シリーズ特集 法要 知ることで争族を回避

法律に立ち返り互いの理解を深める


山下江法律事務所
代表弁護士 山下 江

 昨年、改正相続税法が施行されてから「相続」といった言葉を耳にすることが多くなった。この問題はいずれ自分の身におとずれるが、その直前まで状況が変わりうるもの。いざという時に必要になるのが法律に基づいた正しい知識と理解。山下江法律事務所の山下江代表に事例をもとに「相続・遺言」のポイントを聞いた。

年々増加する相続問題

 相続税は、被相続人の死亡を機に、被相続人の財産を取得した人に対して、その人が取得した財産について課せられる税金。また、これと表裏の関係にあるのが贈与税。生前贈与によって財産を受けた人に対して、贈与を受けた財産について課せられる。もし、贈与税がなければ生前贈与をすることで簡単に相続税を免れることになる。贈与税は相続税を補完する税金。相続税も贈与税も「相続税法」という一つの法律に規定される。

 統計によると、2013年に発生した相続126万8436件のうち相続税がかかったのは5万4421件(約4・3%)。事務所に相続で相談に来る人も2014年から約2倍に増えている。昨年、改正相続 税が施行されたことも影響している。

 一言で相続といっても人によって異なる。しかし、どれも残された身内の者の間で財産上の分配ということであり、デリケートな問題を抱えている。日頃から身内の間で感情的なわだかまりがある場合はもちろん、そうでない場合でも、ちょっとした行き違いから大きな「争族」へと発展していくこともある。経験では、相続トラブル解決のために数十年費やした事案もある。

法律の無知は争いを招く

 事案ですが、親の面倒を見てきたのだから、相続財産を多くもらって当然だと主張された人が相談に来た。一見当然のように思うが法律は親の面倒を見るのは親子の関係なら当然であり、通常考えられる面倒を超えた「特別寄与」がなければ、相続財産の分配に当たり考慮されないとされる。相続に関する法律を知っていれば、このような争いは起こらない。法律の無知は、争いを招くことになる。

CASE1

死亡した父の借金取り立てが… とても払えないのですが。

Q、1年前に死亡した父の債権者から、父に貸した4千万円を払えという内容証明郵便が来ました。父の相続人は私だけですが、私が払わなくてはならないのでしょうか。とても払える額ではありません。

A、相続人があなただけなら、お父さんの借金はあなたが全て相続することになりますが、相続放棄という方法があります。あなたが「自己のために相続の開始があったことを知った時から3カ月以内に」(民法)、家庭裁判所へ申し立てることによってできます。起算点は借金を知った時からとなる場合もあります。
 しかし、相続放棄が無理な場合は、自己破産などの異なる手続きにより、解決するしかないと思います。


CASE2

相続放棄しても 生命保険金は受け取れる?

Q、私の父は、父の友人から5千万の借金を残して死亡しました。相続放棄の手配をして借金相続から逃れようと思っていたところ、私を受取人とする生命保険金3千万円があることが判明。私が相続放棄の手続きをすると、この生命保険金も受け取れないのでしょうか。

A、結論から言うと、あなたが父親の借金を理由に相続放棄の手続きをしても、あなたは父親が契約している生命保険金を受け取ることができます。なぜなら、生命保険金は、死亡した人が生前に成約して保険料を払っているものではありますが、それは遺族の生活を保障し、あるいは精神的に慰謝をなすものといえ、相続財産ではなく、受け取り人の固有の権利だからです。


CASE3

タンスから父の遺言書が 見つかったのですが…

Q、先日父が死亡しました。一人住まいだったため、私が父の住んでいた家を整理していたら、たんすの中から、封印のある封筒の表に「遺言書」と書いてあるものが見つかりました。開けて、中を見てもいいでしょうか。

A、開けてはいけません。家庭裁判所に対し、検認の申し立てをし、遺言書そのものを家庭裁判所に提出しなければなりません。遺言書が効力を発揮するのは遺言者が死亡した時ですから、遺言の内容について問題となるときには、その遺言書を書いた本人はすでにこの世にいません。したがって、遺言者の真意を確認し、遺言書の偽造・変造を防ぐために、民法は厳格な要因を定めています。その一つが「検認」という手続きであり、遺言書の状況を裁判所が検証し、証拠として保全するものです。

ザ・ウィークリー・プレスネット 2016/12/17

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