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2018/12/20

秋の褒章・叙勲 喜びの声

秋の褒章・叙勲の受章者に喜びの声を聞きました。

黄綬褒章

西条酒発展のために奔走 古里西条への思いが原動力

賀茂泉酒造 代表取締役 前垣壽男さん(72)

まえがき ひさお 1946年、西条上市町生まれ。法政大卒。1989年より賀茂泉酒造代表取締役社長を務める。純粋日本酒協会代表幹事など歴任。現在、西条酒造協会理事長や広島県食品衛生協会会長、広島県酒造組合副会長などを務める。

 賀茂泉酒造の3代目。日本酒一筋に力を注いできた。市内の蔵では、米と米こうじのみの酒造り(純米醸造)を始めた先駆けだ。戦後、醸造アルコールなどが入った日本酒がはやっている中、じっと我慢し「日本酒が本来持っている味を知ってもらおう」と志を貫き、日本だけではなく海外にも純米醸造酒普及のために力を尽くした。本物の味を大切にし「蔵がどういう気持ちで、どういう酒を造っているのかを知って飲んでほしい」とあふれる思いを語る。

 西条酒造協会の理事長。前身の西条酒造組合のころから、16年間、西条酒の発展のために奔走。米どころ西条で「顔の見える酒造り」を目指し、東広島酒米栽培推進協議会を設立。酒米の作り手と蔵のつながりを築いた。日本酒を多くの人に飲んでほしいと、西条酒造組合のメンバーたちと西条中央公園にござを敷いて始めた西条酒まつりが、現在の「酒まつり」に発展、受け継がれる。

 大学生時代は、ワンダーフォーゲル部に所属。数知れず山歩きをした経験から、自然の美しさを再認識し、人とのつながりなどを学んだことが、「その後の自分の人生の礎になった」と振り返る。西条酒の生命線となる龍王山からの湧き出る水を守りたい、と西条・山と水の環境機構を設立するなど、古里西条への思いは人一倍だ。「酒の町として譲り受けたものを、しっかり守っていきたい。活気のある町にしたい」と力を込める。

(石田)


瑞宝小綬章

「生徒と本気で向き合う」 初志貫徹し教職生活全う

元公立高校校長 宮田一美さん(70)

みやた かずよし 1948年、呉市生まれ。日体大卒。体育教師として木江工高、吉田高、西条農高に着任。その後、河内高校長(2001年4月〜04年3月)、西条農高校長(04年4月〜09年3月)などを歴任。09年県教育賞受賞。黒瀬町在住。

 ブレることのない信念を持って、38年間生徒に愛情を注いできた。

 テレビの「青春ドラマ」に登場するカッコいい体育の先生に憧れ教職の道に。 高い志を抱いて木江工高に着任したが、荒れていた学校を目の当たりにして心がひるんだ。辞職も考えたが、同僚の励ましで退路を断った。

 「生徒の意識を変えればいい」。やんちゃな生徒と真正面から向き合った。言うことを聞かない生徒とは取っ組み合いになることもあった。《先生にはかなわない》。やがて、生徒たちが心を開くようになった。「先生が本気でぶつかれば、生徒は変わる」。その思いはその後の教職人生の礎となった。

 1978年から18年間を過ごした西条農高では、野球部の監督・部長を務める傍ら、生徒指導にも携わった。野球部員には、「心を磨くこと」を諭し、計3度の甲子園出場に導いた。生徒指導では、「あいさつ」「時間厳守」「整理整頓」を実践した。この指導は、学校が地域から信頼を得る原動力になり、今も「西農三訓」として、在校生に受け継がれている。 校長時代は「何でもいいから1番を目指せ」と生徒に諭した。1番になるために努力をすることが、その後の人生の糧になるとの思いからだった。

 教職を退いて10年が過ぎたが、今でも「先生」と慕ってくれる多くの教え子に感謝する。「僕は幸せ者。初志貫徹したことが受章につながったのでしょう。教師をやって本当に良かった」。

(日川)


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