2020/8/27
広島大学の若手研究者に聞く
選手のパフォーマンスの最適化のため、体温に着目
研究テーマはスポーツ科学
研究成果、スポーツ現場に反映を
広島大学大学院人間社会科学研究科助教 柳岡拓磨さん
■体温調節に着目

▲ 栃木県出身。2014年、東京学芸大学教育学部卒。16年3月、東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了。19年3月、早稲田大学大学院博士課程修了。19年4月から現職。

▲ハーフタイムでの身体冷却の実践
ヒトが運動を行う際には、適切な体温が存在します。体温が過度に上昇・低下した状態でスポーツを行うと、選手のパフォーマンスが低下するだけではなく、熱中症やスポーツ外傷のリスクが上昇します。暑熱環境下から寒冷環境下まで、選手の安全を確保し、選手が望むようなパフォーマンスを発揮できるようにするため、体温調節に着目して研究を進めています。
■暑熱環境下での研究
夏には、体温の過度な上昇を抑制することが重要です。体温を低下させる方法として、身体冷却が挙げられます。身体冷却には、外部冷却(送風や保冷剤などを用いて身体外部から冷却を行う方法)と内部冷却(冷たい飲料を摂取し、身体内部から冷却する方法)があります。人間社会科学研究科の長谷川教授に協力を得ながら、身体外部・内部冷却を組み合わせた実用的な暑さ対策を検討していま す。 これまでの研究で、運動間の休息中(サッカーのハーフタイムを想定)に、クーリングベストの着用とアイススラリー(氷と飲料水が混合したシャーベット状の飲料)の摂取を行うことで、体温を低下させ、運動パフォーマンスを改善できることが分かりました。実用性・効率性の高い暑さ対策を提案できたことは価値が高いと考えています。
■寒冷環境下での研究
冬には、筋肉の温度(筋温)の低下を抑制することが重要です。サッカーで例を挙げると、ハーフタイムの15分間で筋温は安静時とほぼ同程度まで減少し、後半開始後のパフォーマンスも著しく低下します。ハーフタイム中に改めてウォーミングアップを行うこと(リウォームアップ)によって、この問題を解決できるか、検証を進めています。スポーツ現場での実用を想定すると、最短の時間で最大の効果 を得る方法を検討する必要があり、1分以内で効果の高い方法に着目しています。

▲実験中の運動の様子
■これからの研究
体温調節には体格に基づく個人差があり、気温によって、体温が上がりやすい体格が異なります。これからの研究では、気温・体格・身体冷却という3つのキーワードをもとに、熱中症のリスクが高い集団に対し、効果・実用性の高い暑さ対策を明らかにしていきます。
■研究の醍醐味 と夢
スポーツに携わる中で生まれてきた疑問や好奇心を解決していく道筋やその難しさが面白く、他の研究者と議論しながら、答えに辿り着けたときに研究の醍醐味を感じます。世界のスポーツ界の常識は、日本のスポーツ界の非常識という状況がまだまだありますので、インパクトのある研究から、この問題の改善に貢献していきたいと思っています。
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