2015/11/28

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
パリ同時多発攻撃 頻発するテロ事件 日本は大丈夫なの?

 2001年の9・11(米国中枢同時攻撃)並みに世界を震撼(しんかん)させたパリ同時多発攻撃(現地時間11月13日夜)。

 今回は観光都市・パリで起きたからこそ注目されたけれど、数十人、100人規模で被害を受ける同様の自爆や乱射は実は各国でひん発している。イスラム国(IS)の仕業などとみられる中東や欧州、アフリカなどでの突発的な襲撃発生件数は昨年だけで3万件超。9・11のころと比べて100倍近くと恐ろしい勢いで広がっているんだ。

 ジャーナリスト・後藤健二さんらが殺害されるなど、海外で日本人が被害に遭うケースは年々増えている。日本国内はいつまで安全でいられるのかを考えてみよう。

互いを認め合い、理解し尊重することが重要

 ISやアルカイダ、タリバンなどのイスラム過激派が日本国内で攻撃を仕掛ける危険性はあるのだろうか?

 地続きで多民族化が進むEU域内は国境検問すらないけれど、日本は島国でもともと入国審査が厳しい。さらに今回の事件で、手薄だった地方の空港や港も体勢整備も一気に進んだ。それに日本は、中国や韓国などの外見上似ているアジア系以外の定住者が少ないので、そうした外国人はどうしても目立ってしまい、警戒中の警察やガードマンにチェックされやすい。

 ただし、6月に東海道新幹線でのガソリン焼身自殺があったように、電車やバスはほとんどノーチェックで乗り降りできる状況だから心配。経済を後押しするために外国人観光客を呼び込むのもいいけれど、同時にテロリストが紛れ込んで入国する危険は増しているよ。

イスラム過激派のルーツ

 このイスラム過激派はいつ、どこで生まれたんだろう?ルーツは1979年、旧ソ連のアフガニスタン侵攻にまでさかのぼるんだ。欧米の支援を受けたイスラム民兵が中心になって、10年かけてソ連を撃退。そこで生まれたのがタリバンで、分派のアルカイダなんだ。

 タリバンはその後のアフガンを支配。アルカイダは90年のイラク・クウェート侵攻に対する米国の介入に反発して勢力を拡大したんだ。9・11テロへの報復で、当時のブッシュ米大統領はアルカイダを一掃するためアフガンとイラクに地上軍を投入。この時に壊滅させたイラク・フセイン政権の軍人残党組がIS建国の基礎になったんだ。3派とも欧米の中東介入が生み出したんだから、皮肉だよね。

 タリバンとアルカイダはルーツが同じなので今も仲がいい。でも、ISはタリバンが支配する地域を侵略して併合したこともあるから敵対している。インターネットを利用した資金や兵士集めでもバッティングしていて、両者は常にアピール合戦を演じているんだ。

中東問題は解決できる?

 では、この中東問題に解決の糸口はあるんだろうか?今の答えは残念ながらNO≠セね。今もシリア内戦は、アサド政権をロシアが支援、欧米が支援するイスラム民兵組織は裏でタリバンとつながり、ISとの三つ巴(どもえ)の戦いの行方はサッパリらちが開かない。逃げ惑う難民は全人口の5分の1に相当する400万人に達している。さらにトルコ・イラク・イラン・シリア地域にまたがるクルド系の3000万人は、統一国家樹立を目指しながら各国・各組織の思惑で内戦に利用されていて、将来の紛争の火だねになり続けるのは間違いない。

 それに、かつての欧米列強諸国は、中東の石油利権を得るために侵攻と援助というアメとムチ≠ナ陣取り合戦を演じてきた。ところが、ロシアは天然ガス、米国はシェールオイルと、自国でエネルギーがまかなえるようになった。だから、地上軍を投入してまで和平を実現させる気はほとんどないんだ。

私たちにできること

 「我々が皆同じ考え方をしたからといってそれが一番良いということにはならない。意見の違いがあるから競馬だってできるのだ」(「トム・ソーヤの冒険」で知られる米国の作家、マーク・トウェイン)。

 テロリストはキリスト教を象徴する十字軍との戦い≠ノ例えて、イスラム中心主義との二者択一を迫っている。異端者との戦いに臨み、対する各国は意思統一や団結を呼びかけているんだ。

 でも、それは憎悪が報復の連鎖を呼ぶことを、歴史がすでに証明している。実質無宗教な日本に暮らす私たちに出来ることは、まず互いの違いを認め合い、相手の立場を理解し尊重することだよ。