2015/6/27

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
韓国のMERSってもう大丈夫?

 MERS(マーズ)で知られる中東呼吸器症候群のコロナウイルスの患者が韓国で見つかって約2カ月半。一時は観光客が激減するなど同国の経済を直撃しパニック寸前に陥った。

 しかし、WHO(世界保健機関)は調査の結果、6月17日に「緊急事態宣言」の見送りを決定。先週末にはその判断通り、最初の患者が発生した後初めて、新たな感染者の報告がなかった。事態は少しずつ沈静化に向かっているようだけれど、日韓を行き来する人は年間500万人にのぼるだけに安心はできない。

 すでに自宅隔離対象者で2週間の経過観察を義務付けられている5人の韓国からの入国が確認されているから、しっかりとした予備知識を持っておこう。

風邪ウイルスと同じ対策

 MERS(マーズ)の一番厄介なのは、2012年にサウジアラビアで最初に見つかった新種のウイルスだから、病理的研究が進んでいないところなんだ。現在までに有効な予防法や治療法はない。

 昨夏に蚊によって媒介するデング熱の人への流行が問題になったけれど、アレも有効な治療薬がなかったから大騒ぎになったよね。同じような新種のウイルス感染という点では2002年から1年間、中国ではやったSARS(サーズ)、鳥から人に移るケースが確認された高病原性鳥インフルエンザなどと同じだ。

 現在までの研究では、MERS自体は3年前の発見当時から変異は見られず、飛沫(ひまつ)感染(せきやくしゃみなどの唾液による感染で半径2m以内程度)だけで空気感染(ウイルスが空気中を浮遊し、吸い込むことで感染。同一室内どころかエリア全部の隔離必要)の心配はない。

 インフルエンザと同じで、潜伏期間は2週間。体力があれば感染しても発症しないケースが多いと推測されるが、その場合の拡散リスクはないと考えられている。発熱、せき、息切れ、ゲリなどの消化器、呼吸器などへの異変諸症状が出ている人から感染するということだ。

なぜ韓国で感染広まった?

 韓国で拡大した原因は、ズバリ病院での院内感染。糖尿病などを持つ高齢者や喘息(ぜんそく)の子ども、さらに重篤な病気を患って免疫力が下がっている入院患者などに感染した。肺炎を起こすとその致死率の高さで一時恐れられたが、感染して発症していない人はカウントされておらず実際にはそれほどでもない。 本来、風邪のウイルスと同じだから対策も基本的に同じだ。

 飛行機移動のスピード化で、こうした感染症の空港での水際阻止作戦は、ほぼ意味がないとみていいだろう。なぜなら、汚染地からやって来ても、発症前だとしても健康そうな人の入国を阻止することはできないからだ。そこで厚労省は、仮にMERS感染者が出た場合は、知事命令で強制入院させることができ、第2種感染症指定医療機関(大阪府内なら計15カ所の病院)で隔離しながら治療する体制をすでに敷いている。強制入院を伴うので、日本人でも外国人でも区別なく感染症法に基づき国や都道府県が入院負担金を支払ってくれる。

 過度に恐れる必要はないが、まず敵(MERS)を知り、自己防衛を徹底することが大切だね。

感染しないためには

@休息・栄養を十分にとって体力を付ける
A手洗い・うがい・手のアルコール消毒を励行し、飛沫ウイルスを撃退
B風邪気味の時は、まず安静。無理をすると拡散や感染のリスクが増す
C人混みを避け、マスク着用で予防