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2018/11/1

ジイジ・バアバ、パパ・ママへ贈る

心のめばえ アヤと過ごすジイジの日記 <14>

著者/牟田 泰三
挿絵/橋本 礼子

4歳2カ月 図書館

 4歳2カ月の頃に初めて市立図書館に連れて行って以来、すっかり気に入っていて、その後もたびたび図書館に通っている。

 この図書館は、建物も組織もとても良く整備されていて、市民に対するサービスとしては素晴らしい。特に、幼児や児童のためのフロアがあって、子供向けの本が沢山並んでいる。アヤはお魚の本が大好きなので、海の生き物や水辺の生き物のコーナーに行くと、次々と興味ある本を引っ張り出して熱心に見ている。

 最初に図書館に行ったときに、本棚を眺めていて、偶然バイキンの絵本を見つけた。風邪やインフルエンザにどうしてかかるのかを説明している絵本であったが、表紙に描かれたバイキンの図が、いかにも悪さをしそうな絵で、アヤの興味をいたくそそったらしい。

 でもどうしてバイキンに興味が湧いたのだろう。その原因はどうやら、幼児達に人気があるアンパンマンと言う漫画にあったようである。この漫画の登場キャラクターの中にバイキンマンというのがいて、これがなぜ悪党なのか、一体何者なのかということが、長い間アヤにとって謎だったらしい。図書館でバイキンの本に出会って、アヤの疑問が一挙に解決したのだ。

 物理学の研究者が、どうして原子核は壊れないのだろうと長い間疑問に思っていたことが、核力という存在に気が付いて一挙に問題解決に導かれるのと似たようなものだ。

 アヤは「ジイジ、バイキンにはね、良いバイキンもいるんだよ」 と言う。へえ、誰から聞いたのかな。

 バイキンにはいろいろあって、風邪の原因になる細菌やインフルエンザを引き起こすウイルスもいる。しかし菌は全て悪者であるとは限らず、例えばキノコを作る菌とか腸内善玉菌とかもいる。バイキンは悪さばかりするわけでもないのだ。そういえば、アンパンマンの登場キャラクターにはドキンちゃんという女の子がいて、性格がわがままなだけであまり悪さをしそうにない。

 図書館で本を借りるためにアヤも名前を登録して、図書館利用カードを作ってもらった。早速このカードをカウンターで出してバイキンの本を借りた。

ジイジの気付き 受け付けのおねえさんに図書館利用カードを差し出すアヤはちょっと大人っぽく見える。


プロフィル むた・たいぞう

 1937年、福岡県生まれ。九州大学理学部卒業、東京大学大学院物理学専攻修了、理学博士。京都大学助手・助教授、広島大学教授・学長、福山大学学長などを歴任。主な著書に「語り継ぎたい湯川秀樹のことば」(丸善出版)、「電磁力学」(岩波書店)、「量子力学」(裳華房)などがある。東広島市在住。

連載中の「心のめばえ」シリーズは、牟田のホームページでも読むことができます。https://home.hiroshima-u.ac.jp/mutata/


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