2015/7/11

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
国民投票で「NO!」 ギリシャ問題、日本へどう影響?

 EUからの財政再建案に対し、「NO」を突き付けたギリシャの国民投票。これでギリシャは、EUからの離脱と、通貨のユーロを破棄して自国通貨に回帰する可能性が現実味を帯びてきた。

 チプラス首相は国民の支持をバックに、EUに対して「緊縮財政を緩めろ」とか「返すお金の額を減らせ、なくせ」と挑発しており、各国の首脳は強い不快感を抱いている。まさに一触即発の状態が大きくなっていきそうだ。

 一方で、国債を大乱発する日本も超赤字国。「そのうちギリシャみたいになる」と心配する人もいるし、「どこかで財政破たんしたら、リーマンショックの時みたいになるのでは?」とハラハラする人もいる。今号では、そのへんを考えてみよう。


国民を応援につけ強気

 チプラスさんは「もうEUに緊縮財政を押しつけられるのはこりごりだ」と主張して今年1月に当選した首相なんだ。

 今回の国民投票でも政策が支持され、国民を応援団に付けた究極のポピュリズム(大衆迎合)≠ナ、めちゃくちゃな国家財政のかじ取りを乗り切ろうとしている。

 「言うことを聞いてもらえないなら、EU離脱も恐れない。そうなればEUはもっと困るだろう」と、借りている側が開き直ってしまっているんだ。

 もともとEUは財政も規模も異なる19カ国が、国家体制はそのままに通貨だけを統合したわけだから、こんな日が来ることはある程度予想されていた。

 ギリシャがEUから離脱すると、通貨はかつてのドラクマが復活するだろうけど、信用のないドラクマでは、どこの国も取引に応じてくれない。そうなると為替レートはズドンと落ち込み、輸出入の貿易が大混乱。その間にも借金の返済が次々に押し寄せてくることになるだろうね。

日本への影響も

 では、気になる日本への影響だけど、株価と為替、そして日本国債への悪影響は避けられない。

 ギリシャの借金の出どころは、国際通貨基金(IMF)と欧州中央銀行(ECB)を中心とした公的機関がほとんどで、日本はIMFへの出資額が世界第2位なので、その分、穴埋めで負担が増えるだろうね。

 でも、日本国債の信用が下がる危険は少ない。なぜならギリシャと違って、日本の国債の95%は海外ではなく、日本国内の金融機関などが買っているからなんだ。そう考えると現状では破たんの心配は少ない。

 それでも、「これ以上、付き合いきれない」とEUが怒ってギリシャにを切り捨てれば、ユーロ加盟国の中で同じように財政が悪化しているスペインやポルトガル、イタリアなどと、裕福なドイツやフランスなどとの関係がギクシャクしそうだ。その分、円やドルに対してユーロの地位が下がる。

為替は確実に円高へ

 では株式と為替はどうだろう?

 これもギリシャの離脱が現実になってくると、ユーロに対して着実に円高に振れる。でも、相変わらず米ドルが強いので、円高一辺倒にはならないのがせめて もの救いだ。

 ただし、日本の株式はこれまでも官製相場≠ニいわれるほど、国が高値を演出してきた経緯があるから危険だ。外国人投資家が利益を得るために、株の乱高下を仕掛けてくるからね。世界金融は連動しているのでユーロの力が弱まると、かなりの下げ幅は覚悟した方がいい。

混乱につけ入るロシアと中国

 今後のギリシャの動きは、絶対的に資金が足りない分、生き延びる道を探してロシアと中国に接近することになる。両国は欧米の世界支配に強く反発しているから、地中海に面した港や空港が使えるようになるとNATO(北大西洋条約機構の軍事同盟)に風穴を開けることになる。

 もともと人口1000万人程度の国で主な産業は観光。国民の5人に1人は観光の仕事に関わりがあると言われている。

 古い歴史と文化を誇り、国民のプライドは高いけれど、あくせく働く習慣のないのんびりした国だから、世界情勢への影響は続くだろうね。