
書法の大きな特徴の一つは、文字自体が本来象形表意文字で、文字の形が直情的に字意を連想させるものであること、また一つは、毛筆と墨液という独特の道具を用いて、なぞりや補筆のない一回性の線描で書き上げることにより、筆線の太さ・長短・直曲、或いは濃淡・かすれなどの効果で、柔剛・力感・速度感などの微妙な情緒・気配を豊かに醸し出していることである。このような特性を行かして、書法では単に語句を文字として表現するにとどまらず、視覚から直感的に語句の意味が感じとられるよう、また更には書き手の心情や制作意図までも伝えようとする。その結果、俗に「書は人をあらわす」といわれるように、作品上には作者の人格までも滲み出るとされている。
書法では心の表現を殊のほか重んじる。作品を鑑賞する際しては、単に書かれている語句の意味ばかりではなく、その書に託された心までも読みとることができれば、作品は一層味わい深いものとなる。