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2020/7/30

広島大学の若手研究者に聞く

尾道市の野良猫の生息状況を調査 「人の手の介入、猫との共生には大切」

研究テーマは動物福祉

広島大大学院統合生命科学研究科助教 妹尾あいらさん

人にも動物にも配慮する
広島県生まれ。広大附属高卒。東農大農学部卒。2017年、広島大大学院生物圏科学研究科博士課程(後期)修了。同研究科教育研究補助職員を経て、18年4月から現職。

■研究のきっかけ

 小学生のときに三原市の広島県動物愛護センターから譲り受けた猫を飼っていました。わが家でその猫を引き取らなかったら殺処分されていたことを知り、野良猫について勉強をしたいと思ったのが動物福祉の研究を始めた大きなきっかけです。

■フィールドは尾道

 尾道市は「猫の街」でも知られ、多くの野良猫が観光エリアに住みついています。野良猫の現状を知りたい思いに駆られ、週2回尾道に通い続け、4年間にわたって野良猫の生息状況について調査を続けました。

 その結果、尾道の観光エリアには約200頭が生息していることが分かりました。しかし、半数の猫は健康状態が悪く、1〜2年経つと多くの猫の姿を見かけなくなりました。おそらく病気で亡くなったのでしょう。もう一つ分かったのは、不妊去勢手術をしていない猫がほとんどだったこと。亡 くなる一方で繁殖もしますから、200頭という数字には変わりなく、生まれた猫も病気で亡くなる運命をたどる可能性があります。

■TNR活動から被害対策まで

 県の動物愛護センターと協力し、野良猫を捕獲して不妊去勢手術を行い、元の場所に戻すTNR活動に取り組みました。その後の調査から、生まれてくる猫の数は減っていました。また、住民が猫の管理をする地域猫活動も行われるようになったおかげで、猫の健康状態も向上しました。




▲尾道市で野良猫の個体識別調査を実施した(2枚とも)

 研究では、地域の住環境の面からもアプローチしました。尾道はお寺が多く、野良猫の糞尿被害に困っていたからです。猫が嫌がる忌避剤を企業と共同開発したり、プランターで猫用の公衆トイレを作ったりしました。忌避剤を活用しながら野良猫をトイレに誘導できるか試したところ、多くの猫がトイレを使っており、糞尿被害を軽減させることが立証できました。

■人と猫の関係

 猫は、もともと野生動物のヤマネコを人間が家畜化した伴侶動物です。つまり人間が面倒を見ないといけません。野良猫の状態であっても人の手が介入することが大切。猫も人も同じ生き物なので、思いやりの気持ちを持って猫に接することが共生につながりますし、動物福祉の考え方でもあります。

■夢

 尾道市に限らず、広島県内のさまざまな地域の野良猫の状況について掘り下げてみたいと思っています。実は東広島市は動物愛護センターに持ち込まれる猫が県内で最も多く、東広島でも調査をしたいと考えています。

 猫以外ではイノシシの研究にも関わっています。呉市ではイノシシが無人島に泳いで渡り、繁殖を続けています。生息調査をしながら、なぜイノシシが泳いで渡るのか、という疑問を解明したいと思っています。


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