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2019/10/3

春の桜ダイと秋のタチウオも捨て難い

第四章 広島人はなぜ、地元愛にこだわりすぎるのか
炭水化物の力 元祖ファーストフードにハマる

岩中祥史「広島の力」(青志社)より

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 「怒らせると怖いのは何県の人?」というランキングで、広島県人が全国で7位に入ったという。

 では、どんなことに怒りを感じるのか。別のアンケート調査だが、その筆頭は、「他府県の人がお好み焼きのことを広島焼きというのは許せない」と、なんとも他愛のないことである。

 ただ、お好み焼きそのものの発祥は広島でも大阪でもない。意外なことに東京なのである。明治の終わりごろ、東京の駄菓子屋で売られていた「牛天焼き」がそのルーツ。すき焼き(牛鍋)で残った牛肉とこんにゃくを小さく刻み、小麦粉を溶いて薄く焼いたものの上に天かすと一緒に乗せ、二つに折る。そこへ醤油を塗って食べるというスタイルだったらしい。

 これが神戸に伝えられ、やや変化したのが「肉天」である。小麦粉を溶いた生地を薄く引き、その上に野菜(キャベツや刻みネギ)や肉を重ねて焼いたもので、こちらはウスターソースを塗って食べた。

 大阪ではこれを「洋食焼き」と呼んだそうだが、この当時はソースをかけてさえいればすべて洋食と見なされたから、この名がついたようだ。値段が一枚一銭だったことから、「一銭洋食」とも呼ばれるようになり、それをもとに広島で生まれたのが「お好み焼き」である(『広島学』に詳述)。

 このお好み焼きを他県からやってきた人が「広島風」と言って広島県人が怒るのは、まあ納得がいく。ただ、広島県人がほかの県に行き、「二重(にじゅう)焼き」が通じないと言って怒るのはやはりおかしいだろう。全国でも、今川焼き・大判焼きのことを「二重焼き」と呼ぶのは広島県人だけだ。広島県に近い山口県の一部地域でもそう呼ぶことはあるらしいが、9割方は広島ローカルの呼び名と言っていい。

 同じものを兵庫県の姫路周辺では「御座候(ござそうろう)」というが、これはもともと、それを作って売っている店の名前であった。関西では一般に「回転焼き」という呼び名で親しまれているが、姫路に生まれたこの店が1955年から「御座候」という名前で売り出したため、それが広まったようである。

 ほかにも、「太鼓焼き」だの「甘太郎(あまたろう)焼き」だの、県や地域・地方によってこれほど名前が変わるものも珍しいかもしれない。

 お好み焼きとともに、広島県人の食生活で欠かせないのがおにぎりで、広島では「むすびむさし」が有名。マツダスタジアムにも出店しており、限定メニューもある。「これを食べるとほっとする」と、広島に帰ってきた人が言うくらいだから、やはりソウルフードの一つなのかもしれない。

 お好み焼き、二重焼き、おにぎりとくれば、あとは麺類である。こちらは「ちから」という、1935年開業の老舗がよく知られている。立ち食い系で、うどん、 ソバのメニューが多種多彩。ただ、昔からおはぎも売っているせいか赤飯にぎりがある。

 もう一つ、近ごろ注目されている広島独自のメニューが汁なし担々麺である。文字どおり、汁(スープ)がついてない担々麺で、一度食べるとクセになるという。

 担々麺の本場・中国四川省では、汁のないものが普通なのだとか。担々麺の「担々」は「(かつ)ぐ」という意味で、四川省では担いで売り歩いているのを買い求めるそうである。

 広島では10年以上前から専門店が増え始め、いまでは市内に30以上もの店がある。唐辛子に山椒(さんしょ)花椒(ホアジョ)(中国産の山椒)が加わるので、独特の辛みが味わえる。そぼろや青ネギを加えたり、トッピングに温泉卵などを用意している店もあるようだ。

 出されたどんぶりをよく見ると、器の底に少量だが濃いめのたれが入っている。「汁なしなのに」と思ってはいけない。これを麺、具とをからめながらよくかき混ぜ、たれ汁がなくなったところで食べ始めるのが(つう)≠轤オい。


岩中祥史(いわなか よしふみ)
 1950年11月26日生まれ。愛知県立明和高校から東京大学文学部に進み、卒業後は出版社に勤務。1984年より出版プロデユーサーとして活動するとともに執筆活動も。地域の風土と人々の気質との関係をテーマに、『名古屋学』『博多学』『札幌学』『鹿児島学』『新 不思議の国の信州人』『新 出身県でわかる人の性格』『名古屋の品格』『城下町の人間学』など著書多数。2011年の上梓した『広島学』はご当地広島の人たちをも驚かせる内容で、ベストセラーになった。


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