
観光で北京の紫禁城を訪れた人であれば大抵紫禁城全体で部屋数がいくつあるかを知っている。然り、9999間と半間、 案内人はかならずそう教えてくれる。あまりにもできすぎた数字、 という思いが一瞬頭をかすめるが、自分で数えることもできず、天下の重大事でもないので、 それ以上詮索する人はあまりいないだろう。
北京の紫禁城は明の永楽年間に創建され、以来五百年にわたって明・清両朝の皇居であった。その間戦火にも遭い、たえず増築、改築もあって、当然間数も変動し続けた。部屋の数を数えるのに「間」という単位が用いられるが、一般には四隅の柱で囲まれた空間を一間とするものの、区画の見方によっては判断に迷うことが少なくない。
ともあれ、どうしても部屋の数にこだわりたい人のために、現在の紫禁城の間数として最も信用できる数字をあげておこう。故宮博物院発刊の「紫禁城」誌総第79期号によれば、1927年現在で8707間となっている。冒頭に掲げた数字はあたらずといえども遠からず、ということになるが、本来天帝の宮殿には万間の部屋があるとされており、皇帝は天帝を超えずということで、一万に達しない数字をつけたものである。