2015/10/10

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
2020年 東京五輪 追加5競技はどう決まった?

競技拡大に舵切るIOC

 2020年東京五輪の追加5競技が決まった。野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング(日本の国体では山岳)、サーフィンの5競技18種目が追加される予定で、正式には来年、ブラジルで行われるリオデジャネイロ五輪(リオ五輪)でのIOC総会で承認される。

 夏季五輪はこれまでできるだけ競技数や種目を絞る方向で進めてきたけれど、東京大会から開催地の意向を全面的に取り入れ、競技を拡大する方向に転じたんだ。

 今号では新しく追加される競技がどういった流れで決まったのか、そしてどうして五輪が拡大政策を取るようになったかの背景を解説していこう。

 ちなみに、第1回のアテネ大会(1896年)からずっと行われている競技は陸上・競泳・体操・フェンシングの四つだけだよ。

 IOCが開催都市の競技拡大を認めるようになったのは、その国の人気競技を五輪に加えれば、資金が調達しやすく、チケットもよく売れると考えているからなんだ。五輪は今やお金が掛かり過ぎる≠フで、立候補する開催都市が減っている。IOCも瀬に腹は替えられないということだね。

 東京大会は、左表の26競技が1次選考に名乗りを上げ、そこから8競技が残り、2次選考を経て5競技にまで絞られた。IOCの規程で、追加競技は「1つまたは複数で、総選手数増加は500人以下」などという条件があるから、5競技からさらに削られることもあるけど、最近は開催都市の提案を重視することが強いから、このまま認められると思うよ。

選考の本音と建て前

 日本での選考過程の本音と建て前≠見ていこう。建て前では@若者へのアピール力A東京大会を盛り上げる付加価値B開かれた公平な選考―だ。でも、実際は@日本のメダル獲得が有望A日本で注目度が高いB費用がかからない―のが本音なんだ。

 男子の野球・女子のソフトボールはともにメダルを狙えるし、野球場は全国どこにでもある。一度五輪の正式競技になりながら、2008年北京大会を最後に消えたから、野球好きの日本人としてはうれしいよね。

 空手も発祥国の日本は強いし、会場は柔道場を転用できるので安上がり。ただ、主要流派が複雑に分かれているから競技の統一ルール作りが遅れ、韓国のテコンドーに出し抜かれた経緯がある。スポーツクライミングは仮設の室内でできて、日本が男女ともに世界一。やったことのない人でも、街の体育館などに人工のボルダリング用岩壁が整備されているのをみたことがあるはずだよ。

 残るスケートボードとサーフィンは、米国を中心としたIOC委員へのご機嫌取り。「こんなに若者のスポーツに理解があるんですよ」というJOC側のパフォーマンスだね。

 2次選考で落選したボーリング、スカッシュ、武術の3競技は、いずれも新たな施設の建設などが発生しないから、公開競技として実施される可能性も残している。

 ただし、建て前Bの「開かれた選考」にはほど遠いな。検討会議の発表では「数値が独り歩きする」と選考過程や投票の結果を明らかにしていない。

 IOCが運営協力して五輪の翌年に「ワールドゲームズ」というのが開かれるんだけど、ここには次の五輪を狙う競技がそろっている。今回の追加種目応募の段階でも、ほとんどの競技が手を上げた。今後もメジャーを目指し競技団体は普及に頑張るだろうから、今から先物買いをして練習するのも手だよ。

五輪にない国体競技

 最後に、6日まで和歌山県で開かれていた国民体育大会(国体)の競技内容をちょっと見ておこう。国際化を望んでいない剣道、銃剣道、なぎなたなど日本古来の武道が正式種目に名を連ねている。スケートボードとサーフィンは国体競技にはないけれど、7人制ラグビーやビーチバレーも五輪の後追いで国体競技になったから、今後加わる可能性が高い。

 毛色が変わった動きをしているのが相撲。国体競技の実績も長く、今回も五輪競技に応募した。女人禁制でちょんまげと化粧回しのプロ力士に対し、アマチュアの国際相撲連盟は「男女が体重別に戦う個人格闘技」と位置付け、国際化へ別の道をたどっている。ただし、世界大会で日本は確かに強いけれど、外国勢の成長も著しく簡単には勝てない。大相撲の日本人力士が勝てない現状と同じだね。


【なぜ真夏に開催するの?】

 「1964年の東京大会は10月10日開幕だったのに、2020年はなぜ真夏の7月24日にスタートするの?」と思った人はいるかな。過去の例をみると、都市の気候などを加味して7、8月開催と9、10月開催が半々くらいの割合。それが、1976年モントリオール大会以降は、2000年シドニー大会を唯一の例外にして、7月下旬から8月のお盆時期までの日程に統一された。

 理由は、欧米の夏休み時期でテレビの放映権料がどっさり入ることへの配慮なんだ。競技数拡大と根っこは同じ、お金の問題だ。ただ、北半球で真夏が酷暑の北京や東京は選手にとってつらいスケジュールになりそうだね。