豆知識

中国絵画の特徴(三)
形と配置

◇複数視点からの描写(散点視法)

 中国絵画の非常に大きな特徴として、一枚の画面が複数の視点から見た形を合成して構成されていることが挙げられる。日常私たちの視覚がとらえる映像は、写真に代表されるように単独の視点から見た形状(一点視法)で、必然的に近くの物体は大きく、遠ざかるにつれて視覚の縮小に応じて小さくなり、或いは、下から見上げる山の頂上の平坦部は目に入るよすがとてない。この点中国絵画では、被写体の形状を観念的に表現する手段として、写実描写を超えて、四角な物はあくまで四角に、平行線は遠ざかっても平行線に、主要人物は遠くにいても大きく、ある部分は横から、またある部分は上から見た形で、というように、高低・遠近・側方などさまざまな視点から見た形状を一枚の画に合成する手法がとられる場合が多くある。
 視覚上では非論理的とも思えるこのような描写法は、古代エジプト画や児童画など幼稚画に通じる一方、ピカソのキュービズムにもあらわれる手法で、写実を超えて観念的に表現できるという利点と同時に、不自然に見え実態を誤認するという欠点も併せ持っている。

◇構図の特徴

 中国絵画では画面の構造、すなわち構図を「章法」という言葉で表している。章法で特に重視される点は「虚実の構図」で、主要な被写体を「実」とし、補助的被写体を「虚」として、山水画を例にとれば、一般的には山石・樹木・家屋・橋などは「実」、水・空・雲・霧などは「虚」として、画面構成上虚実相互の位置的・量的調和に留意しなければならない。色彩の面では虚実は「主従」という言葉に置き換えられ、主従の調和も併せて章法上の重要な要素となる。
 また意図的に画面の一部を白紙のまま残す「留白」の手法は、何も書かないことで逆に何かの存在を間接的に表現し、言わば虚で実をあらわす含蓄を持たせた表現法とされる。章法上ではほかにも、或る意味を持った被写体をわざと目立たないようにかたすみに配置する「曲」、他の被写体にかくすようにまぎれこませる「蔵」といった手法も用いられることがある。

(林 淑恵)

│Japanese│ChineseGBChineseBig5English
愛新美術館
〒725-0001 広島県竹原市田万里町2086-1
TEL:+81-0846-29-0353  FAX:+81-0846-23-1222  E-mail:aixin@pressnet.co.jp