2015/4/25

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

米国、キューバ 国交正常化交渉の背景

 1961年に国交を断絶してから半世紀以上。米国とキューバが関係回復に向けて動き出したことが大きなニュースになっている。東西冷戦後、米国は中国やソ連崩壊後のロシアともすでに国交を結んでいる中、未だに実質絶交≠示すテロ国家に指定している相手はスーダン・イラン・シリアとこのキューバの4カ国だけなんだ。

 「そもそも、なんでキューバと国交が途絶えたの?」「オバマ大統領が関係回復を目指す理由は?」などニュースを見ていると、いろいろな疑問がわくだろうね。

 今回のニュース解説では、キューバを取り巻く「現在・過去・未来」にふれながら、この国交正常化交渉について分かりやすく説明しよう。

日本との関係は?

 キューバと日本はずっと国交が保たれていて、日本から直接、観光旅行にだって行ける。物価は安いし、戦後間もない米国の雰囲気が残るレトロな街並みや、街を走り回る50〜60年代のアメ車、レゲエ音楽などに根強いファンも多い。最高級品とされるキューバ産葉巻は、米国なら禁制品だけど、日本ならいくらでも買えるんだ。

 五輪で金メダルの常連だった野球も、キューバの選手が米大リーグに入るには亡命する以外に方法はなかったけれど、日本のプロやアマチュアのチームには普通にやってきてプレーしているんだ。

キューバってどんな国?
面  積 109,884q(本州の約半分)
人  口 約1126万人
首  都 ハバナ
言  語 スペイン語
政  体 共和制(社会主義)
通  貨 キューバ・ペソおよび兌換ペソ
主要産業 観光・農林水産(砂糖・タバコ・魚介類)、鉱業(石油・ニッケル等)、医療・バイオ

 カリブ海に浮かぶ島国・キューバは、米国フロリダ半島から140キロちょっと。大阪―姫路くらいの距離だね。

 かつてのキューバはスペインの植民地だったけれど、米国の支援で独立運動を起こし、親米政権を誕生させた。独立後には、多くの米企業が進出し、キューバは事実上、米国の属国のような状態が続いたんだ。富は米国企業に独占され、「米帝国主義」の搾取の対象になったともいえるね。

 こうした中、フィデルとラウルのカストロ兄弟が立ち上がり、59年に共産革命政権が誕生。その2年後にキューバは米国との国交を断絶。一方で共産主義国家のリーダー格だったソ連に急接近した。62年に、ソ連がキューバに核ミサイル基地の建設を進めていることが分かると、ケネディ米大統領は戦艦や戦闘機を配備して海上を封鎖。第3次世界大戦勃発スレスレまで陥った。これが教科書で習う有名なキューバ危機≠セ。

 ソ連のミサイル撤去で危機は回避されたものの、その後も米国には毎年、キューバからの難民が小型船で続々と押しかけ、経済封鎖と亡命キューバ人によるカストロ政権反抗政策が延々と繰り広げられてきた。

国交回復に舵

 変化が生じたのは昨年末。オバマ米大統領が国交正常化交渉を始めたんだ。中南米で米国と仲の悪い政権はキューバやベネズエラ、ボリビア、ニカラグア、アルゼンチン、エクアドルなどがある。この反米で結束する政権の一角を崩したい思惑があったんだろうね。

 一方のキューバも長引く米国の経済制裁で、国民の月間所得はわずか2千円ほど。国交が回復すれば、米国から観光客や企業がやってくるので経済的なメリットが大きいんだ。しかも、同じく反米政策を掲げている産油国のベネズエラが、昨年からの原油下落で打撃を受けていて、反米のリーダーシップを執るどころじゃないことも幸いした。

 こうしたタイミングが重なったこともあるけれど、実はオバマさんの一番の理由は他にあるんじゃないかな。オバマさんは就任直後にノーベル平和賞を受賞したりして世界中から期待されていたけれど、来年末で実質的に終わる大統領の任期中、米国の威信低下は止められなかった。最後に「歴史に残るレジェンド(伝説)がほしい」と切実に思ったんだろうね。

米国とキューバの関係
1959年1月 キューバ革命
61年1月 国交断絶
4月 ピッグズ湾事件
62年2月 米国が全面禁輸措置
10月 キューバ危機
91年12月 ソ連崩壊
96年3月 米国のキューバ経済制裁強化法成立
2000年10月 米政権が食糧・医薬品の輸出規制緩和
02年5月 カーター元米大統領がキューバ訪問
06年7月 フィデル・カストロ議長の病気療養に伴い、弟のラウル氏に議長職暫定委譲
08年2月 ラウル・カストロ氏が議長就任
09年4月 オバマ米大統領が関係改善に意欲表明
14年12月 両首脳が国交正常化交渉開始を発表
15年1月 ハバナで高官級が初交渉
4月10〜11日 ハバナでの米州首脳会議に両首脳が参加

簡単にはいかないかも

 米国では来秋の大統領選に向けて、オバマさんの民主党はヒラリー・クリントン元国務長官が、野党の共和党ではブッシュ前大統領の弟ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事らが名乗りを上げている。

 特に上下院とも多数派を占める共和党が、オバマさんの功績になるキューバとの国交回復をすんなり認めるはずがない。だから、かなりの紆余曲折が予想されるよね。