2015/1/31

そうやったんや! 畑山博史のわかるニュース
イスラム国ってなあに?

兵力1.5万人、各国から戦闘員が合流

 今、世間は「日本人人質事件」でもちきりだ。事件を引き起こしたのは最近世界を騒がすイスラム国。彼らの目的は一体何なのか?

 それにはまず、「イスラム国とは何か」について学ぶ必要がある。

 イスラム国が樹立したのは2014年6月。内戦の続くシリア領内アレッポを拠点に勢力を伸ばし、東隣のイラクに侵攻するや、旧フセイン政権の軍人らを吸収して勢力を拡大していったんだ。

 彼らの最終目標は、欧米のキリスト教国家に対し、約100年前の第一次大戦時にオスマン朝トルコ帝国が保持していた地中海沿岸ほぼ全域とアジアまでの広大な領地の奪還。このため、他のイスラム教国でも穏健派、過激派を問わず同国を承認した国はなく、中国やロシアとも敵対していて、孤立無援の存在なんだ。

 運転資金は月間3億ドル(353億円、グラフ参照)ともいわれるが、勢力台頭後はアメリカやヨーロッパの有志国連合の相次ぐ空爆で石油施設が次々破壊され、原油価格の急落もあってかなり収支が悪化しているんだ。

 兵力は約1万5千人ほどで、豊富な資金をもとに高性能の兵器を所有している。さらにイギリスやフランス、ドイツなどEU各国の国籍者で、不平不満を持つ数百人単位の人々が、シリアやトルコ経由で合流している。だから、仮にイスラム国を抑え込んでも、今度は彼らが自国に帰国して、テロを起こす危険性もあるんだ。


イスラム国支配地域とイスラム過激派の分布図

 今回の邦人誘拐事件のようにネットを使ったアピールにもたけている。日本の誘拐事件がほとんど成功しないのに、「どうやって身代金を受け渡しするの?」と思うだろう。これには裏があって、欧州にはNPO人道支援団体を合法的に装ったイスラム国支援の寄付集金組織がかなりあるとみられているんだ。そこに100米ドルや500EUユーロなどの高額紙幣を現金で届けさせ、取り引きを成立させる。身代金を支払った国もG8での合意に反するため、支払ったことを絶対に認めない。だから実体がバレないんだ。

 もともとイスラム圏の人は欧米と仲が悪い。欧州列強に植民地にされたり、かいらい政権として支配されたりしてきたからなんだ。

 でも、日本に対しては違った。戦後復興を果たした勤勉さや不屈の精神力にイスラム圏の人々は常に敬意を抱いていたんだ。

 しかし、安倍政権の米国べったりの支援に対し、悪いイメージが徐々に拡散。今回の邦人誘拐も、中東情勢を省みず事件直前にノコノコ現地入りしてイスラム国敵対各国へ240億円の大枚の支援を約束した安倍総理のある意味での無神経さが、「彼らに絶好のテロの口実を与えてしまった」ともいえるかもしれない。



イスラム人の服装
(左が男性で右が女性)

モスリム(イスラム教徒)

 イスラム教徒は世界に15億人といわれ、キリスト教に次ぐ信者がいる。ただし、先進国中心のキリスト教徒に対し、発展途上国に多いイスラム教徒は人口が爆発的に増えていて、今世紀半ばには世界の3分の1を占めトップに躍り出るという試算もある。

 日本におけるイスラム教徒は 10〜15万人と圧倒的少数派。教会や寺院に当たるモスクは、関西では大阪市西淀川区や神戸市中央区、京都市上京区にあるがその数は多くない。