2015/6/27

社会全体で考える事が必要 つながり依存℃qども同士でルールを

兵庫県立大学 准教授 竹内 和雄

 スマートフォンをめぐるさまざまな問題について積極的に提言している兵庫県立大環境人間学部の竹内和雄准教授に、スマホのトラブル事例や対応策などについて聞いた。

 ―中高生のスマホ使用に伴うトラブルの種類は。

 「一つ目はスマホ依存、二つ目は課金。スマホを使う側はお金を支払うことが日常化している。三つ目は、軽い気持ちでネットに書き込んで人生を台無しにしてしまう炎上。四つ目がネットを引き金にしたいじめやけんかだ」

 ―いじめの具体例は。

 「小学6年の女子児童が、友達の持っている縫いぐるみのことを無料通信アプリ『LIEN(ライン)』を使って『かわいくない』とメッセージを送った。送った子は『かわいくない?』と肯定の意味のつもりでしたが、『?』マークを入れていなかったので、相手に誤解されてしまった。それをきっかけに相手からのいじめが始まった」

 ―トラブル防止のために保護者が心掛けることは。

 「親自身がトラブルの事例やスマホについて知らないといけない。その上で、使用時間や料金、人の嫌がることを書かないといったルールを子どもと話し合うことが大切。これからは親がしつけの一環として、スマホの使い方を教える必要がある」

 ―教師は子どもとどう向き合うべきか。

 「スマホについて知らない先生が多いのが今の状況。一例として、2年ほど前に高校の研修で『最近、ラインのトラブルが多い』と話をしたところ、50代の体育の先生は、グラウンドに線を引くライン引きで殴り合いでもしたのかと勘違いをしていた。先生は子どもを取り巻く環境を知る必要がある」

 ―なぜ子どもはスマホに夢中なのか。

 「女の子はラインをやめられない傾向にある。友達に付き合って、途中でやめることができないという『つながり依存』だ。これは人間関係の不安定さが背景にある。一方、男の子はスマホのゲームに夢中だ」

 ―こうした問題の対処法は。

 「ラインは相手がいることなので、相手も一緒にやめさせることがポイント。そのためには、子ども同士でルールをつくることが大切だ」

 ―全国でのルールづくりの事例は。

 「愛知県刈谷市では子どもの夜間のスマホ使用時間を、午後9時までとする独自ルールを決めた。兵庫県立姫路飾西高校の生徒は、オープンハイスクールで同校を訪れた中学生と、スマホの使用時間などについて議論した。午後9時までと午前0時までに意見は割れたが、最終的に午後9時までとし、寝る前10分は画面を見ていいとした。この緩和措置はよくできている」

 ―どういうことか。

 「子どもは大人が思いつかないような利用実態に合ったルールを考えることができる。それに、何かあったときは、子どもが互いに『あのときに決めたやろ』と言いやすいこともメリットだ」

 ―有害サイトへのアクセスを制限する「フィルタリング」の重要性は。

 「以前、イスラム国が後藤健二さんを殺害する様子がネットに流れ、多くの小学生が見た。人が殺される映像を『本物』だと思って見たとき、将来にどんな影響が出るかを含め、大きな問題だ。残虐な場面や無修正の性的な映像は、大人の責任として、子どもの目に触れないようにすべきだ」

 ―スマホの使用年齢が低年齢化している。

 「小学1〜3年の所有率が伸びている。これは親が『携帯ネーティブ』世代になり、家庭に固定電話を置かず、両親がスマホを持っていることも一因だと思う。子どもは小学4年から塾や習い事を始めることが多いが、子どもとの連絡手段に持たせるという状況もある。これからの子どもは1人1台の方向に向かうと思う。だからこそ、社会全体でスマホの問題を考えないといけない。私たち大人が自分の問題として考えることが大切だ」