2015/12/12

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
中国のPM2.5 COP21で改善する?

世界のCO2ガス排出 半分が中米印

 北京の大気汚染が深刻化する中、国連の気候変動枠組み条約締約国196カ国・地域の代表による21回目会議、通称COP21が仏パリで開かれた。

 典型的な総論賛成各論反対≠フ事案で、各国とも「地球温暖化は困るけど、自国の排出規制は経済発展に悪影響を与えるからご免」という姿勢なんだ。今回も「義務化しない排出目標を各国ごとに提出して、それを5年ごとに見直そう」と決めるのがやっと。会議は全会一致が条件だから、一国でも反対したら前に進まない。最終目標は「産業革命(18世紀から19世紀初頭)当時の平均気温から、上昇を2度までに抑えよう」ということだけど、排出規制が進まない今のままだと「21世紀末で5・4度上昇」という絶望的データもあるんだ。

 本当のところ、先進国が途上国にお金と技術を与えて支援するしかないんだけど、お互いが自説を主張するばかりでなかなか進展しない。この辺も詳しく説明していくよ。

20年後、温暖化はより深刻に

 温室効果ガスは二酸化炭素(CO2)やメタンなどのことだけど、ここ数年を見ると総量は全然減るどころか、むしろ増えているんだ。1997年のCOP3で、先進国の総排出量を定めた「京都議定書」が採択されたけれど、ほどなく米国が「一番排出している中国が含まれていないのは不公平」と反発して離脱。それ以後の世界削減基準作りは全く進んでいないんだ。

 そんな中、今回のCOP21でオバマ米大統領と習中国国家主席が直接話し合って「両国が協力して新たな枠組みを作ろう」と合意したのは成果といえる。義務を伴わない二酸化炭素の削減目標では、米国が「2005年を基準に、20年後に26〜28%削減」、日本は「2013年を基準に、17年後までに26%削減」とほぼ追従。問題の中国は「2005年を基準に25年後までに、GDP(国内総生産)あたり60〜65%削減」と大きく出た。ただしGDPあたり≠ニいうのがくせ者で、経済成長に伴って排出総量が増やせる からくりがあるんだ。

 仮に各国が提出している削減目標が全部実行されても、実際は「産業革命当時から2度上昇」に抑えることは難しいんだ。IPCC(国連環境計画UNEPの気候変動に関する政府間パネル)総合報告書によると、2度以内の平均気温上昇に抑えるための二酸化炭素許容総量は、地球規模で約3兆t程度とされる。これが産業革命当時から宇宙に逃げずに毎年積み重なって3分の2に達し、残りは1兆t程度しか余裕はないんだ。

 200年掛かって3分の2を使い果たしたんだから、残りは「100年くらい?」と思うかもしれないけれど、今のペースだとせいぜい20年しか持たない。つまり、2040年過ぎに地球は深刻な温暖化に見舞われるいう試算なんだ。

環境問題どころではない新興国

 どんなきれいごとを言っても、貧困で命の危険が迫る新興国の人々にとって、衣食住がまず先決だから環境問題どころではないのが本音。そこで先進国は自国の排出目標に加え、途上国と新興国へのお金と技術の援助が必要になる。

 でも、UNEPは一時金として126兆円、以後毎年12兆3000億円と気が遠くなるような額を試算している。そもそも各国ごとの削減目標の義務付けすら行えていないのに、資金や技術を援助しても「実現の確約がない」と先進国は懐疑的なんだ。

 そもそも論だけど、「温暖化するものはしょうがない」という説もある。地球は水が「大気中→雨→海と河川や地表内→蒸発して再び大気中」の循環を繰り返して生命維持が成り立っている。

 温暖化すれば蒸発スピードが極端に早まって、大気中に多くの水を含むことになるので台風や集中豪雨、一方で干ばつなどの異常気象リスクが高まる。南極や北極の氷が溶け、海面上昇も避けられず水没する島や街も出る。農産物収穫にも大きな影響が出て飢餓リスクが高まる。つまり、地球全体の生態系バランスが大きく崩れるんだ。

増えるPM2・5

 さて中国のPM2・5だけど、主な原因は冬期の石炭暖房と自動車燃料が主とされているよ。地元当局が定めた基準の6倍、日本の基準だと20倍にも達する汚染度の日がしばしば発生していて、12月7日には初めて最高レベルの「赤色警報」が出された。風のない冬の日は、北京の街は石炭臭いスモッグで薄暗くなり、人々はできるだけ外出を控える傾向にあるんだ。吸い込むと肺の奥まで入り込み、ぜん息などを引き起こすからね。

 日本列島は約1000キロ以上離れているけれど、中国と近い沖縄や九州などの越境汚染≠ヘ予防策の立てようがない。飛来日時は現地とはズレるので、テレビやネットの天気予報で自分の地域を念入りにチェックしよう。外出時はPM25対応マスクが有効だし、当該の日は室内換気を避け、空気清浄機を使おう。

 そう考えると、近畿や中四国のスキー場がこのところ毎年のように閉鎖されるのは、こうした温暖化のしわ寄せが大きいんだろうなぁ。