2015/10/24

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
施工不良でマンション傾く データ改ざん、ずさんな工事

 販売戸数全国第4位(2014年)の業界大手「三井不動産レジデンシャル」が、2006年に横浜市北部で開発分譲した大規模マンション(4棟700戸)で施工不良の問題が発覚。当時の状況が少しずつ分かってきて、工事データの改ざんなどずさんなどころか、意図的に手抜き工事をしたという実態が分かってきた。

 今回の問題は、基礎部分のくいにあった。固い地盤に届いていなかったり、ドリルで開けた穴に、くいを差し込んで先端の周囲を固めるセメントが少なかったりと 単純ミス≠ナは起こりえない状況だった。

 原因の詳細はこれから徐々に明らかになるだろうが、現場の作業責任者が「必要な費用と時間」を惜しんでデータ書類にウソを書き込み、ごまかしたとしか思えない。これはミスとは呼べず、悪意の改ざんそのもので基礎工事を担当した旭化成建材の社長もその事実を認めている。

 マンションの購入者からすれば、この先の暮らしが心配だ。マイホームはほぼ一生に一度の大きな買い物。この問題を機に、後悔しないマンション選びを考えてみよう。

危ないマンション 見分けるには?

消費者保護の法律も

 まず知ってほしいのは、新築のマンションや一戸建て住宅の場合、10年以内に何か問題が起きたら、2007年にできた「住宅瑕疵(かし)担保責任履行確保法」という長い名前の法律で、買い主は保護されているということ。仮に施工業者が倒産していても、2千万円までの補修は基金として積み立てられた保険から出してもらえる。

 今回の横浜のマンションは築後10年以内なのでこのケースに相当するし、三井不動産レジデンシャル社のトップは「即時買い戻しを希望されるなら分譲価格を最低額として支払う。精神的負担、一時避難などの仮住まいも含め費用は個別事情に応じて支払う」と宣言して入居者に全面謝罪した。

 最近のマンションで同じような買い戻しがあった例を見ると、諸経費込みで1戸当たり4000万円程度の費用が発生しているので、仮に700戸全部に当てはめると280億円という膨大な額になる。それでも応じる姿勢をキッパリと示せるのは、今回のように売り主が旧財閥系や電鉄系、ゼネコン系などの大手業者に限られているのが実態だ。

改ざんの動機は?

 データ改ざんで思い出すのは2005年に発覚したA一級建築士が耐震構造計算書を偽造した事件だ。施工業者やマンション販売業者らいろいろな会社のトップの関与がうわさされたが、裁判で結果的にはA一級建築士個人の犯罪となった。このときA氏は動機にかかわる部分で、「経済設計とコストダウンができる優秀な一級建築士と言われたかった」と供述している。

 今回の不正の動機はまだはっきりしないが、A氏と同じような、現場責任者のゆがんだプライドと、東京一極集中による好景気下で建設ラッシュが続く中、下請け建設業者に対する工費と工期の順守≠ニいうプレッシャーがあったとも推測できる。

中古物件を見定める

 消費者にとって問題は中古物件の購入。「マンションの場合、危ない建設時期はいつごろか?」という見極めが大事だ。

 まず、先ほどの瑕疵担保法が適応されない10年以上経った物件は要注意。特に阪神・淡路大震災を受けて耐震基準が大きく変わった2000年よりも前のマンションは、近く予想される南海、東南海の地震で被災するリスクが高い。

 それとマンション不況の時期に建った物件は売れないから安く建てなければならないジレンマがあったはずなので要注意。具体的には相場全体が下がった2003年から翌年に掛けてと、リーマン・ショックで大きく景気が落ち込んだ2009年から翌年にかけてが一つの目安といえる。

 「安物買いの銭失い」にならないよう、安いものにはワケがある≠ニ疑ってかかる慎重さが必要だ。


こんなところに気を付けて

 「自分でしっかり吟味して」などとは間違っても考えない方がよい。基礎部分の施工不良は書類と現場を見ても専門家でさえ分からない。住んでいる人を出入り口でつかまえて「このマンションを買おうと思っているのですが?」と素直に話し、不具合の有無などを直撃した方が役に立つ。

 「それなら思い切って一戸建てに」と思う人もいるだろう。新築戸建て住宅は大半が中小業者による一定の敷地を分割して建てるやり方。この場合も近隣の人に「ここに、元は何が建ってたんですか?」と聞くことが大切。新築なら当然、瑕疵(かし)担保法の対象だ。

 マンションにしても一戸建て住宅にしても、マイホームの基本は「安全・安心・快適」の3点。それに屋内では日々の心地よさ、一歩外へ出れば地域コミュニティーと子どもたちの学校などの諸問題が付いて回る。候補物件が決まったら、日中と夜、平日と日祝日の周囲状況をチェックしておきたい。意外な騒音振動臭気などに後で気が付いても遅い。営業マンの応対ぶりだけでなく、「販売会社と長く付き合えるか?」をもう一度じっくり考えてみよう。