2015/4/11

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

アジアインフラ投資銀行って何?

 中国が主導して今年末にもスタートするアジアインフラ投資銀行(AIIB)。その創設メンバーの申請が締め切られ、日本と米国は置いてきぼりの形になった。もともと日米主導のアジア開発銀行(ADB)があるのに、「何で競合する形で中国はAIIBを作るの。中国の目的は何?」って気分だよね。これを読めば、今報道されているニュースがもっと興味深く見られるはずだよ。

開発支援の金融機関

 みんなもIMF(国際通貨基金)とか世界銀行(世銀)という名前ぐらいは聞いたことあるよね。どちらも第2次大戦末期から終戦直後に設立されたんだ。目的は米英を中心とした戦後復興と、日本やドイツなどの敗戦国やアジア、アフリカなどの発展途上国の開発をスムーズに進めるためにお金を貸すことだよ。

 日本も戦後、世界銀行からの借り入れで電力、基幹産業、交通など経済成長の基盤を整えたり、東海道新幹線(借入額8千万米ドル)を開通させたりしてきたんだ。

 その後の1966年には、日米が主導権を持つアジア開発銀行(ADB)ができた。文字通り、アジア地域向けの開発援助にお金を貸す組織で、実質的な運営は日本に任されている。新構想のAIIBはこのADBと完全に競合する形になるんだ。

米ドル・欧州ユーロに続き、中国人民元?

 20世紀末にタイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、韓国などが経済的に行き詰まり、通貨がほぼ同時に下落。このアジア通貨危機を救ったのは米主導のIMFだ。IMFと世銀も本部はずっと米国にあって、このことからも世界の主要通貨は米ドルが握っていることが分かるよね。

 こうした中、「いつまでも米ドル一極支配に甘んじてたまるか」とEU(欧州連合)共通通貨のユーロが誕生。ドルに対抗する世界の主要通貨にのし上がってきた。ユーロを発行する欧州中央銀行(ECB)はインフレ抑制や為替への介入も行い、世界の金融秩序に存在感を示している。

 ここまで説明すると、勘のいい人は「なるほど、第3の世界通貨に中国人民元か」と気付いただろうね。その通り、中国主導のAIIBが大きく強くなれば、人民元での決済や貸付をたくさんの国でできるようになるからね。

アジアのリーダーは中国に?

 「IMFや世銀の中国主導版」として、2年前に習近平国家主席がAIIB設立を提唱した時、世界の国々はてんで相手にしなかった。

 ところが今は、中国と領土問題で対立するベトナムやフィリピンも含めたアジア各国や、英国や独仏伊などのEU主要国まで「バスに乗り遅れるな」とばかりに次々と参加を表明して51カ国まで膨れ上がった。気が付けば、IMFと世銀を抱える米国と、ADBを持つ日本だけがポツンと取り残されてしまった。

 実は、これまで日本がアジアのリーダーとしてやってこられたのもADBの存在が大きかった。お金の部分を握ることで、外交上の主導権が確保できていたんだ。でも、今後はAIIBの出資比率でトップになるであろう中国の発言権がアジア全体で増してくる。日本はアジア経済覇権争いで中国に敗れたとみていいだろうね。

外交は損得で動く

 外交というものはズバリ、パワーゲームなんだ。各国は必死でいろんな国をてんびんに掛けて「どっちに付いたら得か損か?」を考えて動く。日本の場合、戦後一貫して米国の言うことは何でも聞く≠ニいう体質が官僚や政治家に染み付いている。忠実に米国の後を付いて行く存在だから国際的な選択肢も極端に狭い。こうした中で、肝心の米国が次第に力を失っているから心配だ。