないことが過去に3回あった。

 いずれも、米国西部開拓時代から150年以上続く伝統的な方式で、見直される見通しは少ない。