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2018/10/4

砂防ダム、治山ダム、どう違う?

 今回の西日本豪雨の報道で砂防ダム、治山ダムという言葉を耳にした読者も多かったことだろう。一方で、砂防ダム、治山ダムと聞いても、その違いがよく分からないといった声も多くちょうだいした。砂防ダムと治山ダムを分かりやすくまとめてみた。 (日川)

 ダムには、目的別にみると、大きくは水を貯める貯水・取水用のダムと、水を貯めないダムに分けられる。貯水・取水用のダムには、洪水を調節する治水ダムや、上水道用水や工業用水などに活用する利水ダム、水力発電などに利用する発電ダムがある。水を貯めないダムの代表例が砂防・治山ダムだ。

砂防ダム

東広島には60基 土砂災害防止が目的


送流土砂をせき止め、土砂を調節することが大きな役割。河川の土砂の流出を防ぐことも役割だ。

 砂防ダムは、危険な土砂が街なかに流れるのを防ぐのが役割だ。今回の西日本豪雨のように、大雨のときは、土石流と呼ばれるたくさんの土砂が上流から流れる。砂防ダムを溪谷に設置することで、送流土砂をせき止めて調節、街の被害を食い止めることができるのだ。また、河川の土砂の流出を防ぐことも砂防ダムの役割。

治山ダム

東広島には656基 森林の維持が目的

 一方、治山ダムは森林の維持・造成を図るのが目的だ。治山ダムは主に川底に土砂が堆積している箇所や、河岸が浸食され山崩れが発生しやすい箇所などに設置。ダムに土砂を堆積させ荒廃地の傾斜を緩くすることで、渓流による山腹などの浸食を防ぎ森林の崩壊を防ぐ。

 また、治山ダムで土砂が下流に流れるのを防ぐこともできる。


森林の荒廃地を放置すると洪水で浸食され森林の崩壊が起きやすくなる。ダムを作ることで荒廃地の傾斜を緩くし、渓流の浸食を防ぎ、森林の機能を高める

 このように土砂災害の防止を目的にしているのが砂防ダムで、森林の機能を高めるのが治山ダム。目的が違うため、砂防ダムは国交省、治山ダムは林野庁が所管している。一般的には、砂防ダムは治山ダムよりも下流域に造られ、治山ダムよりも堤防が高く大型だ。

 ちなみに、砂防ダムと治山ダムの数はどのくらいあるのか。県西部建設事務所東広島支所によると、県内の砂防ダムは2000基で、東広島市には60基ある。また、治山ダムは県内に7734基あり、東広島には656基あるという(東広島農林事務所調べ)。

今回の西日本豪雨で

 砂防ダムを管轄する県西部建設事務所東広島支所は「今回の豪雨では、市内にある7基の砂防ダムは土石流を食い止め、被害が出なかった」と話し、土石流の猛威をそぐ効果を発揮したことを指摘する。

 ただ、今回の豪雨によって、満杯に近いダムも増えたことも想定され、同支所では、状況を調査した上で、新たな土石流を食い止める能力のないダムについては、ダム内にたまった土砂を一定量取り除いたり、堤防を補強したりする作業をすることにしている、という。治山ダムについても同様、という。

 また、今回は、砂防ダムを設けていない箇所でも土砂災害が多発したため、下流域での住宅・幹線道路・鉄道の有無などを考慮しながら、優先順位をつけてダムを造ることも検討している。治山ダムについても、今回の災害で安全対策を講じる必要がある箇所については、新たにダムを設けることを考えていく。


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