
書法作品が芸術であるとすれば、そこには明確な独創性・独自性・個性・原始性、或いは斬新さ・新鮮味のような、その作者ならではの或種の創造性が発見されるにちがいない。なぜならば作者が意味もなく漫然と陳腐な言葉をありふれたように書いているのではなく、訴えたいことがあればこそ、それが容易に正確に理解してもらえるよう、更には強い共感が得られることを期待しながら、精いっぱいその人相応の趣向を凝らした表現をしているからである。
その創造性は、語句の意味する思想や当を得た言いまわしの妙などの文字的表現にあるかもしれないし、また字形や構図などの視覚上の新しい試みにあるかもしれない。それは意図的な奇抜さ、奇想天外な異常性ということではなく、その作者ならではの、その作品なればこその切実な主張の斬新な表現であり、作者が一枚の作品に託した創作性が見る人に新しい発見をもたらし、時には見る人の人生までも変えてしまうほどの共感を呼びさます可能性が期待される。