2015/3/14

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース

「18歳」は子ども?それとも大人?

 川崎中1殺人の主犯として18歳の少年が逮捕され、厳罰化を念頭に置いた少年法の改正論議が再燃している。一方で今国会に提出された18歳から選挙に投票できる公職選挙法(公選法)の改正案は成立の可能性大に。終戦時に日本国憲法が公布されて以来、日本ではずっと「20歳で一人前」というのが社会の常識だったけれど、この枠組みが揺らいでいる。その背景を考えてみよう。

日本では19歳以下は未成年

 日本で「18歳未満禁止」と聞くと、成人を対象にした映画や本が思い浮かぶよね。これは都道府県の青少年保護条例などで決まっていて、17歳以下が対象なんだけれど、高校生だと18歳でも有害図書などの閲覧ができない場合も。つまり、「18歳未満」と「高校生」が同じ意味で扱われていることがある。でも18歳から普通運転免許は取れるし、国民投票もできるようになる。なんだか、ややこしいね。

 では、法律ではどう定義されているんだろう。民法では、20歳未満の未成年と20歳以上の成人とは厳密に区別されていて、未成年は原則、親など保護者の同意がないと結婚や借金を含めた確定的な商取引契約などができない。そして、飲酒喫煙も20歳からになっている。

 刑法も同様で、20歳未満は未成年として扱われ、社会復帰を念頭に置いた少年法で処罰されるから、成人の刑罰より軽い。重大事件を起こしても大抵は30歳前後には社会復帰してくるのが実態なんだ。

 しかも、少年が事件や事故を起こしても、新聞やテレビでの顔写真掲載や実名報道は禁止(少年法第61条)され、成人の犯罪報道とは一線を画してある。でも、今回の川崎中1殺人で、ある週刊誌が主犯格の18歳少年の顔写真と実名を公表していたよね。これは61条は違反に伴う罰則がないからなんだ。なぜ、罰則がないかというと、報道の自由を守るためなんだ。

 もう少し説明すると、以前は未成年の実名報道をすると物議を醸していたけれど、インターネット全盛の今は、新聞や雑誌、テレビが仮名で報道しても、ネット上ではかなり前からこの少年の実名や写真が真贋取り混ぜて氾濫(はんらん)していた。つまり、少年法の守秘規定が有名無実になっていることも否定できない。さらに「ネットでの無責任な公開行為で、正しい情報が出されないとデマが拡大する」という新たな議論さえ起きているんだ。

高校生にも選挙権

 ちょっと寄り道したけれど、今度は選挙の投票年齢を20歳から18歳に引き下げる公選法の改正について見てみよう。すでに与野党では合意していて、成立すれば来夏の参院選から実施されることになりそうなんだ。こちらは厳密に満18歳が対象になるので、同じ高校3年生でも、選挙権がある生徒とない生徒が生まれてくる。

 でも、選挙権が18歳からになると、若者向けの施策や公約がどんどん出てくるのでは、と考えるのは早計だね。新たな有権者となる18〜19歳は240万人いるらしいけれど、現行の選挙制度でも、投票率は60代後半の77%に対し、20代前半は35%程度しかない。こう見ると、選挙に行かない若者のための施策を、果たして政治家が重視するかは疑問だね。

 ただ、話は単純ではなくて、今後、刑法や民法との整合性も考えなければならないんだ。たとえば、「18歳で選挙違反をした場合も仮名なのか?」や「選挙人名簿から選ばれる裁判員候補者に18歳が選ばれる可能性をどうするか?」などがあるんだ。

成人年齢引き下げの裏には

 以上、「18歳は子供なのか、大人なのか」をテーマにいろいろ説明したけれど、先進国のほとんどが「18歳以上を成人」としている中で、日本のような「20歳成人」の国は1割程度なんだ。日本は世界的に例を見ない少子高齢化≠独り突き進む国。高齢化は世界中で広がっているけれど、こんなに出生率の低い国はない。

 こうした流れの中で、「子供たちをさっさと成人扱いして、年金や健保、納税の義務を負わせないと国の財政が将来持たない」という官僚たちのボヤキにも似た思惑が透けてみえるよね。