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2019/7/4

広島人らしい広告手法

第三章 広島人はなぜ、グローバルな発想が得意なのか
広告・宣伝の力 初めての試みもためらわず、お金も糸目をつけない

岩中祥史「広島の力」(青志社)より

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 たとえば、「勉強しまっせ、引っ越しのサカイー(ほんまかいなそうかいな)」というCMソングで大ブレークしたサカイ引越センター。同社はその名のとおり大阪府堺市に本社がある。俳優の徳井優とくいゆうが歌ったこのCMソングも、関西弁丸出しだ。

 だが、創業したのは広島県出身の女性・田島治子である。田島は瀬戸田町(現尾道市)で幼稚園の保母をしていたが、大阪市で小さな運送会社を経営する田島家の長男・憲一郎と結婚し、故郷を離れた。1962年のことである。 先の歌がテレビに流れ始めたのはもう30年も前(1989年)のことで、いまだに曲も詞も記憶に残っている。単純明快というか、あまりにあっけらかんとした印象だが、テレビCMというのはそういうものなのだろう。

 1993年から流れた「エレベーター篇」は、出演していた徳井とはなゆりの二人がフジサンケイグループ広告大賞(タレント賞)を受賞している。そのあとの「日本舞踊篇」=「サカイー、安いー、仕事キッチリ」も強いインパクトを与えた。

 1971年、夫の憲一郎が父親と意見が合わず飛び出して独立、堺市に拠点を構えた。しかし、それでなくても新規参入が難しい一般運送業の経営は大変だったようだ。

 ただ、堺市ではこの年から泉北せんぼくニュータウンの開発が始まった。そこで、入居者の引っ越しを手伝うスタイルのビジネスなら成り立つのではないかと思いつく。引っ越しは季節によって波があるので、業界では片手間の仕事とされていた。それでも、背に腹は代えられず、二人は「引っ越し手伝います」という看板を作り、そこかしこの電柱に縛りつけて歩いたという。これがズバリ的中し、ニュータウンへの引っ越し需要を次々と受注、あっという間に業績を伸ばしていった。

 1990年に社名を現在の「サカイ引越センター」に改め、96年には業界初の上場(大証2部)を果たした。現在は東証、大証ともに1部上場している。

 田島はこの業界で、アートコーポレーション(本社大阪府大東市)の寺田千代乃と並んで二大女性社長と言われていた。引っ越し専業という業態が田島のアイデアだったかどうかは議論の分かれるところだが、事業をスタートさせたのは田島のほうが早いというのが定説になっているようである。

 田島が引っ越し専業の運送業をスタートさせる四半世紀ほど前のこと。これまたいかにも広島県人らしい手法の宣伝広告をおこなった男がいる。『広島学』でも触れたが、1920年から殺虫剤フマキラーを製造販売していた大下おおしも回春堂の二代目社長・大下俊春である。

 大下は当時、誕生して間もない広島カープの取締役をしていた関係で、そのユニフォームの袖に「フマキラー」の商標を、また帽子の「C」の中央部に片仮名の「フ」を入れさせたのである。

 創設3年目、1952年のユニフォーム(ホーム用)には、複雑な、しかもかなり大きめの商標が縫い込まれている。翌53年はビジター用にもう少し単純化したものが使われた。

 いまでこそ、袖のスペースを利用してのCMは当たり前のことだが、この当時、こうしたことを考えついた者はだれもいなかった。入れるにしても、せいぜいチーム名、あるいは親会社の名前、またフランチャイズの都市名くらいであった。それをスポンサリングしているというだけで、商品名を入れてしまうとは……。

 カープでは2005年から「MAZDA」のロゴが入っているが、それまで半世紀以上は球団のロゴだけであった。他球団を見ても、1979年に西武ライオンズが西武デパートのロゴをつけたことがあるが、そもそも同じ系列だから、さほど違和感はない。球団経営や球団名と無関係の素材が袖に使われたのは、2002年、近鉄バファローズが消費者金融大手のアコムのロゴを入れたことがあるくらいだ。

>>続く


岩中祥史(いわなか よしふみ)
 1950年11月26日生まれ。愛知県立明和高校から東京大学文学部に進み、卒業後は出版社に勤務。1984年より出版プロデユーサーとして活動するとともに執筆活動も。地域の風土と人々の気質との関係をテーマに、『名古屋学』『博多学』『札幌学』『鹿児島学』『新 不思議の国の信州人』『新 出身県でわかる人の性格』『名古屋の品格』『城下町の人間学』など著書多数。2011年の上梓した『広島学』はご当地広島の人たちをも驚かせる内容で、ベストセラーになった。


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